先日のラグビーワールドカップは本当に素晴らしかった。ラグビーは「自分だけ」では決して点を取れない。チームで一丸となって闘い、試合中は全力でぶつかり、言い争いも辞さないけれど、試合後には相手選手への思いやりと敬意を忘れない。そんな正々堂々としたプレーに日本中が感動した。
かたや、才能あるスポーツ選手でも、バスタオルを借りられないことで「死ね」とまで言ってしまう人もいる。「スポーツマンシップ」という言葉があるが、グリーンから一歩外に出たらスポーツマンシップとは真逆な行いをしてしまう人もいるようだ。
では一体その違いはどこにあるのか。教育の現場やスポーツ指導の現場を長く取材してきたジャーナリストの島沢優子さんが、さまざまな指導者の話をもとに、「違い」と「そうならないための注意事項」をまとめてくれた。
タオルがないから「死ね」と言う?
女子プロゴルファーの笠りつ子選手(31)が、ゴルフ場でのタオルの提供をめぐって会場関係者に「頭固い、死ね」と暴言を吐いた問題が注目されている。渋野日向子らの活躍を契機に女子ゴルフ人気が上昇しているのにと、残念に感じたファンは多いだろう。
筆者はシンプルに「え?30代の大人が?プロアスリートがこんなことをするの?」と唖然とした。スコアを自己申告するというルールもあって最もフェアな競技だと言われてきた紳士のスポーツだけに、「このようなことが起きるのか」という驚きもあった。
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一方で、育成年代にあたる10代のゴルフプレーヤーを取材した経験を振り返ると、一部の女子選手にとって「暴言」が日常的なものであることを感じている。
例えば、ジュニアの大会でスコアを落とすと、父親かコーチかどちらかであろう男性に木陰に呼ばれ、激しい言葉で説教をされる。泣き出す少女もいた。
これはずいぶん過去の話なので、最近取材をしたある選手の親御さんに「過去にこんな光景を見たのですが……」と尋ねたら「今でも同じ。コーチというよりも、父親が、ね」と顔をしかめた。
指導者、報道関係者からも、似たような話を聞いた。
「バカ、帰れ、もうやめろ、とかね。追い詰め方が凄いよ」
子どもは自分が言われた言葉は、自分も使う。そして、そのまま大人になる。ただ、口は悪くとも、周囲に感謝するこころを持っていれば、ここまでのバッドマナーはしないだろう。