2021.08.19
# 学校・教育

男子校と女子校の出身者は「別学に行ったこと」をどう思ってる? 調査から見えたこと

男女別学・共学への注目

近年、男女別学(いわゆる「男子校」「女子校」)とホモソーシャル(同性間の関係性)への注目が高まっている。例えば朝日新聞では、エリート男子校・女子校の文化がホモソーシャルの源とする記事や、共学・別学の間でジェンダー平等の受け入れ方に違いが見られるといった記事が立て続けに掲載された。

また、フェミニストの上野千鶴子氏が自身の研究で男女別学・共学でのジェンダー意識調査に言及したり、開成・麻布・武蔵のいわゆる私立男子校「御三家」の校長への「いま男子校教育を行う意味とはなにか」を尋ねるアンケート結果をふまえた記事が公開されたりと、男女別学・共学の是非や意義が問われている。

〔PHOTO〕iStock
 

日本において男女共学・別学は、教育における男女平等の問題として扱われてきた。戦後の日本では、戦後民主化の一環で「男女共学化」が進められてきたが、これは、女性差別撤廃条約や男女雇用機会均等法、男女共同参画社会基本法をふまえての流れで、現在も進行している。

共学化の理由として「男女共同参画」をふまえた「時代の流れや社会の要請」といった趣旨の学校側のコメントがしばしば見受けられ、男女共学はジェンダー平等に関して正当性のある学校形態とみなされていると考えられる。

しかし、本当に、共学にしたからといってジェンダー平等が進むのだろうか。

じつは、共学がジェンダー平等に寄与するとは限らないというのが、日本のジェンダー平等をめぐる現状だ。都立高校の男女別学定員制が、女子生徒の教育機会や進路の自由・平等などを損なうと批判されたのは記憶に新しい。また高等教育の文脈では、2020年度の入学者からトランスジェンダーの学生の受け入れを発表したお茶の水女子大学での質疑応答で、「ご存じのように、女性が社会で男性と同等に暮らせる現状ではない。

いわゆるアンコンシャスバイアス(無意識の偏見)から解放されるのは、女子大でと考えている」という回答が見られるなど、必ずしも共学化が社会におけるジェンダー平等を推進していないとする主張が散見される。

このように、男女別学・共学については賛否両論なのが現状だ。

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