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Wikipedia時代にかつての名門百科事典メーカー・ブリタニカはなぜ巨大企業に成長できたのか


18世紀後半に登場し、長らく秀逸な事典の代表格として知られてきたブリタニカ百科事典は、オンライン百科事典・Wikipediaが登場した現代に新規株式上場を計画していて、評価額は10億ドル(約1570億円)にも上ると予想されています。書籍版の刊行が2010年度をもって終了しているにもかかわらず、この強さの秘密はどこにあるのか、ジョージ・コーズCEOがThe New York Timesに対して語っています。

Britannica, Onetime Encyclopedia Publisher, Pushes A.I. Tools - The New York Times
https://www.nytimes.com/2024/12/20/business/dealbook/britannica-artificial-intelligence.html

Encyclopædia Britannica, Inc. Corporate Site
https://corporate.britannica.com/company_info.html(2011年10月28日時点のインターネットアーカイブ)

LinkedInのJustin Arn: Britannica Didn’t Just Survive. It’s an A.I. Company Now.
https://www.linkedin.com/feed/update/urn:li:share:7275876315742756864

「ブリタニカ百科事典」は1768年に初版が刊行された百科事典です。当初は3巻構成でしたが、1777年に第2版は10巻構成に、1801年に刊行された第4版では20巻構成とどんどん内容が膨らみ、2010年に刊行された第15版は32巻構成になりました。


発行元である「Encycolopædia Britanninca, Inc.(ブリタニア百科事典社)」のオーナーは7回変わっていて、当初はスコットランドの出版業者であるアンドリュー・ベルとコリン・マクファーカーが学者のウィリアム・スメリーに編集を依頼して発行していました。19世紀になるとアメリカの会社に権利が移り、1999年にスイスの投資家であるジャッキー・サフラ氏がベントン財団から買収。以後は、サフラ氏傘下の企業となっています。

歴代の寄稿者には小説「アイヴァンホー」や詩作で知られる作家のウォルター・スコット卿、経済学者のトマス・マルサスやデヴィッド・リカード、経済学者で歴史家でもあるジェームズ・ミル、物理学者のトマス・ヤング、心理学者のジークムント・フロイト、物理学者のアルベルト・アインシュタイン、物理学者のマリー・キュリー、思想家のレオン・トロツキー、奇術師のハリー・フーディーニらが名を連ねています。

寄稿者の1人、フーディーニ


ブリタニカ百科事典のように内容の多い書籍は、どうしても改訂に時間がかかってしまうもので「内容が時代遅れ」という批判がありました。その点、2001年に登場したオンライン百科事典「Wikipedia」は不特定多数のユーザーがコンテンツを編集できる「Wiki」システムを使用しているため、新たな話題でもすぐさま記事が作成され、内容が編集されます。

ただ、ブリタニカ百科事典は専門家により精査された記事が掲載されているという点でWikipediaとは別物なので、「Wikipediaが登場したことで経営が大変になった」というわけではないようです。

デジタル自体への対応という点では、ブリタニカ百科事典は1989年にCD-ROM版、1994年にはオンライン版が登場しています。書籍版はじわじわと売り上げが落ち込んでいたことから2010年版をもって終了。

Encyclopedia Britannica | Britannica
https://www.britannica.com/


一方で、デジタル版を展開するのに並行して2002年から小中学校向けに設計された包括的教育サービスを開始しているほか、自然言語処理や機械学習を得意とするAIエージェントソフトウェア企業・Melingoを2000年に買収しており、AIをコンテンツ作成やファクトチェック、翻訳に活用しているとのこと。また、インドやブラジル、タイといった新興市場に積極的に進出し、デジタル教育の急成長に対応しているそうです。

こうした対応によって、ブリタニカ社が扱うウェブサイトには150カ国以上のユーザーがいて、年間ページビュー数は70億以上に上り、計画中の新規株式公開で評価額が10億ドル(約1570億円)になるとも予想されています。

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in メモ,   ネットサービス, Posted by logc_nt

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