非常に多くの配信者の皆さんが、使っている大定番の「SHURE SM7B」。
見た目だけで「おお!!配信用のマイク!!」というイメージがあると思いますが、クセの少ない音質は世界中のレコーディングやラジオ局などのスタジオでも使用されるほどの単一指向性のダイナミックマイクです。
「ダイナミックマイク」と「コンデンサーマイク」の違いはこちらをご参考に。
コンデンサーマイクとダイナミックマイクの違い~おすすめマイク【今さら聞けない用語シリーズ】
本題に入ります。
この「SM7B」というマイク、実は「出力が小さめ」なんです。
なので、オーディオインターフェースで使用する場合、マイクプリアンプで音量を稼ぐ必要があるのですが、低価格オーディオインターフェースのマイクプリアンプだと入力GAINを全回にしても足りない場合があったり、GAINを全回にすることによる「ノイズ」が増え、いわゆる「SM7Bらしい良い音」で録音することが出来なかったりします。
「シーシー」「シャーシャー」言い始めます。
SHURE公式サイトにも「60dB以上マイクプリアンプで入力ゲインが必要」と記載があります。これは、マイクの音声を適切な音質、いわば「SM7B」の本来の音で収録するには、規定のレベルまで持ち上げる必要があることを意味しています。
そこで必要なのが「SE DM1」のようなインライン・プリアンプ。
sE Electronics社の「DM1」は、ファンタム電源を必要としますが、+28dBの歪みの無いブーストが可能です。
実際に「SM7B」と配信でよく使用されているミキサー「AG03mk2」を繋いで、生配信のトーク(雑談枠)を想定してレベルを確認してみたいと思います。
SM7BとAG03の設定を検証
「SM7B」と「AG03mk2」を直接接続した場合
「SM7B」をマイクケーブルで「AG03mk2」に接続し、下記の画像のように「AG03mk2」のGAINつまみを設定します。
そして、普段の声の音量でマイクに話してみると、下記の画像の緑のレベルメーターのように録音レベルがとても低いことがわかります。
適切な録音レベルは、レベルメーターにゼロと表示されている箇所があるかと思いますが、その箇所までレベルを近づけることです。(ゼロを超えてはダメ!)
なお、今回使用している録音ソフトでなくても多くのソフトには表示されています。
もう一度、適切な録音レベルになるように「AG03mk2」のGAINつまみ調整していきますが下記の画像のようにGAINをフルに回し切っても適切なレベルにはいたりませんでした。
ちなみに、GAINつまみを最大にし、チャンネルフェーダーも最大にするとようやく適切なレベルまでいきましたが、これではノイズも多く「SM7B」の良さも出ません。
*基本としてチャンネルフェーダーは必ず太線の目盛りのところまで。それ以上はノイズが増えます。
「SM7B」と「AG03mk2」の間に「DM1」を挟んだ場合
次に、プリアンプ「DM1」を使用してみます。
まずは、GAINツマミとチェンネルフェーダーをオフまで下げて、下の写真のようにミキサーのマイク入力部に挿し込みます。(※)
しっかり接続できたら、+48Vファンタム電源をオンにします。
注意:本体や外部機器の故障やノイズを防ぐために、ファンタム電源のスイッチをオンにしたまま、ケーブルの抜き差しをしないでください。また使用後はツマミを最小「0」にした状態でファンタム電源をオフにしてください。
それではまず、最初に試した位置までそれぞれを設定します。すると、どうでしょう、最初のよりもとても録音レベルが上がっていることがわかるかと思います。
このように、プリアンプを挟むことで一気にレベルを上げることができます。
試してみた結果、「SM7B」と「AG03mk2」、そして「DM1」を使用した時の最適な設定は下記のとおり。
もちろん、声量やマイクのポジションなどによって設定は変わるので、チェンネルフェーダーを太線の目盛りにし、徐々にGAINツマミ上げて適正な録音レベルを試してくださいね。
今回は「AG03mk2」を使用してみましたが、オーディオインターフェースの入力ゲインに関しては機材によってもバラバラなので、全ての機材に外付けプリアンプが必要ということでは無いですが、「せっかく買ってきたのに音小さいな」と感じたら「DM1」のようなプリアンプを導入しましょう!!
※ 「DM1」の特徴としてマイクの出力コネクターに直接接続できるのが利点でノイズ的にも理想です。今回の検証では「DM1」をミキサー側に接続していますが、画面の映り方やスタンドやケーブルの取り回しに問題がなければマイク側に接続してください。
【2023年9月追記】 「SM7B」のプリアンプ内蔵モデル「SM7dB」が発表されました。詳しくはこちら>>
もし、「SM7B」をお持ちでない場合は「SM7dB」もおすすめです。こちらであれば音量を増幅することが可能で、なんと+18dBまたは本記事で紹介した「DM1」と同じ+28dBの2段階で調節することもできます。もちろんオフにすることも可能なので、十分なレベルを確保できるオーディオインターフェイスやミキサーに買い替えた場合にも対応することができます。
本記事でご紹介した商品
DM1 Dynamite
SHURE SM7B
YAMAHA AG03 MK2
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sE Electronics DM1 DYNAMITE | マイクの信号をクリーンにブーストするプリアンプ
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カタシオ
札幌パルコ店 デジタル楽器アドバイザー 片塩(かたしお)
学生時代はミクスチャーバンドのDJを担当し、その後もクラブでのレギュラーイベントや企画イベントにも出演。レコードやCDでのプレイ経験を経て、現在ではPCを中心としたDJセットで活動。DTMや、音響システム、デジタル機材など何でも承りますので、お気軽にご相談ください。