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{{Otheruses|[[幕末]]の[[蒸気船]]|[[宇宙船]]|観光丸 (宇宙船)}}
{{Infobox 艦艇
|名称=観光丸
|画像=Paddle steamer Soembing gift by King William III.jpg
|画像説明=
|運用者=[[江戸幕府|幕府海軍]]<ref name="日本近世造船史明治(1973)p80" /><br />[[軍務官]]直轄([[明治政府]])<ref name="日本近世造船史明治(1973)p171" />
|種別=[[コルベット]]<ref name="日本近世造船史明治(1973)p80">[[#日本近世造船史明治(1973)]]p.80</ref>
|発注=
|建造所=[[オランダ]]<ref name="日本近世造船史明治(1973)p80" />・[[フリシンゲン]]<ref name="銘銘伝2014pp191-192"/><ref name="海軍歴史23船譜政府軍艦">[[#海軍歴史23船譜(1)]]画像1、政府軍艦。</ref><br />または[[アムステルダム]]・国立造船所<ref name="中川1994観光">中川努「主要艦艇艦歴表」[[#日本海軍全艦艇史]]資料篇p.9、観光(かんこう、くゎんこう)</ref>
|起工= <!--[[1850年]]製造<ref name="日本近世造船史明治(1973)p80" />-->
|進水= {{要出典|date=2019-11|1853年}}
|竣工= [[嘉永]]3年(1850年)<ref name="機関史(1975)別冊表1">[[#帝国海軍機関史(1975)]]別冊表1、(第四表)</ref><br />または[[嘉永]]5年([[1852年]])<ref name="中川1994観光"/>
|就役= [[安政]]2年8月([[1855年]])授受<ref name="海軍歴史23船譜政府軍艦"/>
|退役=
|除籍= [[1876年]]3月<ref name="銘銘伝2014pp191-192"/>
|その後 = 解体<ref name="銘銘伝2014pp191-192"/>
|排水量=400英トン<ref name="銘銘伝2014pp191-192"/>
|長さ= 29間<ref name="海軍歴史23船譜政府軍艦"/>(約52.7m)<br />または{{convert|170|ft|m|1|abbr=on|lk=on}}<!--51.816m--><ref name="日本近世造船史明治(1973)p80" />
|幅=5間<ref name="海軍歴史23船譜政府軍艦"/>(約9.1m)<br />または{{convert|30|ft|m|1|abbr=on}}<!--9.144m--><ref name="日本近世造船史明治(1973)p171">[[#日本近世造船史明治(1973)]]p.171</ref>
|深さ = 4間<ref name="海軍歴史23船譜政府軍艦"/>(約7.3m)
|吃水=
|推進 = [[外輪船|外輪]]<ref name="日本近世造船史明治(1973)p80" />
|帆装 = 3檣[[スクーナー]]<ref name="日本近世造船史明治(1973)p80" />
|出力 = 150[[馬力]]<ref name="日本近世造船史明治(1973)p80" />
|主機 = [[蒸気機関|軽圧揺動機械]]<ref name="機関史(1975)別冊表1" />
|ボイラー = 角[[ボイラー|缶]] 2基<ref name="機関史(1975)別冊表1" />
|速力=
|航続距離=
|乗員=慶応4年1月定員:97名<ref>[[#帝国海軍機関史(1975)]]pp.201-202、士官10人、水夫小頭・火焚小頭9人、平水夫・平火焚・銃卒76人、大工1人、鍛冶1人。</ref>
|装甲=
|兵装=大砲 6門<ref name="海軍歴史23船譜政府軍艦"/><br />または 15門<ref name="銘銘伝2014pp191-192"/>
|その他 = 船材:[[木]]<ref name="日本近世造船史明治(1973)p80" />
|備考=
}}
'''観光丸'''（かんこうまる、{{旧字体|'''觀光丸'''}}）は[[江戸幕府]]の<ref name="日本近世造船史明治(1973)p80" />、後に[[軍務官]]直轄([[明治政府]])の[[軍艦]]([[コルベット]])<ref name="日本近世造船史明治(1973)p171" />。
'''観光'''とは、中国の『[[易経]]』の「'''観'''国之'''光'''(国の光を観る)」からとったものである<ref name="銘銘伝2014pp191-192">[[#銘銘伝2014]]pp.191-192</ref>。ちなみに観光[[旅行]]等の「[[観光]]」は、この後にここからとった言葉であるという<ref name="銘銘伝2014pp191-192"/>。
== 概要 ==
[[1855年]](安政2年)、[[長崎海軍伝習所]]練習艦として[[オランダ]]より[[江戸幕府]]へ贈呈された[[軍艦]]。
江戸幕府初の木造外車式[[蒸気船]]。旧名スームビング号<ref name="日本近世造船史明治(1973)p80" />(Soembing)<ref group="注釈">インドネシアの火山・スンビン山([[:en:Mount Sumbing|Gunung Sumbing]])より名付けられた[https://geheugen.delpher.nl/en/geheugen/view?coll=ngvn&identifier=KONB11%3AF9400]。</ref>。
スンビン号とも。
木造の[[外輪船]]で3檣[[スクーナー]]型の[[コルベット]]<ref name="日本近世造船史明治(1973)p80" />。
==
[[1850年]](嘉永3年)にオランダの[[フリシンゲン]]で建造が開始され、[[1853年]](嘉永6年)に完成。アメリカに先んじて日本を開国させ権益を守りたいオランダ政府は、日本におけるアメリカ艦隊の使命などについて詳細な情報を得るため[[ヘルハルドゥス・ファビウス]]中佐を艦長に同船を日本に派遣、[[1854年]]([[嘉永]]7年7月1日<ref>[[#帝国海軍機関史(1975)]]p.34</ref><ref group="注釈">[[#銘銘伝2014]]pp.191-192では、安政元年8月31日としている。</ref>)に長崎着<ref name=pompe>『[https://books.google.co.jp/books?id=uFZDAQAAIAAJ&pg=cover#v=onepage&q&f=false ポンペ日本滞在見聞記]』[[異国叢書|新異国叢書]]、第10巻、雄松堂書店、1968年、原著1887年、P9～</ref>。
西欧文化の優秀性を理解させることで開国を促したいオランダ商館長[[ヤン・ドンケル・クルティウス]]は、ファビウス中佐滞在中に日本で海軍教育を行ない<ref name=pompe/>、
幕府は臨時海軍伝習計画を建てて操艦術の指導を受け、各藩は優秀な人材を長崎に派遣留学させた<ref name="銘銘伝2014pp191-192"/>。
これが[[長崎海軍伝習所]]の始まりだった<ref name="銘銘伝2014pp191-192"/>。
同年9月5日、スンビン号は一旦長崎を離れ、10月に[[ジャカルタ]]に寄港した<ref name="銘銘伝2014pp191-192"/>。
クルティウスはオランダ政府に対してスンビン号を幕府に寄贈するよう提案<ref name=pompe/>、
政府の同意を得てファビウスはスンビン号(艦長[[ヘルハルト・ペルス・ライケン]])を率いてフェデー号([[:nl:Hr.Ms. Gedeh|Gedeh]]<ref group="注釈">{{要出典|date=2019-11|インドネシアの火山・ゲデ山([[w:Mount Gede|Gunung Gede]])より名付けられた。}}</ref>)で[[1855年]](安政2年6月7日<ref name="銘銘伝2014pp191-192"/>)に再来日<ref name=pompe/>。
安政2年8月25日<ref name="中川1994観光"/>、
スンビン号はオランダ国王[[ウィレム3世 (オランダ王)|ウィレム3世]]から13代将軍[[徳川家定]]へ贈呈され、日本の最初の蒸気船となる。
この時日本側は返礼として、[[狩野雅信]]や[[狩野永悳]]といった当代一流の[[御用絵師]]たちが描いた金屏風10双を贈り、その大半が[[国立民族学博物館 (オランダ)|ライデン国立民族学博物館]]に現存している<ref group="注釈">[[榊原悟]]監修 [[サントリー美術館]] [[大阪市立美術館]] [[日本経済新聞社]] 『BIOMBO 屏風 日本の美』(日本経済新聞社、2007年)や、ライデン国立民族学博物館の公式サイトでそれらの図版を見ることが出来る。</ref>。
{{要出典|date=2019-11|翌年「観光丸」と改名し、[[幕府海軍]]の練習艦として使われる。}}
安政2年（1855年）から6年にかけて長崎に於いて「観光丸」を練習艦（のちに他艦も追加）、ペルス・ライケンなどを教官として[[長崎海軍伝習所|海軍伝習]]が行われた<ref>『幕府海軍の興亡』73、82ページ</ref>。その最中、遠隔地である長崎ではいろいろ問題があることから安政4年に江戸で軍艦教授所が開設されることになり、「観光丸」で帰府した第一次伝習生徒がその開設要員となった<ref name=金澤73>『幕府海軍の興亡』73ページ</ref>。「観光丸」は[[矢田堀鴻|矢田堀景蔵]]の指揮で安政4年3月4日から26日にかけて長崎から江戸へ航海している<ref name=金澤83>『幕府海軍の興亡』83ページ</ref>。
<!--
安政4年([[1857年]])春、江戸に操練所を設けることになり、観光丸は3月4日長崎を出港、26日江戸に到着した<ref>[[#帝国海軍機関史(1975)]]p.127</ref>。
この時に長崎の第1期伝習生のほとんどが江戸に戻った<ref name="帝国海軍機関史(1975)p177">[[#帝国海軍機関史(1975)]]p.177</ref>。
なお[[長崎海軍伝習所]]は2年後の安政6年2月([[1859年]])に伝習中止の命令があり、閉鎖された<ref name="帝国海軍機関史(1975)p177"/>。
-->
観光丸は[[万延]]元年1月([[1860年]])に[[佐賀藩]]が預かり<ref name="銘銘伝2014pp191-192"/>、
3月25日受領<ref name="佐賀藩海軍史(1972)p253">[[#佐賀藩海軍史(1972)]]p.253</ref>、
{{要出典|date=2019-11|同藩の[[三重津海軍所]]で運用された。[[1865年]](慶応元年)に「観光」と再び改名。}}
[[文久]]2年11月19日([[1862年]])江戸へ回航した<ref name="銘銘伝2014pp191-192"/><ref name="佐賀藩海軍史(1972)p253"/>。
[[元治]]元年2月([[1864年]])、[[神戸]]で幕府に返還された<ref name="銘銘伝2014pp191-192"/><ref name="佐賀藩海軍史(1972)p253"/>。
万延元年3月から4月まで長崎派遣、4月から文久3年12月まで佐賀藩へ貸与<ref>『幕府海軍の興亡』106-107ページ</ref>とも。文久3年末から4年初めの将軍[[徳川家茂]]の軍艦による再上洛の際、「観光丸」も動員された<ref>『幕府海軍の興亡』152-153ページ</ref>。
元治元年2月、輸送船との区別のため軍艦は「丸」を省いて呼ぶこととされた<ref name=金澤170/>。この際、「観光」他5隻が軍艦とされている<ref name=金澤170>『幕府海軍の興亡』170ページ</ref>。
[[慶応]]4年4月11日([[1868年]])に[[朝廷 (日本)|朝廷]]へ献上<ref name="日本近世造船史明治(1973)p80" />、
4月28日収容し<ref name="中川1994観光"/>、
[[軍務官]]直轄([[明治政府]])の[[軍艦]]となり<ref name="日本近世造船史明治(1973)p171" />、
以後[[横須賀港|横須賀]]に繋留された<ref name="中川1994観光"/>。
この時既に艦齢18年であり<ref name="銘銘伝2014pp191-192"/>、
同年5月に廃船となったという記録もあるという<ref name="日本海軍全艦艇史p438No1227">[[#日本海軍全艦艇史]]p.438、No.1227の画像解説。</ref>。
この頃の写真では帆装設備が撤去され、外洋航行は既に断念されている<ref name="日本海軍全艦艇史p438No1227" />。
[[1873年]](明治6年)[[石川島]]に繋留替えされた<ref name="中川1994観光" />。
[[1876年]](明治9年)3月に除籍、解体された<ref>[[#艦船名考(1928)]]pp.3-4、3 観光 くわんくわう Kwankwô</ref>。
== 復元船 ==
[[file:Kankō Maru in yokohama japan side.jpg|250px|thumb|復元船 観光丸]]
==脚注==
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
{{notelist}}
===出典===
{{reflist|2}}
==参考文献==
* [https://www.jacar.go.jp/ アジア歴史資料センター(公式)](防衛省防衛研究所)
**{{Cite book|和書|id=Ref.C10123646500|title=海軍歴史 巻之23 船譜(1)|ref=海軍歴史23船譜(1)}}
* <!--アサイ1928-->{{Cite book|和書|author=浅井将秀/編|title=日本海軍艦船名考|publisher=[[水交社|東京水交社]]|date=1928-12|ref=艦船名考(1928)}}
* <!--カタギリ2014-->{{Cite book|和書|author=片桐大自|date=2014-04|origyear=1993|title=聯合艦隊軍艦銘銘伝<普及版> <span style="font-size:90%;">全八六〇余隻の栄光と悲劇</span>|publisher=潮書房光人社|isbn=978-4-7698-1565-5|ref=銘銘伝2014}}
*金澤裕之『幕府海軍の興亡 幕末期における日本の海軍建設』慶應義塾大学出版会、2017年、ISBN 978-4-7664-2421-8
* <!--ゾウセンキョウカイ1911-->{{Cite book|和書|volume=明治百年史叢書<!-- 第巻-->|title=日本近世造船史 明治時代|author=造船協会|publisher=原書房|date=1973|origyear=1911|ref=日本近世造船史明治(1973)}}
* <!--ニホンハクヨウ1975-->{{Cite book|和書|author=日本舶用機関史編集委員会/編|title=帝国海軍機関史|volume=明治百年史叢書 第245巻|publisher=原書房|date=1975-11|ref=帝国海軍機関史(1975)}}<!-- 上巻、下巻、別冊の3分冊-->
* <!--ヒテシマ1972-->{{Cite book|和書|volume=明治百年史叢書 第157巻|title=佐賀藩海軍史|author=秀島成忠/編|publisher=原書房|date=1972-12|origyear=1917|ref=佐賀藩海軍史(1972)}}
* <!--フクイ1994-->{{Cite book|和書|author=福井静夫|authorlink=福井静夫|date=1994|title=写真 日本海軍全艦艇史|publisher=ベストセラーズ|isbn=4-584-17054-1|ref=日本海軍全艦艇史}}
==関連項目==
*[[咸臨丸]]
*[[大日本帝国海軍艦艇一覧]]
{{-}}
{{日本のコルベット}}
{{DEFAULTSORT:かんこうまる}}
[[Category:幕府海軍の艦船]]
[[Category:軍務官直轄の艦船]]
[[Category:戊辰戦争の艦船]]
[[Category:日本の砲艦]]
[[Category:1853年進水船]]
[[Category:1853年竣工船]]
[[
[[Category:幕末の日本の蒸気船]]
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