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ドイツ: 連合軍の破壊を付記
 
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航空機による[[爆撃]]や[[機銃掃射]]だけでなく、[[対地ミサイル]]攻撃や[[砲撃]]から身を守る機能もあり<ref name="AFP20150215"/>、敵の地上部隊が進撃・上陸してきた場合には、防衛戦における[[陣地]]や[[要塞]]を兼ねて使われることもある([[2022年ロシアのウクライナ侵攻]]における[[アゾフスタリ製鉄所]]の戦い<ref>[https://www.yomiuri.co.jp/world/20220419-OYT1T50039/ マリウポリの製鉄所の下、ソ連時代に建設の「地下要塞」…診療所や武器庫にカフェも] [[読売新聞]]オンライン(2022年4月19日)2022年9月20日閲覧</ref>など)。
 
地域紛争が起きている地域では、防空壕は日々の攻撃から住民の生命を守るための実用的なものとして作られ使われている。たとえば[[イスラエル]]は建国以来、周囲の[[イスラム]]諸国と全面戦争を複数経験([[中東戦争]])したほか、その後も[[ガザ地区]]から[[ロケット弾]]攻撃を(日本ではいちいちニュースで報じていなくても)現地ではしばしば攻撃を受けており、防空壕はイスラエルでは「[[空襲警報]]の[[サイレン]]が鳴るたびに駆け込むもの」という位置づけである。
 
また[[核攻撃]]される可能性を危惧して核攻撃に、[[放射能汚染]]耐えるような想定した防空壕([[核シェルター]])を建造している政府がいくつもある。[[核兵器]]保有国[[ロシア]]に近い[[北欧]]では核攻撃される可能性はかなりありえる事態だと認識されているので、核攻撃に耐えるような防空壕が建造してある。[[アメリカ合衆]]の民間人でも、核攻撃されることや[[第三次世界大戦]]が勃発する可能性を真剣に憂慮し、遅かれ早かれ起きるものとしてそれへの準備を怠らない[[プレッパー]]と呼ばれる人々は、自力でそうした核シェルターを用意し、シェルター内にかなりの量の備蓄物を蓄えている。
 
強度や規模は様々であり、[[日本]][[太平洋戦争]]中に民間人が自分の家族のために住宅の裏山や庭などを掘り作ったものは小さくて簡素な防空壕だった<ref name="日経20220903">が、[https://www.nikkei.com/article/DGKKZO64020310S2A900C2CM0000/ 「庭先の防空壕 どう残す/個人所有、老朽化で維持難しく 記憶伝承へ公開模索も」「旧日本軍や自治体が建造 特殊壕8474カ所残存」]『[[日本経済新聞]]』朝刊20229月3日(社会面)2022年9月20日閲覧</ref>が、政府が国家・政府機能や軍隊の指令系統を維持するために作る場合は、強固で大きななシェルターを作ることになる。[[アメリカ合衆国連邦政府]]は核攻撃にも耐えるよう山の下、分厚い岩盤の層の下に建造し、かなりの人数の人々が長期に渡り生き延びられるように相当な備蓄もしている([[シャイアン・マウンテン空軍基地]])
 
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現代では'''[[地下鉄駅]]'''が防空壕としても利用されている。他国から侵略されることを意識せざるを得ない国々では、地下鉄駅を防空壕として使うことをかなり意識して、一部の駅は防空壕兼用で設計し、それ用の諸設備も備えている。
 
[[2022年ロシアのウクライナ侵攻]]では、地下鉄駅にウクライナ国民が多数、[[毛布]]、[[寝袋]]、[[キャンプ]]用マットレス、[[段ボール]]などを持ちこんで1カ月以上耐えている。防空壕となった地下鉄駅では、戦争難民を支援する自国や各国のボランティア団体などが水や食料を配布している。地下壕に逃げ込んだ大人たちの多くは自身の日常の仕事(職業上の仕事)ができなくなってしまうが、子供たちは地下壕に逃げ込んだとしても学習を止めて無為に過ごしてしまっては将来に問題が生じるので、たとえ戦時だとしても防空壕内に学校の教材を持ちこんで親子で勉強を続けている。
 
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Zhytomyrska Metro Station 26-02-2022.jpg|防空壕として使われ、長期避難状態になった地下鉄駅構内(2022年、ウクライナ)
People on a metro station during Russian invasion, Kyiv, 2022.jpg|避難者数が膨大で構内だけでは場所が足りないので、プラットホーム上にも避難者が座っている。列車の運行も行われ、乗降客もホームを歩いている(2022年、ウクライナの首都[[キーウ]]の地下鉄駅にて)
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[[第二次世界大戦]]期には、各国で、それぞれのつくり方で、防空壕が造られるようになった。
 
[[冷戦]]期には[[大量破壊兵器]]、NBCつまり[[核兵器]]、[[生物兵器]]、[[化学兵器]]などが使用されるリスクが高まったので、それらから身をまもるためのシェルターや、シェルター機能を兼ね備えた[[地下鉄]][[鉄道駅|]]などが各国で盛んに建造された。
 
== 各国の防空壕 ==
=== フィンランドアメリカ合衆国 ===
[[Image:WWII SF posters.gif|thumb|200px|第二次世界大戦中に[[サンフランシスコ]]市内に張り出されたシェルターへの避難案内]]
:[[フィンランド]]は[[ロシア]]([[ソ連]])と長い国境で接しており、20世紀にはロシアから侵略され領土も奪われたので、今後もロシアが[[侵略]]のための攻撃をする可能性が高いと想定、侵略は現実的なものと想定して防空壕が多数用意されている。しかもそのロシア(ソ連)は[[核兵器]]を大量保有しているので、核兵器で攻撃されることを想定したしっかりした構造の防空壕も多数造られている。フィンランドは、ヨーロッパ各国の中で比較した場合、防空壕建造を比較的しっかりと行なって国である。たとえば首都[[ヘルシンキ]]の人口は(2013年時点のデータで)およそ60万人強であるがそれ以上の90万人が避難できる防空壕が建造してあり、いつでも使用できる状態になっている。
: 第二次世界大戦中のアメリカ合衆国では、[[1942年]]9月に行われた[[大日本帝国海軍|日本海軍]]機による[[アメリカ本土空襲]]を受けて、[[サンフランシスコ]]や[[シアトル]]、[[ロサンゼルス]]などの[[アメリカ合衆国西海岸|西海岸]]の主要都市に防空壕が多数作られた。
:首都ヘルシンキの地下鉄駅は、核攻撃も想定した防空壕兼用の駅となっている。天井に鉄板などを配し、耐攻撃性能を高めている駅もある。
: 冷戦期に、ソ連からの核攻撃に備え{{ill2|レイブン・ロックマウンテン・コンプレックス|en|Raven Rock Mountain Complex}}(別名:underground Pentagon)という陸海空軍の非常用統合指揮所、[[北アメリカ航空宇宙防衛司令部]](NORAD)の地下司令部[[シャイアン・マウンテン空軍基地]]が作られた。
:地下鉄駅以外でも防空壕目的で建造した地下施設も多数建造されている。巨大な地下施設を造り、普段は市民の各種施設(スポーツジムや市民プールなど)として利用していて、戦争が始まったら純粋に防空壕目的の使用へと切り替える手はずとなっている(これにより建造コストの一部を回収し、壁面や天井などのメンテナンスも続けられることになる。普段から使用する施設とすることで、自然と空調・飲料水供給・トイレなども備えることになり、いざ防空壕として実際に使用する時でも比較的快適な空間となる)。
: [[政府存続計画]]の一つ 「[[:en:Project Greek Island|Project Greek Island]]」で、首都[[ワシントンD.C.]]から近い{{仮リンク|グリーンブライヤー|en|The Greenbrier}}ホテルの地下に政府要人のための核シェルターが設置された。
:[[:en:Civil defence in Finland]](英語版記事)も参照のこと。
: [[ホワイトハウス]]の地下には「[[大統領危機管理センター]]」(PEOC)という名の地下壕がある。何度も使われており、2001年9月11日の[[アメリカ同時多発テロ]]の時も大統領側近らが逃げ込んだ([[ジョージ・W・ブッシュ]]大統領自身は、テロ発生時にワシントンにおらず、ある学校の教室で子供たちと交流していたのでPEOCには入らなかった(入れなかった)。[[ドナルド・トランプ]]大統領も2020年5月に[[ジョージ・フロイド抗議運動|警官によるジョージ・フロイドの殺害に抗議するデモ]]が起きた時にこのPEOCに逃げ込んだ。
 
=== イギリス ===
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[[Image:Belsize Park deep level shelter 3.jpg|thumb|200px|地下深くに作られた[[ロンドン]]の防空壕]]
Kampin_metroasema.jpg|フィンランド、[[ヘルシンキ]]の地下鉄駅 兼 防空壕の例。戦争になったら国民を多数避難させるために、巨大で頑丈な造りになっている。
: [[第二次世界大戦]]当時、[[ドイツ空軍 (国防軍)|ドイツ空軍]]の空襲([[バトル・オブ・ブリテン]])にさらされた[[イギリス]]の首都[[ロンドン]]では、発達した[[ロンドン地下鉄|地下鉄]]を防空壕として使用した。ほかに、戦争初期に計画して郵便施設地下に作られた「パドック」(暗号名)、ウックスブリッジ空軍地下秘密指令施設などがあった。
Väestönsuojan_ovi.jpg|フィンランドの民間の防空壕のドア
: 冷戦期には、ロンドンのコーシャムにある地下[[採石場]]跡を使用した核シェルター作戦本部 [[:en:Central Government War Headquarters]]や[[:en:Hack Green Secret Nuclear Bunker]]、[[:en:York Cold War Bunker]] が設置された。
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=== ウクライナ ===
: ソ連時代([[ウクライナ・ソビエト社会主義共和国]])から作られたシェルターが国内に多数存在する。[[ソビエト連邦の崩壊]]に伴う[[1991年]]の[[ウクライナ]]独立後には、多くが忘れ去られるもしくは維持管理のレベルが低下した。
: ウクライナ北東部の[[ハルキウ州]]の州都[[ハルキウ]]の例では、市内に4600ヶ所のシェルターがあるとされていたが、[[2021年]]以降の[[ロシア・ウクライナ危機 (2021年-2022年)|ロシア・ウクライナ危機]]の際に住民らが確認したところ、使用可能となっている場所でも地下水が溜まっていたり、遊興飲食店に転用されたりしているなど、問題のある場所が指摘されることとなった<ref>{{Cite web|和書|url=https://japanese.joins.com/JArticle/287932 |title=遊興飲食店になったウクライナのバンカー…「これで戦争に備えろと?」嘆き極限 |publisher=[[中央日報]] |date=2022-02-18 |accessdate=2022-02-23}}</ref>。
 
=== 韓国 ===
: [[大韓民国|韓国]]では、[[韓国の地下鉄|地下鉄]]や[[地下街]]は、主に[[朝鮮民主主義人民共和国|北朝鮮]]から攻撃された場合に防空壕として利用するために建造されている。そのため地下鉄駅や地下街の入口には「避難所」とはっきりと表示され、戦争時を想定した設備も多く備わり、防毒マスクの備蓄なども行われている。韓国で首都[[ソウル特別市|ソウル]]をはじめ多くの主要[[都市]]に地下街が発達しているのはシェルター利用を想定しているためでもある。
 
=== スウェーデン ===
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:このため国産戦闘機[[サーブ 35 ドラケン|ドラケン]]や[[サーブ 37 ビゲン|ビゲン]]は狭い格納庫に入るように設計されている。
 
=== イギリス中国 ===
: 1969年の[[中ソ対立]]を機に、広大な核シェルター「[[北京地下城]]」が建設された。
[[Image:Belsize Park deep level shelter 3.jpg|thumb|200px|地下深くに作られた[[ロンドン]]の防空壕]]
: [[第二次世界大戦]]当時、[[ドイツ空軍 (国防軍)|ドイツ空軍]]の空襲([[バトル・オブ・ブリテン]])にさらされた[[イギリス]]の[[ロンドン]]では、発達した[[ロンドン地下鉄|地下鉄]]を防空壕として使用した。ほかに、戦争初期に計画し郵便施設地下に作られた「パドック」(暗号名)、ウックスブリッジ空軍地下秘密指令施設などがあった。
: 冷戦期には、ロンドンのコーシャムにある地下採石場跡を使用した核シェルター作戦本部 [[:en:Central Government War Headquarters]]や[[:en:Hack Green Secret Nuclear Bunker]]、[[:en:York Cold War Bunker]] が設置された。
 
=== フランス ===
: 首都である{{ill2|パリの地下採石場|en|Mines of Paris}}の一部は様々な機能を備えた施設として利用されている。(なお世界的に有名なパリの美しい街並み、つまり石造りの建物群はほぼ全て地下の採石場から掘り出した石を利用して建造されており、大量に採石した分だけ地下には大量の穴の群ができている。)その一部は防空壕としても使われている(また、一部は[[カタコンブ・ド・パリ|納骨堂]]として一般開放されている)。パリの地下採石場は、第二次大戦時にはドイツ軍の防空壕施設、そしてそのすぐ側にはドイツに対抗する[[レジスタンス]]の施設が置かれていた<ref>[https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/magazine/1102/feature03/ ようこそ、パリの地下世界へ]([[ナショナルジオグラフィック (雑誌)|ナショナルジオグラフィック]])</ref>。
: 冷戦期に、元採石場を利用した[[タヴェルニー空軍基地]]が核シェルターとして建設された。
 
=== ドイツ ===
:[[ナチス・ドイツ]]は、ドイツ語で[[:de:Projekt Riese]]と呼ばれる巨大な地下壕(地下都市)を造っていた。
:総統[[アドルフ・ヒトラー]]は自分用に、首都[[ベルリン]]の官邸地下にに'''[[総統地下壕]]'''と呼ばれる非常に強固な地下壕を建造していた。深さは地下15メートル。おまけに連合軍による破壊を阻止するため強化コンクリートの壁で囲まれ、上面のコンクリートの厚さが、なんと、4メートルにもおよぶものであった。敗戦色が濃くなるとそこに身を隠し、そこから軍へ指示を出した。そして最後はそこで自決した。戦後、ナチスの忌わしい記憶が残っているこの地下壕を破壊しようとしたものの、あまりに強固すぎて破壊することができなかったといい、埋めるにとどまっている。
 
:総統[[アドルフ・ヒトラー]]は自分用には、'''[[総統地下壕]]'''と呼ばれる非常に強固な地下壕を、官邸の庭下に建造していた。深さは地下15メートル。おまけに連合軍による破壊を阻止するため強化コンクリートの壁で囲まれ、上面のコンクリートの厚さが、なんと、4メートルにもおよぶものであった。敗戦色が濃くなるとそこに身を隠し、そこから軍へ指示を出した。そして最後はそこで自決した。戦後、ナチスの忌わしい記憶が残っているこの地下壕を破壊しようとしたものの、あまりに強固すぎて破壊することができなかったといい、埋めるにとどまっている。
 
: [[アルプス山脈]]北側の丘陵地帯には{{ill2|エルトシュタール|en|Erdstall}}というトンネルが点在している。起源は不明だが、昔から避難所や宗教儀式場として利用されていたと推測されている。
: ドイツの都市部には第二次大戦期・東西冷戦期の防空壕が残り、地下のトンネルや核シェルターのほか、地表に設けられた避難施設(ホーホブンカー)や[[高射砲塔]](フラックトゥルム)も含まれる。これらの一部は歴史的建造物として見学できるほか、住宅・商業施設等としても利用され続けている。
 
=== フィンランド ===
:[[フィンランド]]はロシア(旧[[ソ連]])と長い国境で接しており、20世紀にはロシアから侵略され領土も奪われたので([[冬戦争]]・[[継続戦争]])、今後もロシアが[[侵略]]のための攻撃をする可能性が高いと想定、侵略は現実的なものと想定して防空壕が多数用意されている。しかもそのロシア(ソ連)は核兵器を大量保有しているので、核兵器で攻撃されることを想定したしっかりした構造の防空壕も多数造られている。フィンランドは、ヨーロッパ各国の中で比較した場合、防空壕建造を比較的しっかりと行なってある国である。たとえば首都[[ヘルシンキ]]の人口は(2013年時点のデータで)およそ60万人強であるがそれ以上の90万人が避難できる防空壕が建造してあり、いつでも使用できる状態になっている。
:首都ヘルシンキの地下鉄駅は、核攻撃も想定した防空壕兼用の駅となっている。天井に鉄板などを配し、耐攻撃性能を高めている駅もある。
:地下鉄駅以外でも防空壕目的で建造した地下施設も多数建造されている。巨大な地下施設を造り、普段は市民の各種施設(スポーツジムや市民プールなど)として利用していて、戦争が始まったら純粋に防空壕目的の使用へと切り替える手はずとなっている(これにより建造コストの一部を回収し、壁面や天井などのメンテナンスも続けられることになる。普段から使用する施設とすることで、自然と空調・飲料水供給・トイレなども備えることになり、いざ防空壕として実際に使用する時でも比較的快適な空間となる)。
:「[[:en:Civil defence in Finland]]」(英語版記事)も参照のこと。
 
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Kampin_metroasema.jpg|フィンランド首都ヘルシンキの地下鉄駅 兼 防空壕の例。戦争になったら国民を多数避難させるために、巨大で頑丈な造りになっている。
Väestönsuojan_ovi.jpg|フィンランドの民間の防空壕のドア。標識は[[民間防衛]]を示す。
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=== ハンガリー ===
: 冷戦期に[[:en:F-4 Object]] という核シェルターが、首都[[ブダペスト]]の都心部に設置された。[[国会議事堂 (ハンガリー)|国会議事堂]]に繋がる[[隠し通路|秘密通路]]を持つ[[ブダペスト地下鉄2号線]]と直結している。一度も使われたことはないが、現在もなお各設備の点検が毎週行われている。
 
=== ウクイナンス ===
: 首都である{{ill2|パリの地下採石場|en|Mines of Paris}}の一部は様々な機能を備えた施設として利用されている。(なお世界的に有名なパリの美しい街並み、つまり石造りの建物群はほぼ全て地下の採石場から掘り出した石を利用して建造されており、大量に採石した分だけ地下には大量の穴の群ができている。)その一部は防空壕としても使われている(また、一部は[[カタコンブ・ド・パリ|納骨堂]]として一般開放されている)。パリの地下採石場は、第二次世界大戦時には[[ナチス・ドイツによるフランス占領|占領ドイツ軍]]の防空壕施設、そしてそのすぐ側にはドイツに対抗する[[レジスタンス]]の施設が置かれていた<ref>「[https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/magazine/1102/feature03/ ようこそ、パリの地下世界へ]」[[ナショナルジオグラフィック (雑誌)|ナショナルジオグラフィック]]</ref>。
: [[ソビエト連邦]]([[ウクライナ・ソビエト社会主義共和国]])時代から作られたシェルターが国内に多数存在するが、冷戦終結、[[1991年]]の[[ウクライナ]]独立後には、多くが忘れ去られるもしくは維持管理のレベルが低下した。
: 冷戦期に、元採石場を利用した[[タヴェルニー空軍基地]]が核シェルターとして建設された。
: ウクライナ北東部の[[ハルキウ州]]の州都[[ハルキウ]]の例では、市内に4600ヶ所のシェルターがあるとされていたが、[[2021年]]以降の[[ロシア・ウクライナ危機 (2021年-2022年)|ロシア・ウクライナ危機]]の際に住民らが確認したところ、使用可能となっている場所でも地下水が溜まっていたり、遊興飲食店に転用されるなど問題のある場所が指摘されることとなった<ref>{{Cite web |url=https://japanese.joins.com/JArticle/287932 |title=遊興飲食店になったウクライナのバンカー…「これで戦争に備えろと?」嘆き極限 |publisher=中央日報 |date=2022-02-18 |accessdate=2022-02-23}}</ref>。
 
=== ロシア ===
: 首都モスクワには、[[モスクワ地下鉄]]に沿うように建設されたとされる、核戦争時の緊急避難シェルターおよびそこに通じる専用路線[[メトロ-2]]([[:en:Metro-2|en]])や[[バンカー GO-42]](現在は博物館に改装)がある。
: [[ヤマンタウ山]]の地下に[[核シェルター]]司令部が置かれている、と[[アメリカ合衆国]]は推察している<ref name= "Blair">{{cite news |first= Bruce G |last= Blair | authorlink= | coauthors= | title = We Keep Building Nukes For All the Wrong Reasons |url= http://www.globalzero.org/files/bb_we_keep_building_nukes_for_all_the_wrong_reasons_05.25.2003.pdf |work= The Washington Post | publisher= |date=May 25, 2003 |accessdate=28 February 2009 }}</ref>。
 
=== 中国 ===
: 1969年の[[中ソ対立]]を機に、広大な核シェルター[[北京地下城]]が建設された。
 
=== 韓国 ===
: [[大韓民国|韓国]]では、[[韓国の地下鉄|地下鉄]]や[[地下街]]は、主に[[朝鮮民主主義人民共和国|北朝鮮]]から攻撃された場合に防空壕として利用するために建造されている。そのため地下鉄駅や地下街の入口には「避難所」とはっきりと表示され、戦争時を想定した設備も多く備わり、防毒マスクの備蓄なども行われている。韓国で首都[[ソウル特別市|ソウル]]をはじめ多くの主要[[都市]]に地下街が発達しているのはシェルター利用を想定しているためでもある。
 
=== アメリカ ===
[[Image:WWII SF posters.gif|thumb|200px|第二次世界大戦中に[[サンフランシスコ]]市内に張り出されたシェルターへの避難案内]]
: 第二次世界大戦中の[[アメリカ合衆国]]では、[[1942年]]9月に行われた[[大日本帝国海軍|日本海軍]]機による[[アメリカ本土空襲]]を受けて、[[サンフランシスコ]]や[[シアトル]]、[[ロサンゼルス]]などの[[アメリカ合衆国西海岸|西海岸]]の主要都市に防空壕が多数作られた。
: 冷戦期に、ソ連からの核攻撃に備え{{ill2|レイブン・ロックマウンテン・コンプレックス|en|Raven Rock Mountain Complex}}(別名:underground Pentagon)という陸海空軍の非常用統合指揮所、北アメリカ航空宇宙防衛司令部(NORAD)の地下司令部[[シャイアン・マウンテン空軍基地]]が作られた。
: [[政府存続計画]]の一つ 「[[:en:Project Greek Island|Project Greek Island]]」で、ワシントンから近い{{仮リンク|グリーンブライヤー|en|The Greenbrier}}ホテルの地下に政府要人のための核シェルターが設置された。
: [[ホワイトハウス]]の地下には「[[大統領危機管理センター]]」(PEOC)という名の地下壕がある。何度も使われており、2001年の9.11同時多発テロの時も大統領側近らが逃げ込んだ(ブッシュ大統領自身は、テロ発生時にワシントンにおらず、某学校の教室で子供たちと交流していたのでPEOCには入らなかった(入れなかった)。ドナルド・トランプも2020年5月に[[ジョージ・フロイド抗議運動|警官によるジョージ・フロイドの殺害に抗議するデモ]]が起きた時にこのPEOCに逃げ込んだ(人種差別主義者のトランプが人種差別を誘発し当事件も誘発したというのに自分の身だけは護ろうとしてびくびくとPEOCに逃げ込んだというその人間性が、アメリカで問題視されている)。
 
== 日本の防空壕 ==
都市部に多数ある'''[[地下鉄駅|地下鉄の駅]]'''の大部分は、十分深い場所に建造されており、防空壕として使える(ウクライナでも地下鉄駅が防空壕として使われている。日本でも太平洋戦争中では首都[[東京]]を走る[[東京メトロ銀座線|地下鉄銀座線]]の駅が防空壕として使われた
 
[[2004年]]に施行された[[武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律]](国民保護法)では、[[弾道ミサイル]]の着弾などを想定して都道府県知事と[[政令指定都市]]市長に避難施設の指定を義務付けている。2020年4月時点で指定された施設は約9万4千だった。(だが、そのうち地下施設は(わずか)1127しかなく、その時点では地下鉄駅の指定がゼロで、明らかに地下鉄駅を活用した指定が遅れていた。)だ2010年代以降北朝鮮ミサイル実験を増加させる中、[[2022年ロシアのウクライナ侵攻]]が始まり緊張が高まると状況が一気に変化し、地下鉄駅の指定数が増え始め、4月後半までに300を超える地下駅舎が避難施設として指定された。たとえば大阪府と府下の大阪市堺市は2022年5月7日に[[大阪メトロ]]の全133駅中108の地下駅舎を避難施設に指定したと発表し、避難場所を「改札の手前まで」と設定(避難者が線路上に落ちることを防ぐため、とのこと)。日本の地下鉄駅は、ウクライナの地下鉄駅のように最初から核攻撃を想定して100m以上の深さに造っているのではないのでさすがに核兵器の直撃までは耐えられないが、それでも普通のミサイル(つまり核弾頭ではない、通常の[[爆薬]]を搭載したミサイル)であれば命を守れる可能性が十分に高くなる<ref name="yomiuri_0421" />。なお東京都は地下鉄網が発達しており地下鉄駅も非常に多いのだが、2022年4月時点では地下鉄駅の活用については後手にまわっており、まだ検討中で避難施設指定がゼロの状態にとどまっている(いた))<ref name="yomiuri_0421">{{Cite web |和書|url=https://www.yomiuri.co.jp/national/20220421-OYT1T50219/ |title=日本の地下駅300超、有事の避難施設に指定…地上から浅くミサイルには弱く |publisher=[[読売新聞]] |date=2021-04-21|accessdate=2022-04-21}}</ref>。
 
一般住宅の防空壕に関しては、地下室を建造している住宅ではその地下室を地下壕として一応使うこともできる。マンションなど[[鉄筋コンクリート]]造で地下駐車場を備えているものも、その地下駐車場を地下壕として一応使うことができる(完璧ではないにしても、命を守れる可能性が十分に高くなる)。一方、木造の一戸建ての民家は上部構造が頑丈ではなく、地下室があったとしても1階の直下が地下室で1階と地下の境も薄く、床・天井もただの木製の板なので、爆弾の直撃には耐えられない。ウクライナが侵攻されたのを期に、日本でも金属製で頑丈な家庭用シェルターへの関心が高まっている。たとえばイスラエル製の頑丈な金属製シェルターは幅約2m x 奥行約4m x 高さ約2mというサイズで乗用車1台分のスペースがあれば設置でき、収容人数は最大5人、価格は税別500万円台<ref name="yomiuri_0421" />。核攻撃を想定した、放射性物質を侵入させないエアフィルターを用いた換気装置を備えた輸入品も販売されている。<ref> group=" - 釈">なお2022年4月時点では、日本は他の国に比べて、一般家庭用シェルターの準備があきらかに後手にまわっていて、国内メーカーがまだ育っておらず輸入品が中心となっているが、ウクライナ侵攻以降、与党[[自由民主党 (日本)|自民党]]内でも「大切なのは国民の生命であり、国民が避難できるシェルターをもっと多数用意すべきで、それに向けた制度(法制度や補助金など)も検討すべきだ」という話はさかんにされるようになっているので、今後、仮にスイスのように国民の全人口以上の人数が避難できるシェルターを用意しておくことを目指すようになれば、あるいはそこまでいかなくてもたとえば、有事に日本国民の5割以上がシェルターに避難できるようにシェルターを用意しておく、と数値目標を設定するだけでも、日本国内の家庭用シェルターの市場規模がとても大きくなり、シェルターを日本で製造して十分に利益が出るようになるので、国内の会社がシェルターを大量に製造するための[[生産ライン]]を作るようになる。日本の大手企業が製造すれば、(日本は技術力があるので、自動車産業などと同様に)シェルター製造業を輸出産業にできる可能性があり、日本経済に貢献する可能性もある。</ref>
 
=== 第二次世界大戦期の防空壕 ===
なお、[[首相官邸]]の[[内閣総理大臣官邸#危機管理センター|危機管理センター]]や[[防衛省]]庁舎の[[中央指揮所]]には防空壕がある。
日本の防空壕は太平洋戦争中に[[日本本土空襲]]に対して多数が急造され、戦後はほとんどが取り壊しまたは放置された<ref name="日経20220903"/>。当時の防空壕は、民間で造ったものと軍部などが造ったものでは質に大きな差があった。
=== 日本での歴史 ===
[[日本]]の防空壕は太平洋戦争中に[[日本本土空襲]]に対して多数が急増され、戦後はほとんどが取り壊しまたは放置された<ref name="日経20220903"/>。
 
[[第一次世界大戦]]以降、航空爆撃が本格的に行なわれるようになり、[[大日本帝国政府]]や[[日本軍]]は太平洋戦争突入前から、日本本土への空襲に備えていた。
[[太平洋戦争]]([[第二次世界大戦]])当時の日本の防空壕は、民間で造ったものと軍部などが造ったものでは質に大きな差があった。
 
;民間のもの
第二次世界大戦当時、日本は極端な物資不足に陥っていたので、日本の民間のものはとても簡素なものであり、多くは[[土]]に[[穴]]を掘り、坑道を掘る要領で、土が上から崩れないように廃材を組み合わせて「つっかえ棒」のように使い、かろうじて築いたようなものが多かった。
 
[[第二次世界大戦]]中の日本の民間の防空壕は、爆風や[[航空爆弾]]破片や爆風、爆風によって飛散し飛来する土砂・石礫などによる危害を避けるためのあくまでも応急的な待避設備であった。「命中弾」を受け日本本土空襲の主力になっ場合、つまり[[爆撃機]]([[B-29]]から投下される[[爆弾]]が防空壕の真上に着弾した場合は安全は保てない可能性があった。つまり(不運にも)爆弾の直撃を受けると防空壕内で[[落盤]]が発生してしまい、中の人は「生き埋め」になり死んでしまうということがしばしば起きた。したがって防空壕の中にいても「気が気でない」状態は続き、「どうか、直撃しませんように」と避難した人々の大半は祈るような気持ちで敵機が飛び去るのを待った。
 
つまり日本の民間の防空壕は、「絶対に身を守れる」というようなものではなく、あくまで「機銃掃射で殺されることは避けられる」「爆弾投下されても直撃しなければ、助かる可能性がある」といった程度の位置づけのものであった。
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民間のものは通常、自宅の敷地内の庭や、空き地などに設けられた。家屋密集地域で、各家に庭なども無く、敷地内に造れない場合は、付近の(共同の)空き地に、最初から「共同のもの」という位置づけの防空壕がしばしば造られた。
 
日本では[[第二次世界大戦]]中に、[[アメリカ軍]]をはじめとする[[連合国 (第二次世界大戦)|連合国]]軍機による、日本本土([[銃後]])への大規模空襲が現実のものとなり、空襲の危険から逃れるため、[[1944年]]頃から学校の[[校庭]]、強制[[疎開]]先の空き地、個人の自宅([[住宅]])や敷地内<ref>{{Cite web|和書|title=空襲から家族救った自宅防空壕 できれば残したい、でも|url=https://www.asahi.com/articles/ASP7Z5WWFP7TDIFI001.html|website=[[朝日新聞デジタル]]|accessdate=2021-08-08|language=ja}}</ref>などに大量に作られるようになった。人々は[[空襲警報]]が鳴ると、身近なところに造られた防空壕に身を隠した。
 
[[大日本帝国政府]]は、空襲激化を前にして防空壕政策を転換した。[[1940年]][[12月24日]]に[[内務省 (日本)|内務省]]計画局が発した通牒「防空壕構築指導要領」<ref>{{Cite|和書|title=電気事業資料 第10号 防空諸法規並資料|pages=77-96|id={{国立国会図書館デジタルコレクション|format=NDLJP|1141490/51}}|publisher=電気協会九州支部|editor=電気協会九州支部|year=1941|ref=harv}}</ref>は、空き地や庭に堅固な防空壕を作るよう国民に指示した。ところが、[[防空法]]改正により退去禁止と[[消火]]義務が法定された後、[[1942年]]7月3日に内務省防空局が発した通牒「防空待避施設指導要領」は、床下に「簡易ニシテ構築容易ナルモノ」を設置するよう指示した<ref>水島朝穂ほか著[httphttps://osakanet.web.fc2.com/bokuho/index.html 『検証 防空法 ―― 空襲下で禁じられた避難』]([[法律文化社]]、2014年)132~140頁</ref>。
 
;軍部のもの
上述の通り日本では深刻な物資不足に陥っていたものの軍事施設については最優先で各種物資が提供されており、[[日本]]は建築資材に恵まれていたことから[[鉄筋コンクリート]]で頑丈なもの防空壕を建造した。
 
軍施設の防空壕について説明すると、[[参謀本部 (日本)|参謀本部]]の防空壕は現在の[[防衛省]]の敷地に、[[大日本帝国海軍|日本海軍]][[連合艦隊]]司令部として[[日吉台地下壕]]が[[神奈川県]][[横浜市]][[港北区]]に造られ、現存する。[[皇居]]には「御文庫」並びに「[[御文庫附属庫]]」が建造された。
 
{{Gallery
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|File:Large scale air-raid shelter in Japan.JPG|[[太平洋戦争]]当時の防空壕の内部
|File:People who were escaping in the air-raid shelter in Japan.jpg|警防団員の指揮により防空壕で待避する人々(太平洋戦争期)
|File:地下壕入り口.jpg|[[大日本帝国海軍|日本海軍]][[連合艦隊]][[司令部]]地下壕入り口<br/>([[慶應義塾大学]][[日吉 (横浜市)|日吉]][[キャンパス]]内)
|File:防空壕.jpg|日本海軍の用地内に建造された防空壕([[三重県]]、太平洋戦争期)
}}
 
;==== 太平洋戦争後の歴史的防空壕の管理 ====
[[画像:Takaokamachi, Matsuyama 20240909 (2).jpg|thumb|入口を封鎖された防空壕([[愛媛県]][[松山市]]高岡町)]]
[[都市]]部に造られた簡易なものは、大戦の終結後まもなく破壊された。
都市部に造られた簡易なものは、大戦の終結後まもなく破壊された。
 
[[郊外]]に造られた[[洞窟]]状の防空壕や、鉄筋コンクリート造のものが残っていることもある。平和教育の一環として見学されることがあるものの、管理する地元団体の高齢化が進み、保存の先行きを案じる人がいる<ref>{{Cite web |title=<語り継ぐ記憶 戦後76年・四国>「四国初」防空壕 残せるか |url=https://www.yomiuri.co.jp/local/ehime/news/20210818-OYTNT50144/ |website=読売新聞オンライン |date= |accessdate=2022-04-01 |language=}}</ref><ref>{{Cite web |title=栗木 「防空壕」知る機会に 「きくらげ」で発信 {{!}} 麻生区 |url=https://www.townnews.co.jp/0205/2021/08/13/587241.html |website=タウンニュース |date= |accessdate=2022-04-01 |language=}}</ref>。
 
郊外に造られた[[洞窟]]状の防空壕や、鉄筋コンクリート造のものが残っていることもある。[[平和教育]]の一環として見学されることがあるものの、管理する地元団体の高齢化が進み、保存の先行きを案じられている<ref>{{Cite web|和書|title=<語り継ぐ記憶 戦後76年・四国>「四国初」防空壕 残せるか |url=https://www.yomiuri.co.jp/local/ehime/news/20210818-OYTNT50144/ |website=読売新聞オンライン |date= |accessdate=2022-04-01 |language=}}</ref><ref>{{Cite web|和書|title=栗木 「防空壕」知る機会に 「きくらげ」で発信 {{!}} 麻生区 |url=https://www.townnews.co.jp/0205/2021/08/13/587241.html |website=[[タウンニュース]] |date= |accessdate=2022-04-01 |language=}}</ref>。
近年、[[日本国政府|日本政府]]は太平洋戦争中に[[日本軍]]や[[地方公共団体]]、[[町内会]]などが築造した防空壕を「特殊地下壕」と呼び、調査や対策を行っている。[[2005年]]の調査では、日本全国に'''10,280箇所'''が確認されているが、民有地では世代交代などにより地域住民や土地所有者ですら存在を忘れている事例も多く、調査のたびに実数は増える傾向にある<ref name="asahi20220401">{{Cite web |title=危険な地下壕、全国487カ所 陥没で死者・家屋被害も - 環境 |url=https://www.asahi.com/eco/TKY201011260558.html |website=www.asahi.com |accessdate=2022-04-01}}</ref>。
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{{要出典|date=2022年4月}}防空壕では、老朽化が進み[[落盤]]による地表の陥没や、遊び場としていた子供が巻き込まれて[[一酸化炭素中毒]]や[[酸欠]]で死亡する事故が起き問題になることもある。-->
<!--1998年度~2009年度、[[国土交通省]]や[[自治体]]は、周囲の建物に影響が出る恐れがある地下壕を中心に、計約53億円かけて195カ所を埋め戻すなどした。しかし新たに発覚する地下壕が後を絶たず、埋め戻しには多額の費用もかかることから、危険な地下壕の撤去は進まなかった<ref name="asahi20220401">{{Cite web |title=危険な地下壕、全国487カ所 陥没で死者・家屋被害も - 環境 |url=https://www.asahi.com/eco/TKY201011260558.html |website=www.asahi.com |accessdate=2022-04-01}}</ref>。同省の担当者が2022年に語ったところによると、「地下壕の存在が発覚すると、不動産の評価額が目減りする可能性がある。地下壕があると知っていても公表を嫌う地権者もいて、正確な数が把握できない」という<ref name="asahi20220401">。-->
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=== 日本の防空壕の構造 ===
{{独自の研究|section=1|date=2022年3月}}
独自の研究。写真すら無い。
 
[[軍港]]都市である[[長崎県]][[佐世保市]]では、戦後立ち並んだ[[露天商|露店]]が、岩山に掘られていた防空壕に移るよう市役所から要請され、店舗数の増加に伴い新たに掘られたものを含めて8本の穴で飲食・商店街「とんねる横丁」が21世紀に至るまで営業している<ref>[https://www.sankei.com/article/20230917-5L2VFWPVH5IERF6FORXFWUSVB4/ [探訪]佐世保「とんねる横丁」防空壕からの復興 市民の台所は戦争遺産]『[[産経新聞]]』朝刊2023年9月17日(特集面)2023年10月3日閲覧</ref>。
日本の投稿者が、自分がたまたま見た1-2個を、一般論として通用すると、勘違いして投稿したか?
{{要出典|date=2022年3月}}「小単位のものを分散的に配置するのが望ましい」「20人収容程度までの大きさに」。
 
[[日本国政府|日本政府]]は太平洋戦争中に日本軍や[[地方公共団体]]、[[町内会]]などが築造した防空壕・防火水槽を'''特殊地下壕'''と呼び、調査や対策(特殊地下壕対策事業)を行っている<ref>[https://www.mlit.go.jp/common/001182550.pdf 国土交通省所管特殊地下壕等対策事業実施要領] サイト:国土交通省</ref>。[[2005年]]の調査では、日本全国に10,280箇所が確認されているが、民有地では世代交代などにより地域住民や土地所有者ですら存在を忘れている事例も多く、調査のたびに実数は増える傾向にある<ref name="asahi20220401">{{Cite web|和書|title=危険な地下壕、全国487カ所 陥没で死者・家屋被害も - 環境 |url=https://www.asahi.com/eco/TKY201011260558.html |website=www.asahi.com |accessdate=2022-04-01}}</ref>。
構造は、座るか腰掛けていられる程度の深さ、すなわち1.5m程度に穴を掘り、土質が軟弱である場合は[[杭]]と[[板]]で土留めをし、掩蓋として丸太・角材などを渡し、雨戸や板などを敷き、掘り出した土を30-60cm厚さに積む{{要出典|date=2022年3月}}。以上は地下式の場合である。地下水位が著しく高い、または[[舗装]]地面であるなど、地下式にできない場合は半地下式・地上式とするが、その場合の側壁の厚さは[[土嚢]]などで土を用いた場合は1m以上、煉瓦・石その他の場合は50cm以上を標準とする{{要出典|date=2022年3月}}。
 
特殊地下壕では、老朽化が進み[[落盤]]による地表の陥没などが起きることから、特殊地下壕対策事業として埋め戻しなどが行われている<ref>{{Cite web |url=https://www.pref.kagoshima.jp/ah10/infra/toshi/gairo/kousinnkanseigairo5.html |title=特殊地下壕について |access-date=2024-07-01 |last=鹿児島県 |website=鹿児島県 |language=ja}}</ref>。
入り口は弾片・崩壊物の飛散物・爆風などが直接侵入しないように防護塀を設けたり入り口を屈曲させたりする。入り口に厚い板戸を設ければ爆風をある程度阻止し、雨水の浸入を防止することができるとされ、防毒幕を二重以上適当に取り付ければ防毒の効果も期待できようといわれた。壕内への雨水の流入の防止、また、排水については特段の注意を払い、[[床]]は板敷きまたは[[砂利]]敷きにするなど、水でぬかるまないように心がける。壕内に[[木]]または土嚢などで腰掛けを設ければ便利である。
 
1998年度 - 2009年度、[[国土交通省]]や[[地方公共団体|自治体]]は、周囲の建物に影響が出る恐れがある地下壕を中心に、計約53億円かけて195カ所を埋め戻すなどした。しかし新たに発覚する地下壕が後を絶たず、埋め戻しには多額の費用もかかることから、危険な地下壕の撤去は滞ってる<ref name="asahi20220401"/>。同省の担当者が2022年に語ったところによると、「地下壕の存在が発覚すると、不動産の評価額が目減りする可能性がある。地下壕があると知っていても公表を嫌う地権者もいて、正確な数が把握できない」としている<ref name="asahi20220401"/>。
防空壕を造る材料としては次のようなものが必要であった{{要出典|date=2022年3月}}。丸太、押角、古い角材その他([[柱]]、杭、[[梁 (建築)|梁材]]として)、板、古い雨戸、アンペラ、筵、砂利その他([[天井]]、[[壁]]、床の材料として)、[[釘]]、[[鎹]]、[[針金]]、[[ロープ|縄]]その他(緊結の材として)。また、側壁、天井を土嚢、土箱などを積んで造る場合は[[布]]袋、[[俵]](たわら)、[[叺]](かます){{要出典|date=2022年3月}}、[[箱]]、[[籠]]などが必要であり、構築用具として、[[鍬]](くわ)、[[シャベル]]、[[もっこ|畚]](もっこ)が必要である{{要出典|date=2022年3月}}。
 
* 浅川地下壕<ref>{{Cite web |url=https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/117876 |title=都内に残る地下壕を3D映像で再現する学生たち “歴史の教科書のような役割を果たしたい” | TBS NEWS DIG (1ページ) |access-date=2024-07-01 |date=2022-08-08 |website=TBS NEWS DIG |language=ja}}</ref>、旧海軍司令部壕<ref>{{Cite web |url=https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1181194.html |title=旧海軍司令部壕を3D映像に OCVB、ウェブで映像公開 壁に書かれた字まで鮮明 |access-date=2024-07-01 |last=琉球新報社 |date=2020-08-28 |website=琉球新報デジタル |language=ja}}</ref>では3Dデータとして残す試みが行われている。
[[古墳]]が流用されることもあった{{要出典|date=2022年4月}}。
-->
 
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
{{Notelist}}
=== 出典 ===
{{Reflist}}
 
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* [[防空頭巾]]、{{ill2|サイレンスーツ|en|Siren suit}}
* [[対空兵器]]
* {{ill2|デッドハンド|en|Dead Hand}}[[死の手]]- ロシアの自動核攻撃報復システム
* [[古墳#城砦に利用された古墳の一覧|古墳を防空壕などに流用した例]]
 
== 外部リンク ==
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* {{YouTube|RArjt2p1Epc|平和の尊さ、再確認 東根で若木山防空壕一般公開}}(山形新聞社公開、2017年8月14日公開)
* [http://www.mlit.go.jp/crd/city/sigaiti/tobou/chikago.htm 特殊地下壕対策事業:国土交通省ホームページ]
* [https://www.mlit.go.jp/toshi/toshi_tobou_fr_000015.html 令和4年度特殊地下壕実態調査結果について] - 日本全国の特殊地下壕一覧
 
{{城と要塞}}