トニー・マクナマラTony McNamara, 1967年 - )は、オーストラリアの劇作家、脚本家、テレビプロデューサーである。

トニー・マクナマラ
Tony McNamara
Tony McNamara
2023年
生年月日 1967年
出生地 オーストラリアの旗 オーストラリア ビクトリア州キルモア英語版
職業 劇作家、脚本家、テレビプロデューサー、映画監督、映画プロデューサー
活動期間 1993年-活動中
配偶者 ベリンダ・ブロミロウ英語版
主な作品
女王陛下のお気に入り
THE GREAT 〜エカチェリーナの時々真実の物語〜
クルエラ
哀れなるものたち
受賞
英国アカデミー賞
オリジナル脚本賞
2018年女王陛下のお気に入り
英国作品賞
2018年『女王陛下のお気に入り』
その他の賞
テンプレートを表示

人物

編集

ヨルゴス・ランティモス監督の映画『女王陛下のお気に入り』(2018年)と『哀れなるものたち』(2023年)の脚本を書いたことで知られ、前者によりデボラ・デイヴィス英語版と共にアカデミー脚本賞にノミネートされた。またテレビではコメディドラマシリーズ『THE GREAT 〜エカチェリーナの時々真実の物語〜』(2020年-2023年)を企画した。

生い立ちと教育

編集

トニー・マクナマラは1967年にビクトリア州キルモア英語版で生まれ[1]アサンプション・カレッジ英語版で教育を受けた。マクナマラはケータリング業と金融業を経て、ローマを訪れたことをきっかけに作家を志した[2]。彼はRMIT大学で著述、オーストラリア映画・テレビ・ラジオ学校英語版で脚本を学んだ[3]

キャリア

編集

様々なテレビ番組のエピソードや舞台劇の脚本を手がけた後[4]、2003年にマクナマラは自らの舞台作品『The Café Latte Kid』を翻案した映画『The Rage in Placid Lake』で映画監督デビューした[5]。その後もオーストラリアで『The Secret Life of Us』、『Love My Way』、『Tangle』、『Puberty Blues』といったテレビ作品の脚本を手がけた[3]

2015年、マクナマラはミッキー・ロークサラ・シルバーマンエマ・ロバーツが出演するコメディドラマ『Ashby』で2本目の長編映画監督を務めた[6]。その1年後、彼は医療ドラマ『Doctor Doctor』でテレビに復帰した[7]

2018年にはエマ・ストーン出演の歴史コメディドラマ映画『女王陛下のお気に入り』を監督のヨルゴス・ランティモスと共同執筆し、批評的に成功した[8]。これはもともとは公開の20年前にデボラ・デイヴィス英語版によって書かれた脚本であったが、ランティモスとマクナマラが協力して最終稿を完成させた[9]

マクナマラはエル・ファニングニコラス・ホルトが出演するエカチェリーナ大帝の生涯を描いたテレビシリーズ『THE GREAT 〜エカチェリーナの時々真実の物語〜』を企画し、2020年5月15日よりHuluで配信開始された[10]。この作品は2008年にシドニー・シアター・カンパニー英語版で初演されたエカチェリーナ大帝についての戯曲を基にしている[11]。マクナマラはこの戯曲の映画脚本にも取り組んでいる[12][13]

マクナマラはランティモスと再び組んで2023年の映画『哀れなるものたち』の脚本を執筆し、エマ・ストーンも再び主演を務めた[14]

私生活

編集

マクナマラは初婚の相手とのあいだに子供がいる。2009年にオーストラリアの女優のベリンダ・ブロミロウ英語版と再婚した[15][16]。夫婦は子供を2人もうけている[17]

フィルモグラフィ

編集
作品 クレジット 備考
1995 The Beat Manifesto 脚本 短編映画
2003 The Rage in Placid Lake 監督・脚本
2015 Ashby 監督・脚本
2018 女王陛下のお気に入り
The Favourite
脚本・製作総指揮 デボラ・デイヴィス英語版と共同脚本
2021 クルエラ
Cruella
脚本 デイナ・フォックス英語版と共同脚本
2023 哀れなるものたち
Poor Things
脚本

テレビ

編集
作品 備考
1993 All Together Now 脚本: 第4シーズン第30話「Your Cheatin' Heart」
1997 Big Sky 計3話脚本
2001-2005 The Secret Life of Us 計12話脚本
2004-2007 Love My Way 計7話脚本
2008 Echo Beach 計2話脚本
Moving Wallpaper 脚本: 第1シーズン第9話
Rush 脚本: 第1シーズン第8話
2009-2012 Tangle 計7話脚本
2010-2011 Spirited 計3話脚本
2011 Offspring 脚本: 第2シーズン第11話「Complications」
2012-2014 Puberty Blues 計7話脚本
2016-2021 Doctor Doctor 企画
計15話脚本
計30話製作
2020-2023 THE GREAT 〜エカチェリーナの時々真実の物語〜
The Great
企画・製作総指揮
計27話脚本

受賞とノミネート

編集
部門 候補作品 結果
1995 オーストラリア映画協会英語版 短編映画脚本賞 The Beat Manifesto 受賞
2003 オーストラリア・コメディ賞 コミック脚本賞 The Rage in Placid Lake ノミネート
オーストラリア映画協会英語版 脚色賞英語版 受賞
AWGIE賞英語版 メジャーAWGIE賞英語版 受賞
脚色賞 受賞
オーストラリア映画批評家協会賞 脚色賞 ノミネート
メルボルン国際映画祭 人気長編映画賞 受賞
2007 AWGIE賞英語版 テレビシリーズ脚本賞 Love My Way 受賞
オーストラリア映画協会英語版 テレビ脚本賞英語版 ノミネート
2013 AACTA賞英語版 テレビ脚本賞英語版 Puberty Blues ノミネート
2014 AWGIE賞英語版 テレビシリーズ脚本賞 ノミネート
2015 AWGIE賞英語版 オリジナル映画脚本賞 Ashby ノミネート
2018 アカデミー賞 脚本賞 女王陛下のお気に入り ノミネート
アトランタ映画批評家協会賞 脚本賞 受賞
英国アカデミー賞 オリジナル脚本賞 受賞
英国インディペンデント映画賞英語版 脚本賞 受賞
ワシントンD.C.映画批評家協会賞英語版 オリジナル脚本賞英語版 受賞
ゴールデングローブ賞 脚本賞 ノミネート
インディアナ映画ジャーナリスト協会 オリジナル脚本賞 ノミネート
ロサンゼルス・オンライン映画批評家協会 オリジナル脚本賞 次点
デトロイト映画批評家協会 オリジナル脚本賞 ノミネート
ゴッサム・インディペンデント映画賞 脚本賞英語版 ノミネート
2020 プライムタイム・エミー賞 コメディシリーズ脚本賞英語版 THE GREAT 〜エカチェリーナの時々真実の物語〜 ノミネート

参考文献

編集
  1. ^ Catalogue”. National Library of Australia. 9 January 2024閲覧。
  2. ^ Tony McNamara:”. Austlit (27 September 2012). 2 December 2018閲覧。
  3. ^ a b Tony McNamara”. Australian Plays. 2 December 2018閲覧。
  4. ^ Playwright takes stock”. The Age (9 July 2002). 2 December 2018閲覧。
  5. ^ The Rage in Placid Lake”. The Sydney Morning Herald (28 August 2003). 2 December 2018閲覧。
  6. ^ Comedy-drama film "Ashby" by Tony McNamara” (2015年). 2 December 2018閲覧。
  7. ^ Bizzaca, Caris (7 September 2016). “Claudia Karvan on Doctor Doctor and Producing”. Screen Australia. 2 December 2018閲覧。
  8. ^ Playing favourites - Yorgos Lanthimos, Emma Stone, Olivia Colman, Nicholas Hoult, Joe Alwyn and Tony McNamara on The Favourite” (30 September 2018). 2 December 2018閲覧。
  9. ^ Utichi, Joe (2019年2月13日). “How Tony McNamara’s Hulu-Bound ‘The Great’ Landed Him ‘The Favourite’ And An Oscar Nomination” (英語). Deadline. 2024年1月1日閲覧。
  10. ^ Hipes, Patrick (January 17, 2020). “Hulu Sets Premiere Dates For 'The Great', 'Ramy' And 'Solar Opposites' – TCA”. Deadline Hollywood. 17 May 2020閲覧。
  11. ^ McHenry, Jackson (May 15, 2020). “How The Great Very, Very Loosely Adapts Russian History”. New York. May 17, 2020閲覧。
  12. ^ Utichi, Joe (February 13, 2019). “How Tony McNamara's Hulu-Bound 'The Great' Landed Him 'The Favourite' And An Oscar Nomination”. Deadline Hollywood. May 17, 2020閲覧。
  13. ^ Ryan, Patrick (May 15, 2020). “Hulu's 'The Great': Elle Fanning on playing Catherine the Great, severed heads and 'fully clothed sex'”. USA Today. May 15, 2020閲覧。
  14. ^ ‘Poor Things’ Screenwriter Tony McNamara Breaks Down One of Its Most Complex Scenes” (英語). Vanity Fair (2023年12月15日). 2023年12月26日閲覧。
  15. ^ Australian actress Oscars red carpet moment has a special meaning”. Nine.com.au (24 February 2019). 10 January 2024閲覧。
  16. ^ Rocca, Jane (21 May 2023). “The Great's Belinda Bromilow on fighting cancer twice”. The Sydney Morning Herald. 10 January 2024閲覧。
  17. ^ Moran, Robert (2020年5月6日). “Belinda Bromilow's second stab at the story of Catherine the Great”. The Sydney Morning Herald. 10 January 2024閲覧。

外部リンク

編集