ドッグレース
ドッグレース (Dog race、Dog racing) とは、犬を競走させて楽しむ娯楽イベント。一様犬たちの競走でスポーツ(アニマルスポーツ)とされている所もある。
概要
編集ギャンブル目的として、最速の犬種とされるグレイハウンドを用いたレースである。イギリスやオーストラリアなどの英連邦やアメリカを中心に開催されている。
マカオにおける開催(マカオドッグレースクラブ)が有名であったが、2018年6月30日に最後のレースが行われ、同年7月21日をもって廃止された[1]。
テーマパークなどで賭博を伴わないレースイベントが行われることもある。
また、人と犬で行う犬ぞりレースもある。
ギャンブルとしてのドッグレース
編集レース内容
編集1周400m程度のトラックコースの内柵のレールに、兎に似せた小動物のダミーを走らせ、それを犬が追いかける事で競走を行い、上位に入線した犬に賭けた人に、配当金を支払う。賭式の種類は、競馬と同様に、1着を当てる単勝式や、1・2着を当てる連勝式、1着〜3着までを当てる3連勝式などがある。
イギリスやオーストラリアでは、ブックメーカーによる犬券の発売が一般的である。
ドッグレースを専門に取り扱う専門紙(新聞)もあり、出走する犬のこれまでの競走成績や調教の状況、最近発症した怪我の内容や治療状況などとともに、専門家による予想も記載されている。
競走
編集レース距離は、コースを1周するものや、半周のみの場合が殆どである。1レースに出走する犬は6匹前後で、能力によってクラス分けされており、出走犬の能力に応じて重量によるハンデが付けられる。
出走準備が整った犬は、係員によってゲートまで連れて行かれ、箱状のゲートに入れられる。ダミーがゲート付近を通過するのに合わせて、係員がゲートを引き上げて競走がスタートする。
レース終了後は、コース上に柵が準備されて犬が暴走しない様にしており、係員に捕まえられた犬は、トレーナーの元に戻されて、レースを終了する。
賞金は、マカオのドッグレースを例にすると、1着賞金は1540〜3300マカオ・パタカで、4着(一律100マカオ・パタカ)まで賞金が出た。
犬
編集前述のとおり、競走に使用される犬種はグレイハウンドやウィペット種で、生後2年程度経った犬に対してトレーナー(調教師)により調教が開始され、準備の整った犬より出走を開始する。数年間競走生活を送って引退し、成績優秀な犬は繁殖犬となる。一方、競走成績の良くない犬は、途中で見切りを付けられ、引退する事が多い。
競走馬同様に血統が重視されているが、競走馬と違って1回の出産で数匹の仔犬を出産する事から、同年齢の兄弟犬が同じ競走で出走する事もある。出走間隔は、故障が無ければ1週間に1回程度出走する事が多い。
一方、かなりの速度で走る事から、脚に怪我を負う犬も多く、重症の場合、予後不良として安楽措置(マカオの場合、「人道毀滅」と書かれる)がとられる場合や、引退を余儀なくされる犬も多い。
引退後の犬の処遇については、動物愛護上の問題をめぐって議論があり、かつては人気のギャンブルだったアメリカでは43の州で禁止されたことに加え、嗜好の多様化により客足が遠のいたことで、ドッグレース自体が衰退しつつあるという[2]。
トレーナー
編集犬のトレーナーは、競馬における調教師同様、犬主より犬を預かり、自らの厩舎で調教を重ねて出走させる。犬主と調教師が同一の場合もあり、競走終了後のドッグレース場の外では、自家用車に犬を載せて帰宅する光景もみる事が出来る。
日本におけるドッグレース
編集日本では、第二次世界大戦後の一時期、開催を目指す動きがあり、GHQは靖国神社を廃止し、その跡地の一部にドッグレース場等を設置しようという構想を掲げたが、ローマ教皇庁のブルーノ・ビッターの意見で靖国神社は残され、その構想は立ち消えとなった。また、国会に畜犬競技法案が提出され審議が行われたが、成立には至らなかったため、日本国内で公認のギャンブルを伴うレースが開催されたことはない。
1951年2月18日、北海道札幌市中島球場で、北海道観光ドッグ・レース協会の主催により犬ぞりを使った犬ぞりレースが行われた。1枚20円でイヌ券が発売されたが、払戻金ではなくスポンサーからの商品券で返す仕組みとなっていた[3]。
海外におけるドッグレース
編集中華人民共和国
編集中華人民共和国マカオ特別行政区では、ポルトガル領時代の1931年に逸園賽狗場が設けられ、グレイハウンド種の犬によるドッグレースが行われていたが、返還後の2018年6月30日限りで開催を終了、7月21日付で正式に廃止された。なおマカオではその後、競馬も廃止され、カジノ以外の公営ギャンブルがすべて消滅した。
オーストラリア
編集Greyhounds Australasia は 1937 年に (オーストラリアおよびニュージーランドのグレイハウンド協会として) 設立され、グレイハウンドの福祉と生活条件を規制するオーストラリアの州とニュージーランドの統治機関で構成されている。
アイルランド
編集グレイハウンド レースはアイルランドで人気のある産業であり、トラックの大部分は商業半国家機関であり、農林水産省のRásaiocht Con Éireann (GRI)の管理下にある。英国でレースをするグレイハウンドの大部分は、アイルランドのブリーダーから輸入されたものである (推定 90%)。グレイハウンド業界では、北アイルランドのトラックはアイリッシュ グレイハウンド レースのカテゴリーと見なされており、その結果は IGB によって公開されている。彼らは英国のグレイハウンド委員会の管理下にはない。
ニュージーランド
編集ニュージーランドの競馬は、2003 年競馬法に従って、ニュージーランド競馬委員会 (NZRB) によって管理されている。
イギリス
編集英国でのグレイハウンド レースは、英国のグレイハウンド委員会によって規制され、英国認定サービスによって認定されている。
アメリカ合衆国
編集アメリカン レーシング グレイハウンドの耳のタトゥー。耳の入れ墨は、レースのキャリアの中で犬の識別に使用される。 主な記事:米国でのグレイハウンド レース 米国では、グレイハウンド レースは州または地方の法律によって管理されている。グレイハウンドのケアは、全米競馬委員会協会とアメリカン グレイハウンド カウンシル (AGC) によって規制されている。AGC は全米グレイハウンド協会が共同で運営している。
その他の国
編集メキシコには 1 つのグレイハウンド レーシング トラックがある。 ティフアナにはカリエンテ グレイハウンド トラックがある。 ベトナムにはベトナムのブンタウにあるラム ソン スタジアムに 1 つのグレイハウンド レーシング トラックがある。
脚注
編集- ^ “マカオ政府とドッグレース運営会社のコンセッションが満期迎える…87年の歴史に幕=レース犬533匹遺棄が問題に”. 大航海時代新聞出版社「マカオ新聞」. 2018年7月28日閲覧。
- ^ 衰退する米国のドッグレース
- ^ 青鉛筆『朝日新聞』昭和26年2月17日 3面
関連項目
編集- アジリティ
- 犬ぞりレース
- ウェンブリー・スタジアム (1923)(ロンドンオリンピック (1948年)に於いて陸上競技が行われたトラックでドッグレース施行)
- Mr.Boo!ギャンブル大将 - マカオのドッグレースが登場する香港映画。
- レッツ・ゴー! ハーミッツ・ハーミッツ - ドッグレースが登場するイギリス映画。
- ギャンブル