ノーザンテースト

カナダ生まれの競走馬

ノーザンテースト: Northern Taste1971年 - 2004年)はカナダ生まれの競走馬種牡馬

ノーザンテースト
品種 サラブレッド
性別
毛色 栗毛
生誕 1971年3月15日
死没 2004年12月11日(33歳没)
Northern Dancer
Lady Victoria
母の父 Victoria Park
生国 カナダの旗 カナダ
生産者 Edward P.Taylor
馬主 吉田善哉
調教師 John Cunnington(フランス
競走成績
生涯成績 20戦5勝
獲得賞金 73万8125フラン+1743ポンド
勝ち鞍
G1 フォレ賞 1974年
G3 エクリプス賞 1973年
G3 トーマスブリヨン賞 1973年
繁殖成績
タイトル 日本リーディングサイアー(1982-1988年、1990-1992年)
日本リーディングBMS(1990-2006年)
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来歴

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1972年7月アメリカニューヨーク州サラトガ競馬場セリ市で社台グループ総帥吉田善哉からノーザンダンサー産駒の(牡の仔馬)購入命令を受けた吉田照哉(現社台ファーム代表)が10万ドル(当時のレートで3080万円)で落札。当時はノーザンダンサー産駒がそれまでのサラブレッドの常識を打ち破るほどの目覚ましい活躍を遂げており、その経緯から競走馬として、また将来的には種牡馬として供用することを前提に購入された。

その後フランスに渡り、2歳時はG3レースを連勝するなど4戦2勝。翌年緒戦のジェベル賞を勝つと、フランスのクラシックレースではなく、1枚レベルの高いイギリスのクラシックへと挑戦。英2000ギニーで4着、ダービーステークスで5着と好走。フランスへ帰国後も好走するも勝ち切れないレースが続いたが、フォレ賞でG1を初制覇した。翌年も競走生活を続けたが、目立った活躍はなく引退。通算の競走成績は20戦5勝。なお、クラシックレースを勝つ事はできなかったものの、同期の仏2000ギニー馬ムーリン(後に種牡馬として日本に輸入される)を2度に渡って下している。

1975年4歳時に当初の予定通り種牡馬として社台グループが日本に輸入。種牡馬入りした当初は、その独特の容貌(短い足と大きな頭部)から、日高の一部生産者から「犬のような馬」「わざわざアメリカからヤギを買ってきたのか」と揶揄され、嘲笑に近い言葉を浴びせられたこともあったという。しかしその後、ノーザンテーストは数多くの勝ち馬を輩出し、日本競馬の血統を大きく塗り替えた名種牡馬としてかつてない賞賛を受けることになる。

1982年テスコボーイから日本リーディングサイアーの座を奪い取ると、通算10回のリーディングサイアーに輝いた。中央競馬のみの集計では11年連続11回という前例のない記録であった。また、1990年から2006年まで17年連続リーディングブルードメアサイアー(中央競馬のみの集計では1991年から2005年の15年連続)にも輝いている。

記録としては1979年から1996年までの18年連続、また1977年産から1996年産までの20世代連続で重賞馬が輩出。1979年から2006年まで中央競馬28年連続で産駒が勝利を収めた。2004年にサンデーサイレンスに更新されるまで産駒JRA勝利数で第1位だった[1]

1999年に13頭の繁殖牝馬に種付けを行ったのを最後に、2000年種牡馬を引退。

2004年12月11日午後3時20分、北海道勇払郡早来町社台スタリオンステーションで老衰のため死亡。33歳の大往生だった。死後、遺体は社台スタリオンステーション敷地内の高台に埋葬されている。

馬名の由来

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吉田照哉はセールで同馬を落札したことを善哉に電話報告した。善哉は照哉に「お疲れ様。日本に帰ったら何が食べたい?」と労った。照哉は「寿司が食べたい。」と答えた。善哉は寿司から魚を連想し、父Northern Dancerから“北の味”に至り、英訳しNorthern Taste(ノーザンテースト)と名づけられる事となった。

エピソード

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  • 前述されている通りサラブレッドとしては非常に体が小さく、決して見栄えの良い馬ではなかった。それこそ、イヌヤギに例えられるほど不細工であった。内藤繁春によると、ノーザンテーストを見た吉田善哉は「こんな小柄で、にぎやかな顔の馬は、成功するわけない」と言い、照哉に任せたのが失敗だったと嘆いたという[2]。しかしこの馬を購入した吉田照哉は「セリに出ていた馬の中では、骨格・筋肉の付き方など馬体は最高のものを持っていた」と後に述懐している。その言葉を証明するかのようにノーザンテーストは老いても若々しさを保ち続け、30歳を超えた最晩年も外見は大きな衰えを見せなかった。
  • 1972年に10万ドルで購入された同馬だが、同じ父を持つ馬たちが世界各地で次々と活躍し、ニジンスキーなどが後継種牡馬としても大成功した事などから、数年後にはノーザンダンサー直仔の取引価格が10倍以上に跳ね上がっている。善哉のノーザンダンサー産駒に対する先見性と、照哉の相馬眼が名種牡馬・ノーザンテーストを産んだのである。
  • この馬の活躍により全弟のサドンソーも日本で種牡馬生活を送った。さすがに兄のようにはいかなかったが、七夕賞勝ちのシーキャリアーのほか母父としてナムラコクオーを出している。また半弟のタンゾア(父ニジンスキー)も日本で種牡馬生活を送った。
  • 晩年、当馬は社台グループ最大の功労馬として、専用の馬房と自由に出入りできるパドックを与えられていた。
  • ノーザンテースト産駒の活躍ぶりから、「ノーザンテーストの産駒は3度変わる(成長する)」と評されることがある。
  • ドリームジャーニーオルフェーヴル全兄弟(父ステイゴールド・母オリエンタルアート)はノーザンテーストの4×3というインブリード奇跡の血量)を持っている。

主な産駒

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太字はGI級競走

アンバーシャダイからメジロライアン-メジロブライトと牡馬産駒が活躍し父系を伸ばしたが(詳しくはノーザンテースト系を参照)、メジロブライトは2004年5月に死亡、メジロライアンは2006年9月にシンジケートが解散し2007年に種牡馬引退しており、2010年にマチカネタンホイザが種牡馬を引退した時点でノーザンテースト系種牡馬はすべて生産界から退いている状況となっている。

2013年11月2日に父メジロライアン、母メジロダーリングの仔、メジロカトリーヌがJRAの登録を抹消されたことによって、ノーザンテースト系の競走馬はJRAから姿を消した。

現在、中華人民共和国新疆ウイグル自治区にて繋養されているメジロアルダンの仔Wu Di(ウーディー)が最後のノーザンテースト系種牡馬である。

ブルードメアサイアーとして

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父サンデーサイレンス

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ノーザンテーストはブルードメアサイアー(母の父)としても優秀であり、下記に示すように数多くのGI馬を輩出している。一方で、「父サンデーサイレンス×母父ノーザンテースト」の組合せでは、1995年にサンデーサイレンスの産駒がデビューしてから長年に渡ってGI馬が出ない時期があった。2003年にデュランダルスプリンターズステークスを制して以降はGI優勝馬も出始めたが、この組み合わせでの活躍馬には短距離を中心に活躍した馬が多く、その後両馬が死亡したため、結果的にこの組み合わせでクラシックを制覇したのは2004年の皐月賞を制したダイワメジャーのわずか1勝にとどまった[3]

GI級競走優勝馬

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GI級競走は太字で表記。

その他重賞優勝馬

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血統表

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ノーザンテースト血統ノーザンダンサー系 / Lady Angela3×2=37.50%) (血統表の出典)

Northern Dancer 1961
鹿毛 カナダ
父の父
Nearctic 1954
黒鹿毛 カナダ
Nearco Pharos
Nogara
Lady Angela Hyperion
Sister Sarah
父の母
Natalma 1957
鹿毛
Native Dancer Polynesian
Geisha
Almahmoud Mahmoud
Arbirator

Lady Victoria 1962
黒鹿毛 カナダ
Victoria Park 1957
鹿毛
Chop Chop Flares
Sceptial
Victoriana Windfields
Iribelle
母の母
Lady Angela 1944
栗毛 カナダ
Hyperion Gainsborough
Selene
Sister Sarah Abbots Trace
Sarita F-No.14-c


主要なサイアーライン

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ノーザンテースト
 |アンバーシャダイ
 ||メジロライアン
 | |メジロブライト
 |アスワン
 ||メジロアルダン
 | |Wu Di(ウーディー)
 |ダイナガリバー
 |ギャロップダイナ
 |ダイナレター
 ||ダイナマイトメール
 |ダイナサンキュー
 |マンジュデンカブト
 |ノーザンレインボー

脚注

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  1. ^ 競馬ブックコーナー
  2. ^ 内藤 2005, p. 113.
  3. ^ 優駿」では、父サンデーサイレンスで母の父ノーザンテーストという血統にはデュランダルのように短距離に適性のある馬が多いが、それが解るまでの間、購入者サイドはクラシックなど中長距離での活躍を期待して高値で購入し、短距離適性を試さぬまま引退させることが多かった、という見解が記述されている。

参考文献

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  • 内藤繁春『定年ジョッキー あっと驚く馬バカ物語!』アールズ出版、2005年。ISBN 978-4-86204-006-0 

外部リンク

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