瓦せんべい
瓦せんべい(かわらせんべい)は、瓦に見立てて作られた日本の焼き菓子である。
概要
編集砂糖で味付けされた甘い素焼きの煎餅である。堅焼きのものが一般的だが、柔らかく仕上げた「やわらか焼」も製造されている。屋根瓦を模した、角に切欠きのある四角形を湾曲させた形状で、大きさは手のひら大から実際の瓦のサイズまで様々である。表面には、何らかの図案や文字が焼印による焦げ目で描かれていることも多い。例外として新潟県(有)本間製菓の市販されているものは、小判型の薄焼きである。
基本的な原材料は砂糖、小麦粉、卵である。風味付けに胡麻などを加えることもある。カステラの原材料に近いことから、純然たる和菓子と言うよりは、ハイカラな洋菓子の趣のある菓子「ハイカラせんべい」「贅沢せんべい」として生まれたとの説もある[1]。
由来
編集兵庫県神戸市や香川県高松市で郷土菓子として売られており、それぞれに起源の説明がされ、元祖を名乗る製造業者も複数ある。
例えば神戸では亀井堂総本店が元祖を名乗っており、創業者の松井佐助が1873年に開港地だった神戸の特性を生かして開発したもので、瓦の形状は趣味の瓦収集に由来すると説明している[1]。同じ神戸でも別の亀の井亀井堂本家の説明では、弘法大師が中国から伝えたとの由来が紹介され、瓦型の形状については湊川神社の瓦寄進の際に売りだされたから、あるいは戦国時代に瓦に焼印を押して功績の証拠とした故事に由来するなどの諸説を挙げている。そもそも瓦ではなく、治承・寿永の乱で活躍したとされる武士の河原太郎・次郎にちなんだ「河原せんべい」であるとの説もある[2]。
他方で高松では、宗家くつわ堂などが讃岐名物として販売しており、和三盆の産地と言う特性を生かして開発されたもので、高松城の瓦を模した菓子だと説明している[3]。