西院駅
西院駅(さいいんえき、さいえき)は、京都府京都市右京区と中京区にある阪急電鉄の駅および京福電気鉄道の停留場。
西院駅 | |
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さいいん / さい Saiin / Sai | |
西は阪急電鉄の西院(さいいん)駅 東は京福電気鉄道の西院(さい)駅 | |
所在地 |
京都府京都市右京区(阪急電鉄) 同市中京区 (京福電気鉄道) |
所属事業者 |
阪急電鉄(駅詳細) 京福電気鉄道(駅詳細) |
駅名の漢字による表記は同じだが、阪急が「さいいん」、京福が「さい」と読む。
概要
編集阪急京都本線と京福電気鉄道嵐山本線の2路線が乗り入れている。阪急の駅は地下にあり、その地上付近に京福の停留場がある[1]。
利用可能な鉄道路線
編集駅名
編集かつて所在地一帯は淳和院が置かれていた地域だが、淳和院の別称である西院が地名となり、駅名に採用されている。現在の地名の読みは「さいいん」である。
小沢嘉三『西院の歴史』(西院の歴史編集委員会、1983年)によると、元来は「さいいん」と読み、平安時代から鎌倉時代(12 - 13世紀頃)の文書では「さいゐん」であり、弘安10年(1287年)の文書に初めて「さゐ」の呼称が出現しており、なまって「さい」と呼ぶようになったのではないかと考察されている[2]。江戸時代のこの一帯の名は「西院(さい)村」。戦国時代に記された上杉本洛中洛外図屏風にも、この付近にあった西院城(西院小泉城)が「さい(こいずみ)のしろ」と明記されている。また近代に入っても、地元の発音は依然として「さい」が使われていた[2]。
近代に入り、地元民の呼称とは別に、当時の自治体名(西院村)の読み方は「さいいん」で[3]、軍隊では点呼の際に「さいいん」と呼ぶことが厳命されるなど、公称としては「さいいん」が優位になり、1934年に京都府の告示により正式に「さいいん」が公称化された[2][注 1]。また、公的文書による裏付けはないものの、京福の駅名は当初「さいん」であったものが1933年(昭和8年)頃に「さい」に変更した、という地元在住者による証言を収録した書籍もある[5]。
歴史
編集京福電気鉄道
編集- 1910年(明治43年)3月25日:嵐山電車軌道の停留場として開業[6]。
- 1918年(大正7年)4月2日:会社合併により京都電燈が経営する嵐山電鉄の停留場となる[6]。
- 1942年(昭和17年)3月2日:路線譲渡により京福電気鉄道の停留場となる[6]。
- 2017年(平成29年)3月25日:嵐山方面行きホーム移設[7]。
阪急電鉄
編集- 1928年(昭和3年)11月1日:新京阪鉄道が高槻町駅(現:高槻市駅)から延伸し、その終着として京都西院駅として開業[1]。
- 1930年(昭和5年)9月15日:会社合併により京阪電気鉄道新京阪線の駅となる[1]。
- 1931年(昭和6年)3月31日:地下化され、同時に西院駅に改称。同時に新京阪線が京阪京都駅(現:大宮駅)まで延伸し、中間駅となる[1]。
- 1943年(昭和18年)10月1日:会社合併により京阪神急行電鉄(現:阪急電鉄)の駅となる[1]。
- 1949年(昭和24年)12月1日:京阪神急行電鉄から京阪電気鉄道が分離。新京阪線は京阪神急行電鉄(現:阪急電鉄)の路線となり京都本線に改称[1]、当駅もその所属となる。
- 1972年(昭和47年)10月1日:特急、急行の8両化に伴い、列車が8両の場合最後尾車両のドアカットを開始。
- 1973年(昭和48年)4月1日:社名変更により阪急電鉄の駅となる[1]。
- 1986年(昭和61年)7月1日:10両編成対応のホーム延伸が完成し、ドアカット運用を取りやめる。
- 2013年(平成25年)12月21日:駅番号を導入する[1]。
- 2017年(平成29年)3月25日:北・南改札の供用を開始[7]。
- 2019年(令和元年)6月1日:西改札を地下1階に移設。
駅構造
編集阪急電鉄
編集阪急 西院駅 | |
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駅舎(2023年8月) | |
さいいん Saiin | |
◄HK-82 西京極 (1.8 km) (1.4 km) 大宮 HK-84► | |
京都府京都市右京区西院高山寺町38番地1[8] | |
駅番号 | HK83 |
所属事業者 | 阪急電鉄 |
所属路線 | ■京都本線 |
キロ程 |
41.9 km(十三起点) 大阪梅田から44.3 km |
駅構造 | 地下駅 |
ホーム | 2面2線 |
乗降人員 -統計年度- |
42,566人/日 -2022年- |
乗降人員 -統計年次- |
(通年平均)33,247人/日 -2022年- |
開業年月日 | 1928年(昭和3年)11月1日 |
* 1931年に京都西院駅から改称 |
相対式2面2線のホームを有する地下駅。分岐器や絶対信号機を持たないため、停留所に分類される。
地上の西大路四条交差点の南西角には駅舎と西改札口が設けられている。トイレも西改札口側にある。そのほか、東側には、2017年に下記の経緯により建設された改札口として、京都河原町方面ホームと接続する北改札口と、大阪梅田方面ホームと接続する南改札口がある。
現在の駅舎を建設する際、大阪梅田方面ホーム東端付近(地下)から京福西院駅前(地上)までの地下通路と改札口が新たに計画され整備されていたが、地元商店街の反対により使用中止となった経緯がある。そのため、地下通路へ通じる出入口は閉鎖されていた。2019年現在では四条通の東側に避難用の階段が設置(改修工事中の一時期は平日7:20 - 9:00の間、出口専用階段とされていた)されている。しかし、2013年に直結する計画が再浮上し、駅ビル建て替えと同時に西側にしか無かった改札口を東側に2ヶ所新設した[10][11](詳細は下記)。
京都本線は当駅のすぐ西で地下に潜り、当駅以東は四条通の直下を走る。地下線は関西では初の歴史のあるもので、土木学会選奨土木遺産に指定されており、坑口上の額には、当時の京阪電気鉄道社長太田光熈が揮毫した「天人併其功」の扁額が掲げられている[8]。地下路線建設時につくられた鷲のレリーフが、運行の安全を見守っているとされている。
トンネル坑口付近の勾配は10‰と緩いが、十三寄りに曲線があるため、通過列車は75km/h以下(京都河原町行きは60km/h以下)まで減速する。
開業当初は新京阪鉄道の暫定的なターミナル駅としての位置付けで、櫛形ホームの地上駅だった。暫定的なターミナル駅として開業した背景には、1928年に京都で執り行われる昭和天皇の即位の礼に間に合わせるために開業を急いだという事情がある[8]。京阪電気鉄道と合併後の1931年に京阪京都駅(現在の大宮駅)まで延伸された際に地下化された。
1986年6月まではホームの有効長が7両分しかなかったため、8両編成の列車は上り・下り共に進行方向最後尾1両のみドアカットをおこなっていた。
のりば
編集号線 | 路線 | 方向 | 行先 |
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1 | ■京都本線 | 上り | 京都河原町方面 |
2 | 下り | 桂・高槻市・大阪梅田・天下茶屋・北千里方面 |
-
西改札口旧駅舎(2006年)
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阪急ホーム
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四条通の東側にある避難用の階段(平日朝は出口専用階段)
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2017年3月25日供用開始の南改札口(嵐電の四条大宮行きホームも、ここから出入りする)
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地下化された西改札口
京福電気鉄道
編集京福電気鉄道 西院駅 | |
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嵐山方面ホーム(2017年11月) | |
さい Sai | |
◄A1 四条大宮 (1.4 km) (0.6 km) 西大路三条 A3► | |
京都府京都市中京区壬生仙念町16番地 | |
駅番号 | A2 |
所属事業者 | 京福電気鉄道 |
所属路線 | ■嵐山本線 |
キロ程 | 1.4 km(四条大宮起点) |
駅構造 | 地上駅(停留場) |
ホーム | 2面2線 |
乗降人員 -統計年度- |
5,999人/日 -2022年- |
開業年月日 | 1910年(明治43年)3月25日 |
相対式2面2線のホームを有する地上停留場。嵐山・帷子ノ辻方面のりばは阪急の北改札口に、四条大宮行きのりばは阪急の南改札口に直結している。従来の乗り継ぎは、元々あった西改札口から四条通を北に約260メートル歩くなどして約5分ほどかかっていた[10]。トイレは設置されていない。
当停留場より北に50メートル程進んだところには車庫があり、早朝・深夜を中心に当停留場を始発・終着とする列車が設定されている。
停留場近くの四条通と交差する踏切は第3種に分類されるもので、遮断機がなかった(京阪神地区で唯一現存しているタイプ)が4月1日より遮断機が追加設置された。警報機も電鐘式であり現存する。
のりば
編集のりば | 路線 | 方向 | 行先 |
---|---|---|---|
(北側) | ■嵐山本線 | 下り | 帷子ノ辻・嵐山方面 |
(南側) | 上り | 四条大宮方面 |
駅改良工事
編集地上で京福が通る部分の地下に阪急の北・南改札口を新設し、京福の四条大宮方面ホームを直結させ、さらに新設の改札付近に京福の嵐山方面ホームを移設し直結させる計画と、既存の阪急改札口を改修して新たに駅ビルを設置する計画が発表された[11]。
工事は国土交通省の鉄道駅総合改善事業における「形成計画事業[12]」として行われ、事業主体は京都市・阪急・京福らの法定協議会『西院駅周辺地域整備協議会』となり[13]、2015年度に着工され2017年3月25日に使用開始した[10]。これと同時に阪急側も車内放送にて「嵐電・京福線はお乗り換え下さい。」と案内するようになった。(東隣の大宮駅も嵐電との接続駅だが、乗り換えの放送はない。)
-
京福ホーム(ラインカラー導入前。手前の道路は四条通。2006年)
-
京福ホーム全景(2007年。右側のホームは廃止)
利用状況
編集- 阪急電鉄 - 2022年の通年平均の乗降人員は33,247人である[14]。
- 阪急電鉄全駅では、第21位。
- 京福電気鉄道 - 2022年の1日平均乗降人員は5,999人(年間2,190千人、京都市統計書より推定)である。
近年の1日平均乗降人員・乗車人員は下記の通り[15][16]。
年度 | 阪急電鉄 | 京福電気鉄道 | ||
---|---|---|---|---|
乗降人員 | 乗車人員 | 乗降人員 | 乗車人員 | |
1995年 | 25,158 | 1,090 | ||
1996年 | 39,156 | 1,145 | ||
1997年 | 50,090 | 25,227 | 1,136 | |
1998年 | 48,619 | 22,539 | 1,063 | |
1999年 | 49,474 | 24,128 | 994 | |
2000年 | 48,079 | 23,126 | 923 | |
2001年 | 45,395 | 22,068 | 893 | |
2002年 | 43,808 | 21,558 | 865 | |
2003年 | 43,625 | 21,367 | 873 | |
2004年 | 42,801 | 20,901 | 947 | |
2005年 | 43,115 | 21,246 | 1,208 | |
2006年 | 42,419 | 21,071 | 1,210 | |
2007年 | 43,315 | 21,739 | - | |
2008年 | 45,620 | 22,997 | 1,676 | |
2009年 | 43,008 | 20,695 | 1,613 | |
2010年 | 42,126 | 20,873 | 1,531 | |
2011年 | 42,175 | 20,808 | 3,283 | 1,642 |
2012年 | 42,448 | 21,005 | 3,409 | 1,704 |
2013年 | 43,938 | 21,789 | 3,439 | 1,719 |
2014年 | 41,940 | 20,751 | 3,569 | 1,785 |
2015年 | 43,953 | 21,839 | 4,573 | 2,286 |
2016年 | 45,971 | 22,767 | 4,116 | 2,058 |
2017年 | 47,803 | 23,811 | 5,507 | 2,753 |
2018年 | 48,592 | 23,956 | 5,655 | 2,827 |
2019年 | 49,350 | 24,464 | 5,705 | 2,852 |
2020年 | 36,644 | 18,085 | 3,855 | 1,927 |
2021年 | 35,081 | 17,469 | 4,234 | 2,117 |
2022年 | 42,566 | 21,015 | 5,999 | 2,999 |
駅周辺
編集-
西院春日神社本殿
-
京都ファミリー
バス路線
編集阪急西院駅の西改札口前に西大路四条(阪急・嵐電西院駅)停留所が設けられており、京都市営バス・京都バス・京阪京都交通が乗り入れている。
- 京都市営バス(のりば案内図)
- Aのりば
- 特27号系統 : 西大路五条 西京極駅 行き
- 75号系統 : 西大路五条 京都駅 行き
- 202号系統:西大路通 九条車庫 方面
- 快速202号系統 : 西大路通 九条車庫 行き
- 205・快速205号系統 : 京都駅・九条車庫 行き
- Bのりば
- Cのりば
- 13号系統 : 西大路通・久世橋 久世工業団地 行き
- 特13号系統 : 西大路通・久世橋 久我石原町 行き
- 臨13号系統 : 西大路通・吉祥院長田町 上鳥羽馬廻 行き
- Dのりば
- Eのりば
- 202号系統 : 西ノ京円町・熊野神社 方面
- 203号系統 : 今出川通 銀閣寺道・錦林車庫 方面
- 205号系統 : 西大路通 金閣寺・北大路バスターミナル 方面
- 快速立命館系統 : 西大路通 立命館大学前 行き
- 臨時系統 : 府立体育館・立命館大学前 行き
- Fのりば
- 京都バス(時刻表)
- 77系統 : 帷子辻 嵯峨小学校前 行き
- 72・73・75・76・77系統 : 四条烏丸 京都駅 行き
隣の駅
編集- 阪急電鉄
- ■京都本線
脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ a b c d e f g h 生田誠『阪急京都線・千里線 街と駅の1世紀』彩流社〈懐かしい沿線写真で訪ねる〉、2013年、4-6,44-45頁。ISBN 978-4-7791-1726-8。
- ^ a b c 小沢嘉三『西院の歴史』西院の歴史編集委員会、1983年、pp.5 - 6
- ^ 市町村自治研究会(監修)・日本加除出版編集部(編)『全訂 全国市町村名変更総覧』日本加除出版、2006年、p.817
- ^ 『全国鉄道事情大研究 京都・滋賀篇』草思社、1992年[要ページ番号]
- ^ 『西院昭和風土記』西院昭和風土記刊行委員会、1990年、p.51
- ^ a b c 曽根悟(監修) 著、朝日新聞出版分冊百科編集部 編『週刊 歴史でめぐる鉄道全路線 公営鉄道・私鉄』 4号 京福電気鉄道・叡山電鉄・嵯峨野観光鉄道・京都市交通局、朝日新聞出版〈週刊朝日百科〉、2011年4月3日、8-9頁。
- ^ a b 『嵐電西院駅 嵐山方面行きホームを移設するとともに 阪急西院駅 北・南改札口を新設し、3月25日(土)より供用を開始します 〜エレベーターの新設等により、段差なく円滑な移動が可能となります〜』(PDF)(プレスリリース)京福電気鉄道/阪急電鉄、2017年2月24日。オリジナルの2020年8月3日時点におけるアーカイブ 。2020年8月3日閲覧。
- ^ a b c 『阪急ステーション 写真で見る阪急全駅の今・昔』阪急電鉄株式会社コミュニケーション事業部〈阪急ワールド全集 4〉、2001年、110頁。ISBN 4-89485-051-6。
- ^ オフィスJ.B、旭和則『都市鉄道完全ガイド 関西私鉄・地下鉄 2022-2023年版』双葉社、2022年8月31日、7頁。
- ^ a b c “嵐電と阪急西院駅直結、乗り継ぎ便利に 京都”. 京都新聞. (2017年3月25日). オリジナルの2017年3月26日時点におけるアーカイブ。 2017年3月25日閲覧。
- ^ a b “阪急・嵐電の西院駅直結へ 改札口新設計画、駅ビルも刷新”. 京都新聞. (2013年8月29日). オリジナルの2014年2月22日時点におけるアーカイブ。 2024年2月27日閲覧。
- ^ 鉄道・運輸機構 第三者委員会 平成26年度第2回委員会資料 1.鉄道助成業務に関する動向(報告事項) (PDF) - 平成26年11月19日より『連携計画事業』から呼称が変更された。
- ^ 平成26年度予算に係る鉄道関係公共事業の事業評価結果および概要について (PDF) 16-18P - 国土交通省鉄道局
- ^ 駅別乗降人員 - 阪急電鉄
- ^ 京都市統計書 第8章 都市施設 07 私鉄市内駅乗降客数(JRを除く)
- ^ 京都府統計書 第10章 運輸・情報通信・観光 10-1.鉄道乗車人員から各年の乗車人員を年度日数で除して算出。
関連項目
編集外部リンク
編集- 西院駅 - 阪急電鉄
- 嵐電 路線図・時刻表 - 「嵐電」(京福電気鉄道)
- 京都市・西院駅周辺地域整備協議会