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ハドラマウト語

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ハドラマウト語
紀元前4世紀のハドラマウト王国(緑)
話される国 イエメン
消滅時期 4世紀
言語系統
言語コード
ISO 639-3 xhd
Linguist List xhd Hadramitic
Glottolog hadr1235  Hadrami[1]
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ハドラマウト語[2](ハドラマウトご、英語: Hadramitic, Hadrami)は、古代南アラビア語のひとつ。南西アラビア東部、現在のイエメンからオマーンにかけて、西暦4世紀ごろまであったハドラマウト王国で使われていた言語である。

現在のアラビア語ハドラマウト方言とは別の言語である。

概要

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紀元前1千年紀後半にサバ王国の支配が衰えると、各地の地方語(ミナ語カタバン語、ハドラマウト語)による碑文が増加した。ハドラマウト語の碑文は主にワーディー・ハドラマウトに沿った地域、および王国の都であるシャブワに残っている。シャブワは古代の香料貿易路の起点として重要だった。紀元前1世紀にはシャブワから数百キロメートル離れたズファール地方に勢力を伸ばし、サマールム(S1mhrm、今のオマーンの、サラーラ近郊のホール・ローリー。インド洋に望む)に植民した。ここにも碑文が残されている。ズファールは乳香の主要な産地だった。4世紀になるとハドラマウトはヒムヤル王国に支配され、ハドラマウト語にかわってサバ語で碑文が書かれるようになった[3][4]

特徴

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音声の上では、s3 がしばしば混同される。たとえば「3」を意味する s2lṯs2ls3 と書かれたり、逆に「碑文」を意味する ms3ndmṯnd と書かれる[5][6]

サバ語の三人称代名詞や動詞使役語幹で h が現れる場所に、ハドラマウト語では s1 が現れる(ミナ語カタバン語も同じ)[7][6]

単数の三人称接尾辞には、短い -s1 のほかに -s1ww のような長い形が見られる(カタバン語も同じ)[8]

サバ語の前置詞 l-「……に」にあたるのはハドラマウト語では h- になる[9][10]

脚注

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  1. ^ Hammarström, Harald; Forkel, Robert; Haspelmath, Martin et al., eds (2016). “Hadrami”. Glottolog 2.7. Jena: Max Planck Institute for the Science of Human History. http://glottolog.org/resource/languoid/id/hadr1235 
  2. ^ 柘植洋一「古代南アラビア語」『言語学大辞典』 1巻、三省堂、1988年、1714-1720頁。 
  3. ^ Nebes & Stein (2004) p.455
  4. ^ Kogan & Korotayev (1997) p.221
  5. ^ Nebes & Stein (2004) p.459
  6. ^ a b Kogan & Korotayev (1997) p.223
  7. ^ Nebes & Stein (2004) p.470
  8. ^ Nebes & Stein (2004) pp.470-471
  9. ^ Nebes & Stein (2004) p.472
  10. ^ Kogan & Korotayev (1997) p.237

参考文献

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  • Kogan, Leonid E.; Korotayev, Andrey V. (1997). “Sayhadic (Epigraphic South Arabian)”. In Robert Hetzron. The Semitic Languages. Routledge. pp. 220-241. ISBN 9780415412667 
  • Nebes, Norbert; Stein, Peter (2004). “Ancient South Arabian”. In Roger D. Woodard. The Cambridge Encyclopedia of the World's Ancient Languages. Cambridge University Press. pp. 454-487. ISBN 9780521562560