小樽市総合博物館
小樽市総合博物館 | |
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小樽市総合博物館 | |
施設情報 | |
正式名称 | 小樽市総合博物館[1] |
前身 |
小樽市博物館 小樽市青少年科学技術館 小樽交通記念館 |
専門分野 | 北海道の歴史や自然、交通、科学 |
事業主体 | 小樽市 |
管理運営 | 小樽市教育委員会 |
開館 | 2007年(平成19年)7月14日 |
所在地 |
〒047-0041 北海道小樽市手宮1-3-6 |
位置 | 北緯43度12分40.8秒 東経141度0分5.3秒 / 北緯43.211333度 東経141.001472度座標: 北緯43度12分40.8秒 東経141度0分5.3秒 / 北緯43.211333度 東経141.001472度 |
外部リンク | 小樽市総合博物館 |
プロジェクト:GLAM |
小樽市総合博物館(おたるしそうごうはくぶつかん)は、北海道小樽市手宮1丁目にある北海道の歴史や自然、鉄道をはじめとした交通、科学などに関する展示を行う博物館である。
2007年(平成19年)7月14日、小樽市博物館(おたるしはくぶつかん)と小樽市青少年科学技術館(2006年12月閉館)の機能を統合し、手宮駅にあった第三セクター運営の小樽交通記念館(おたるこうつうきねんかん。2006年3月閉館)の施設を活用する形で発足したもので、旧小樽交通記念館の施設に事務機能を集約し、本館とした。なお、旧・小樽市博物館は運河館と改称された。
歴史
[編集]小樽市総合博物館は、1956年(昭和31年)、色内にある旧日本郵船小樽支店を利用し設立された博物館である。設立当初は「小樽市博物館」として美術を含む人文・自然を対象とした博物館であり、その後1985年に現在の運河館となる旧小樽倉庫に移転した[2]。
その後1962年(昭和37年)12月に、日本の鉄道開業90周年を記念して当時の日本国有鉄道札幌鉄道管理局が設置した北海道鉄道記念館を分館として運営・受託管理を行った[3][2]。開館当初は旧機関庫を本館として用い、1964年10月には北海道大学付属博物館から大勝号機関車も搬入された[4]。1977年には倉庫を改装した鉄道資料館棟が開設されたほか[2]、1986年にはこれまでの17両に加え民営化を控えての11月ダイヤ改正に伴い「不要になる車両の各形式を一両ずつ保存したい」との国鉄北海道総局の申し出を受け余剰となった電気機関車・気動車・客車・貨車・救援車計25両を追加収蔵し1987年より展示を開始し2倍以上の展示規模となった[5]。
1976年に立案されたSL博物館への拡張案から発展する形で1980年に小樽市で開催された北海道鉄道開業百年記念式典の剰余金をはじめとした寄付金などを元に「北海道交通記念館」の仮称で拡張を行う検討が進められ[2]、その後鉄道記念館は1992年(平成4年)11月4日から一時閉館し[6]、小樽市を事業主体に北海道やJR北海道の支援を受け整備拡充を行うこととなり旧手宮線敷地を中心としたJR所有地2.2haと国鉄清算事業団から買収した市有地3.6haに博物館本館となる「中央展示館」などを建設し[7]、改装のうえ1996年(平成8年)4月20日に展示範囲を海運や陸運にまで拡大して総合的な交通博物館として再オープン、小樽交通記念館に改称した[8]。小樽市が51%を出資する第三セクターの株式会社小樽交通記念館により運営されていたが[7]、利用者の減少などのため2006年(平成18年)3月で閉館した。
小樽市博物館は2007年(平成19年)7月14日に、小樽市青少年科学技術館との機能統合にともない旧小樽交通記念館跡地に移転のうえ小樽市総合博物館と改称しオープンした。同年9月にはツール・ド・北海道2007の出発点となったほか、この年より小樽クラシックカー博覧会 in 小樽市総合博物館が開催されている。
日本博物館協会会員館[9]。北海道博物館協会加盟館[10]。博物館法に基づく北海道教育委員会登録博物館である[11]。2024年、第5回日本博物館協会賞受賞[12]。
本館
[編集]本館は、北海道の鉄道発祥の地である旧手宮線・手宮駅の構内敷地5.8haを利用して設置されており、鉄道・科学・歴史館、蒸気機関車記念館、鉄道車輌保存館の3つの屋内施設の他、屋外展示場があり貴重な鉄道車両、自動車などが保存展示されている。現存する日本最古の機関庫で鉄道記念物である鉄道車輌保存館をはじめとして、道内に存在する準鉄道記念物12件のうち8件が、当館の所蔵である。
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本館手宮口
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敷地内にある「北海道鉄道開通起点」碑
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1934年の地図。手宮線が掲載される。
主な展示物
[編集]建造物
[編集]動態展示
[編集]- アイアンホース号:義経・弁慶・しづか同様ポーター製の2-6-0テンダー式蒸気機関車。1993年(平成5年)に米国のテーマパークから購入。軌間914mm・重油専焼式[7]、1909年製で、2009年(平成21年)8月に生誕100年祭が行われた。2017年10月に溶け栓の膨張により火室への水漏れが確認され運行を停止[13]。その後2018年4月に大阪府のサッパボイラに移送し修理され[14]、7月15日に博物館に戻り23日より通常運行を再開[15]。
静態展示
[編集]鉄道
[編集]- しづか号蒸気機関車:鉄道記念物(鉄道記念館開館時から収蔵[2]、中央展示館内)
- 大勝号蒸気機関車:鉄道記念物(1964年収蔵[4])
- 蒸気機関車C12 6:現役当時の特徴であった、空気シリンダーによる昇降式スノープラウは失われている。
- 蒸気機関車C55 50
- DD13 611:1986年収蔵[5]
- DD14 323
- DD15 37:1986年収蔵[5]
- DD16 17:1986年収蔵[5]
- DD51 615:1986年収蔵[5]
- DE10 503:1986年収蔵[5]
- ED75 501:準鉄道記念物。1986年収蔵[5]、北海道鉄道文化保存会によって外部修復工事済。高濃度のPCBが含まれていたためED76 509と共に廃棄解体が決定され作業中だったが、想定より解体箇所が少なかったことから専門業者からの意見を踏まえて方針を変更し、腐食が進む機器のみを撤去し引き続き保存予定[16]。
- ED76 509:1986年収蔵[5]、北海道鉄道文化保存会によって修復実施済。高濃度のPCBが含まれていたためED75 501と共に廃棄解体が決定され作業中だったが、想定より解体箇所が少なかったことから専門業者からの意見を踏まえて方針を変更し[16]、2024年11月9日より頭部のみの展示を開始[17]。
- キハ03 1:1986年収蔵・元旭川車両センター保存車[5]、準鉄道記念物
- キハ22 56・キハユニ25 1
- キハ27 11・キハ56 23・キロ26 107:1986年収蔵[5]
- キハ82 1(準鉄道記念物)・キシ80 12・キシ80 34(キハ82 1・キシ80 12は1983年収蔵[18]、北海道鉄道文化保存会によって外部修復工事済)
- い1号客車:鉄道記念物(1963年10月収蔵[2] 中央展示館内)
- オハ36 125・オハフ33 364:1986年収蔵[5]
- スハフ44 1・スハ45 14
- スユニ50 501(郵便荷物車)
- マニ30 2012(現金輸送荷物車 2004年収蔵)
- オエ61 309(救援車):1986年収蔵[5]
- スエ78 5(救援車)
- キ601(ロータリー式除雪車 1964年収蔵)準鉄道記念物
- キ800(マックレー式除雪車 鉄道記念館開館時から収蔵[2])準鉄道記念物
- キ270(ラッセル式除雪車・単線用)
- キ1567(ラッセル式除雪車・複線用)
- キ718・キ752(ジョルダン式除雪車)
- ソ34(操重車)・貨車チキ6141(長物車):1986年収蔵[5]
- 過去の展示物
自動車
[編集]以下の車種からいずれかが入れ替え制で一般公開される。
- スバル・360 K111型
- トヨタ・カローラ DX-1100
- 日産・ダットサン サニー 1000DX
- ブリヂストン・チャンピオン3型デラックス
- ホンダ・ジュノオ M80
- 山口・オートペットAP10
- ホンダ・ベンリイ CIII92
- 東昌・エコー
- 東洋工業・マツダ号DC型
- プリンス・スカイライン 2000GT-AS54A-III
- いすゞ・ヒルマンミンクス スーパーデラックス PH50
- 日産・ダットサン ブルーバード 1200デラックスP312
- 蒸気自動車 ロコモビル・スタンダード
- マツダ・HR-X(水素ロータリーエンジン試作車)
- 三菱T370型ボンネットバス フロンティア号(国鉄バス色)
- ロールス・ロイス・シルヴァーシャドウ(初代)(2017年収蔵、元石原裕次郎記念館保存車 ガラス張りケースにて展示[19][20])
- 過去の展示物
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アイアンホース号
(動態展示) -
しづか号
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い1号客車
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大勝号
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開拓使号模型
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C12 6
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C55 50
-
DD13 611
-
DD14 323
-
DD15 37
-
DD16 17
-
ED75 501
-
ED76 509
-
キハ22 56
-
キハ56 23
-
キハ82 1とキシ80 34
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マニ30 2012
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オエ61 309
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スエ78 5
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ワフ29984
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ヨ7904
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ソ34+チキ6141
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遊覧鉄道の中央駅
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遊覧鉄道の手宮駅
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三菱T370型バス
「フロンティア号」 -
マツダHR-X
水素ロータリーエンジン試験車 -
ロコモビル・スタンダード
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マツダ号DC型
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マツダ787B
55号予備車
(現在は展示終了)
運河館
[編集]小樽市総合博物館運河館 | |
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運河館俯瞰 | |
施設情報 | |
正式名称 | 小樽市総合博物館運河館[1] |
事業主体 | 小樽市 |
管理運営 | 小樽市教育委員会 |
所在地 | 小樽市色内2丁目1-20 |
プロジェクト:GLAM |
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小樽運河近くに1890年から1894年にかけて建設された旧小樽倉庫(小樽市指定歴史的建造物)の建物3棟を館施設に用いて小樽市の歴史と自然環境に関する内容を展示・紹介している。第1展示室では「小樽の歴史―まちのあゆみを知る」としてアイヌ時代から近代までの小樽の歴史、第2展示室は「小樽の自然―その多様な姿を知る」として小樽に生息する動植物を中心として小樽の自然を展示する。
備考
[編集]- 冬期間は本館の屋外の展示車両の大半が降雪対策としてブルーシートで覆われ、見学できない。
- 旧小樽交通記念館開館時のイメージキャラクターに松本恵を起用した。
- キハユニ25 1の郵便車部分は現在工事中のため立ち入ることはできない。
- 敷地内には2008年から国鉄スハ43系客車及び国鉄ワフ29500形貨車を利用した飲食店があり、イタリア料理店「リストランテ トレノ」が博物館のレストラン営業募集に応じて小樽市高島から博物館敷地に移転し[22]、その後2021年11月3日に閉店[23]。2022年春から2023年10月には喫茶店「ハルのち晴れ。」が居抜き出店していた[24][25]。
脚注
[編集]- ^ a b “小樽市総合博物館条例” (PDF). 小樽市. 2016年10月8日閲覧。
- ^ a b c d e f g 小樽市史 第八巻 行政編(中)第四編 市政三〇年 第23章 社会教育施設
- ^ “北海道鉄道記念館開館”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (1962年12月5日)
- ^ a b 星良助「昭和30〜40年代 北海道の鉄路」 - 北海道新聞社(2019年)
- ^ a b c d e f g h i j k l m n 土曜特集 小樽市手宮の北海道鉄道記念館 展示車両2倍へ見ごたえ十分 各形式が勢ぞろい レールバス 電気機関車第一号 事故救援車 - 北海道新聞1986年10月18日夕刊道央版
- ^ 「JR年表」『JR気動車客車編成表 '93年版』ジェー・アール・アール、1993年7月1日、182頁。ISBN 4-88283-114-7。
- ^ a b c 渡辺真吾「小樽交通記念館の概要」 - 運転協会誌1996年10月号(日本鉄道運転協会)
- ^ 交友社『鉄道ファン』1996年8月号 通巻424号 p.100
- ^ 小樽市総合博物館公益財団法人日本博物館協会
- ^ 加盟館園北海道博物館協会
- ^ 登録博物館一覧文化庁
- ^ 顕彰公益財団法人日本博物館協会
- ^ 北海道最古の動態蒸気機関車を救う道…小樽市総合博物館が故障中の『アイアンホース号』を語る - Response(2017年12月11日)
- ^ 北海道最古の動態蒸気機関車がボイラー修理に旅立ち…小樽市総合博物館の『アイアンホース号』 - Resonse(2018年4月23日)
- ^ アイアンホース号は2018年7月25日から運行を再開します - おたるぽーたる(小樽観光協会)
- ^ a b “廃棄予定の機関車一転保存へ 小樽市博物館、PCB除去後に:北海道新聞デジタル”. 北海道新聞デジタル. 2023年8月30日閲覧。
- ^ 電気機関車「ED76」9日から展示再開 小樽市総合博物館 PCB除去で頭部のみに 北海道新聞社 - 47NEWS 2024年11月08日
- ^ トピック・ニュース - 車輌工学1983年6月号
- ^ 『愛車 博物館に“納車” 小樽「石原裕次郎記念館」8月閉館 市「足跡残す」』 - 北海道新聞2017年5月24日夕刊
- ^ 裕次郎さんの愛車ロールスロイス 博物館で展示 - 小樽ジャーナル 2017年9月29日
- ^ “北海道)ルマン24時間優勝のマツダ車、小樽とお別れ”. 朝日新聞DIGITAL (2015年11月19日). 2015年11月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年11月28日閲覧。 - archive.is
- ^ 列車レストランの大移動!「トレノ」が総合博物館へ - 小樽ジャーナル
- ^ 鉄道車両を店舗に 小樽のイタリアン「トレノ」3日閉店 37年の歴史に幕 - 北海道新聞 2021年11月3日
- ^ 朝採りぷらす 地域面から 鉄道車両を活用しカフェに - 北海道新聞2022年5月17日朝刊
- ^ ハルのち晴れ。閉店のお知らせ - まいぷれ小樽