LEV-1
LEV-1 | |
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SLIM・LEV-1・LEV-2の実寸モデル (相模原キャンパス 宇宙探査フィールド) | |
所属 | 宇宙航空研究開発機構 (JAXA) |
状態 | 通信途絶・月面待機中 |
目的 |
工学実証:地球との直接通信・不整地移動・自律動作 SLIMミッションの補強:SLIMの状況観測・着陸シーンの撮像 |
設計寿命 |
30分以上 長くても数日[1] |
打上げ機 | H-IIA 47号機 |
打上げ日時 | 2023年9月7日 |
軟着陸日 |
2024年1月19日 15:19:50(UTC、分離時刻) |
通信途絶日 | 2024年1月19日 17:10:00(UTC) |
本体寸法 | 搭載状態:26×30×30cm |
質量 | 2.1 kg(LEV-1本体のみ) |
姿勢制御方式 | 跳躍・車輪回転 |
搭載機器 | |
通信機 | UHF(送受信)・S帯(送信) |
LEV-1(Lunar Excursion Vehicle 1、レブワン)は宇宙航空研究開発機構 (JAXA) の宇宙科学研究所、東京農工大学、中央大学が共同で開発した小型の月面プローブである[2]。
2024年1月19日(UTC)、同じく月面プローブのLEV-2と共にSLIMから分離して月面に着陸し、自律的に月面を移動、LEV-2と月面ロボット同士で通信、LEV-1単独で地球にデータを送信することに成功した[3]。
概要
[編集]LEV-1は月面で自律動作により探査を実施する小型プローブとして、LEV-2(SORA-Q)と共に月着陸実証機SLIMに格納・搭載され、2023年9月7日にH-IIAロケットで打ち上げられた。
計画
[編集]SLIMが月面へ着陸する直前、月面の高度1.8mでSLIM側の分離機構LEV-MによりLEV-2とともに放出される[2]。LEV-1・LEV-2は独自の着陸機構を持たず約2.4m/sの速度で月面に衝突する[4]。月面へ落下した後、LEV-1は月着陸後のSLIMの撮影などを試み、得たデータを地球へ送信する[5]。また、LEV-2が収集したデータを受信して、地球へ送信する中継器も兼ねている。
運用
[編集]- 2024年1月19日(UTC)[4]
運用結果
[編集]- S帯の電波を臼田宇宙空間観測所・内之浦宇宙空間観測所・DSNマドリード局で受信した[8]
- UHFの電波をアマチュア無線家ら(和歌山大学、日本、ヨーロッパ)が受信した[8]
- LEV-2が自律的に撮影したSLIMの画像1枚を中継して地球に向けて送信した。SLIMの予定外の着陸姿勢はテレメトリから予測されていたが、これを確認した形となった[9]
- 受信データより、7回のホッピングと車輪回転が確認された[4][7][注釈 1]
- 1回目のホッピングは機能開始から895秒経過時点[8]
- LEV-2からLEV-1へ2回分の画像データが送信された[7]
- 通信途絶前にはバッテリ電圧が低下し[8]、搭載コンピュータの温度は70℃を超過していた[4]
- 通信途絶後は太陽電池による発電・温度の低下により活動を再開する可能性があるとして、電波の受信体制を維持し月面待機中の扱いとした[4][10]
- LEV-1単独で月面の撮影を予定していたが受信データから撮影データは確認できていない[4]
記録等
[編集]搭載機器
[編集]移動機構
[編集]LEV-1は1軸の跳躍(ホッピング)機構と1軸の回転車輪を使用した特殊な移動形態で設計されている。車輪を回転させて跳躍可能な姿勢に復帰させ、跳躍用のバネをモーターで縮め、バネを解放した反動でホッピングパッドが月面を蹴り移動する[4]。一般的な月面車が2軸以上の車輪の回転によって移動するのに対し、小型ローバに適した不整地移動手法の実証をミッションの一つとしている[4]。
完全に自律的に動作し、ホッピングの方向は画像処理によって決定される[4]。
通信機器
[編集]- 通信モジュール[4][1]
- UHF(送受信、430MHz帯)
- S帯(送信)
- 寸法:60×40×25mm(運用時点で世界最小・最軽量の月面通信機)
- 質量:90g
- フィルムアンテナ(UHF)
- アンテナ(S帯)
LEV-2とはBluetoothによって通信する。
その他
[編集]脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 当初6回と発表したが、データ解析の結果7回とされる
出典
[編集]- ^ a b c “LEV-1”. robotics.isas.jaxa.jp. 2024年11月5日閲覧。
- ^ a b c “小型プローブ LEV (Lunar Excursion Vehicle)”. 宇宙航空研究開発機構 (2022年3月15日). 2024年1月20日閲覧。
- ^ “仲良し!超小型月面探査ローバ LEV-1 & 2”. 宇宙科学研究所. 2024年11月5日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n “SLIM搭載超小型月面探査ローバ LEV-1 (Lunar Excursion Vehicle 1)”. JAXA. 2021年11月5日閲覧。
- ^ “【PRESS】日本の月着陸機SLIM/LEV-1×和歌山大学12mパラボラ アマチュア無線超長距離通信実験について”. 和歌山大学 (2024年1月10日). 2024年1月20日閲覧。
- ^ “小型月着陸実証機(SLIM) 月面着陸の結果について|宇宙科学研究所 SLIMプロジェクトチーム”. JAXA. 2024年11月6日閲覧。
- ^ a b c d “ISAS News 2024 5 No.518”. JAXA. 2024年11月5日閲覧。
- ^ a b c d e “小型月着陸実証機(SLIM)、超小型月面探査ローバ(LEV-1)、及び 変形型月面ロボット(LEV-2)の月面着陸結果について|令和6年(2024年)2月26日 宇宙航空研究開発機構”. 文部科学省. 2024年11月5日閲覧。
- ^ “JAXAとタカラトミーらが開発の変形型月面ロボット「SORA-Q」着陸したSLIMを捉えた画像の撮影・送信に成功【宇宙ビジネスニュース】”. 宙畑. 2024年11月6日閲覧。
- ^ “JAXA | 小型月着陸実証機(SLIM)搭載 超小型月面探査ローバ(LEV-1)月面着陸の結果・成果等について”. JAXA | 宇宙航空研究開発機構. 2024年11月5日閲覧。