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LEV-1

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
LEV-1
SLIM・LEV-1・LEV-2の実寸モデル
(相模原キャンパス 宇宙探査フィールド)
所属 宇宙航空研究開発機構 (JAXA)
状態 通信途絶・月面待機中
目的

工学実証:地球との直接通信・不整地移動・自律動作

SLIMミッションの補強:SLIMの状況観測・着陸シーンの撮像
設計寿命 30分以上
長くても数日[1]
打上げ機 H-IIA 47号機
打上げ日時 2023年9月7日
軟着陸日 2024年1月19日
15:19:50(UTC、分離時刻)
通信途絶日 2024年1月19日 17:10:00(UTC)
本体寸法 搭載状態:26×30×30cm
質量 2.1 kg(LEV-1本体のみ)
姿勢制御方式 跳躍・車輪回転
搭載機器
通信機 UHF(送受信)・S帯(送信)
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LEV-1Lunar Excursion Vehicle 1、レブワン)は宇宙航空研究開発機構 (JAXA) の宇宙科学研究所東京農工大学中央大学が共同で開発した小型の月面プローブである[2]

2024年1月19日(UTC)、同じく月面プローブのLEV-2と共にSLIMから分離して月面に着陸し、自律的に月面を移動、LEV-2と月面ロボット同士で通信、LEV-1単独で地球にデータを送信することに成功した[3]

概要

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LEV-1は月面で自律動作により探査を実施する小型プローブとして、LEV-2(SORA-Q)と共に月着陸実証機SLIMに格納・搭載され、2023年9月7日にH-IIAロケットで打ち上げられた。

計画

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SLIMが月面へ着陸する直前、月面の高度1.8mでSLIM側の分離機構LEV-MによりLEV-2とともに放出される[2]。LEV-1・LEV-2は独自の着陸機構を持たず約2.4m/sの速度で月面に衝突する[4]。月面へ落下した後、LEV-1は月着陸後のSLIMの撮影などを試み、得たデータを地球へ送信する[5]。また、LEV-2が収集したデータを受信して、地球へ送信する中継器も兼ねている。

運用

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  • 2024年1月19日(UTC)[4]
    • 15:19:20 - 電波の発信を開始
    • 15:19:50頃 - SLIMから分離(高度約5m[6]
    • 15:19:52頃 - 月面に着陸
    • 15:20:20.20 - 内之浦局・臼田局が電波を受信(電波発出はその1.3秒前)[7]
    • 15:20:30 - 月面探査開始
    • 17:10 - 海外のアマチュア無線家による信号受信を最後に通信途絶[7]

運用結果

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  • S帯の電波を臼田宇宙空間観測所内之浦宇宙空間観測所DSNマドリード局で受信した[8]
  • UHFの電波をアマチュア無線家ら(和歌山大学、日本、ヨーロッパ)が受信した[8]
  • LEV-2が自律的に撮影したSLIMの画像1枚を中継して地球に向けて送信した。SLIMの予定外の着陸姿勢はテレメトリから予測されていたが、これを確認した形となった[9]
  • 受信データより、7回のホッピングと車輪回転が確認された[4][7][注釈 1]
    • 1回目のホッピングは機能開始から895秒経過時点[8]
  • LEV-2からLEV-1へ2回分の画像データが送信された[7]
  • 通信途絶前にはバッテリ電圧が低下し[8]、搭載コンピュータの温度は70℃を超過していた[4]
  • 通信途絶後は太陽電池による発電・温度の低下により活動を再開する可能性があるとして、電波の受信体制を維持し月面待機中の扱いとした[4][10]
  • LEV-1単独で月面の撮影を予定していたが受信データから撮影データは確認できていない[4]

記録等

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  • 世界初の跳躍による月面移動[4]
  • 世界初の完全自律探査(LEV-2と共に)[4]
  • 世界初の月面のロボット間通信(LEV-2と共に)[4]
  • 世界初の月面アマチュア無線局[8]

搭載機器

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移動機構

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LEV-1は1軸の跳躍(ホッピング)機構と1軸の回転車輪を使用した特殊な移動形態で設計されている。車輪を回転させて跳躍可能な姿勢に復帰させ、跳躍用のバネをモーターで縮め、バネを解放した反動でホッピングパッドが月面を蹴り移動する[4]。一般的な月面車が2軸以上の車輪の回転によって移動するのに対し、小型ローバに適した不整地移動手法の実証をミッションの一つとしている[4]

完全に自律的に動作し、ホッピングの方向は画像処理によって決定される[4]

通信機器

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  • 通信モジュール[4][1]
    • UHF(送受信、430MHz帯)
    • S帯(送信)
    • 寸法:60×40×25mm(運用時点で世界最小・最軽量の月面通信機)
    • 質量:90g
  • フィルムアンテナ(UHF)
  • アンテナ(S帯)

LEV-2とはBluetoothによって通信する。

その他

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  • カメラ(フロント・リア)[4]
  • 電力系(10W程度)[1]
    • 太陽電池セル(8セル)
    • バッテリー(6セル)
  • 加速度センサ(2種)[2]
    • 10G以下
    • 5000G以下

脚注

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注釈

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  1. ^ 当初6回と発表したが、データ解析の結果7回とされる

出典

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  1. ^ a b c LEV-1”. robotics.isas.jaxa.jp. 2024年11月5日閲覧。
  2. ^ a b c 小型プローブ LEV (Lunar Excursion Vehicle)”. 宇宙航空研究開発機構 (2022年3月15日). 2024年1月20日閲覧。
  3. ^ 仲良し!超小型月面探査ローバ LEV-1 & 2”. 宇宙科学研究所. 2024年11月5日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m n SLIM搭載超小型月面探査ローバ LEV-1 (Lunar Excursion Vehicle 1)”. JAXA. 2021年11月5日閲覧。
  5. ^ 【PRESS】日本の月着陸機SLIM/LEV-1×和歌山大学12mパラボラ アマチュア無線超長距離通信実験について”. 和歌山大学 (2024年1月10日). 2024年1月20日閲覧。
  6. ^ 小型月着陸実証機(SLIM) 月面着陸の結果について|宇宙科学研究所 SLIMプロジェクトチーム”. JAXA. 2024年11月6日閲覧。
  7. ^ a b c d ISAS News 2024 5 No.518”. JAXA. 2024年11月5日閲覧。
  8. ^ a b c d e 小型月着陸実証機(SLIM)、超小型月面探査ローバ(LEV-1)、及び 変形型月面ロボット(LEV-2)の月面着陸結果について|令和6年(2024年)2月26日 宇宙航空研究開発機構”. 文部科学省. 2024年11月5日閲覧。
  9. ^ JAXAとタカラトミーらが開発の変形型月面ロボット「SORA-Q」着陸したSLIMを捉えた画像の撮影・送信に成功【宇宙ビジネスニュース】”. 宙畑. 2024年11月6日閲覧。
  10. ^ JAXA | 小型月着陸実証機(SLIM)搭載 超小型月面探査ローバ(LEV-1)月面着陸の結果・成果等について”. JAXA | 宇宙航空研究開発機構. 2024年11月5日閲覧。

外部リンク

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