グリーは2004年に創業したソーシャルネットワーキングサービス「GREE」の運営会社。もっともこだわっている点は、システムを100%自社で開発するという点だ。「他社と同じプラットフォームを使っていては、コンテンツやサービスも他社と似てきてしまう。ミドルウェアの部分から自分たちで良いものを作らないといけない。思いついたサービスをすぐに実現できるように、安いサーバをスケーラブルに動かせるプラットフォームを作っている」(田中氏)
また、サービスのプロデューサーは全員エンジニアである点も特徴といえる。サービス開発はスピードを重視して仕様書は作らず、まずサービスのプロトタイプ版をつくり、それを元に社内で話しあいながらサービスを作りあげるという手法をとる。「グリーはSNSの会社ではなく、コンシューマーインターネットメディア企業という意識だ」(田中氏)
ただ、グリーの場合はほかの2社と異なり、もともとはPC向けにサービスを提供していた。モバイルに注力し始めたのは、「SNSは参加する人が多いほど楽しくなるサービス。PCだけでなくモバイルも提供しないと、多くのユーザーをつかめない」と考えたためだ。
田中氏はもともと楽天で楽天日記などのコミュニティサービスを開発していた。その当時の経験から、サービスが生まれてから一般的に広まるまでは3年くらいかかると感じたという。「2010年頃に広まるサービスは、2000年代中盤に開発に着手していないといけない」
ニンテンドーDSなどのブームもあり、今後はPCなどの据え置き型ではなく、モバイルが主流になると見る。「PCは好きな人や、それを職業にしている人だけが利用するものになるという感じがしている」(田中氏)
モバイル業界の課題の1つとして挙げられるのが、エンジニアの獲得や定着だ。モバイル業界は歴史が浅いこともあり、エンジニアの数は不足している。また、同業他社に移る人も多く、定着率が課題になっている。こういった環境の中で、CELLは創業当初からのモバイル部門での社員退職者が「非常に少ない」(坂本氏)という。
創業当初、坂本氏はわずか20歳。当時から年上の人を従業員として雇わなければならなかったため、トライアンドエラーを繰り返してきたという。「ちゃんとしなきゃ、という意識が強かった。長い目で一緒にやっていきたいという考えを持っていたからではないか」と退職者が少ない理由を分析した。
また、従業員の教育にはマニュアルを利用しているといい、このマニュアルの作成、管理が競争力の源泉になっていると秘訣を明かした。
人材を定着させ、サイトの競争力を高めるには適切な人材を適切な場所に配置するのも1つの方法だ。エフルートでは、「コンテンツにセンスある人間をいかに配置できるかが鍵。(同じ商品を並べていても)売れている書店があるように、担当させる人間にできるだけケータイを使わせて、サービスを愛してもらうようにしている」(佐藤氏)という。
また、グリーではインターネットや携帯電話を子どものころから使いこなしている世代を中核に置いて責任を持たせるという方法を採っている。「今のネット文化、モバイル文化を理解した世代がいかに新しいビジネスを作るかに会社のフォーカスを置いている。自分が楽天で22、23歳のころにいろいろなことにチャレンジできたように、若い人にほかの会社ではありえない権限を与えてあげたい」(田中氏)
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