モザイク化している消費者
同じ位の所得水準でも、育ってきた環境や嗜好、年代が異なる人々が混ざり合って、このConsuming Classを形成している。さまざまなセグメンテーションの消費者が存在しており、捉え方が難しいのだ。
インドネシアの年収別消費グループ。(Consumingクラスは2020年までに7800万人規模になる.Accenture analysis based on data from Euromonitor International 2013)
Consuming Classの人々は具体的にどのような生活を送っているのだろうか。例えば、ジャカルタ市での最低賃金は月に2万7000円、高校を卒業して働き始めても、ポジションが上がれば年収3500ドル以上(Common Mass)の給与水準にはなる。バイクで郊外から2時間かけて通勤して、携帯電話は中国製の安いスマートフォンを使っている。1ドル強くらいの昼ごはんを屋台で食べたり、休みには子供を連れてファーストフード店に行ったり、中級モールで買い物を楽しんだり、映画を見たりする。
Massにはたとえば、大学を卒業して大手企業に入って働いている新入社員が入る。モーターバイクを所有して、タクシーでの移動もする。普段は屋台でご飯を食べていても、日によってはおしゃれなレストランでランチを食べたり、たまに高級モールで、ユニクロやH&Mで買い物をしたりもする。
それが年収1万5000ドルを超える層(Upper Mass)は事情が異なってくる。例えば、マネジャーレベルの仕事に就いており、iPhoneを使って、車や家も所有しているし、ハイブランドのバッグを使っていたりする。ホテルで高級なディナーを食べるし、われわれの生活ではあまり考えられないが、メイドを雇っている場合も多い。
こういった「モザイク状態」の消費者をどう理解しアプローチしていけば、差別化に成功してインドネシアでビジネスを成功できるのだろうか。
次回からは、インドネシアで成功している企業が、モザイク化したConsuming Classをどのように捉えてアプローチしているのかを具体的にご紹介したい。
- 高澤まなか アクセンチュア株式会社 戦略コンサルティング本部 シニア・マネジャー
- 小売り・消費財業界を中心に、新規事業戦略、マーケティング戦略立案及び実行支援等のコンサルティングプロジェクトに従事。現在は、ジャカルタを拠点に、インドネシアを中心としたASEANに進出する企業の支援を行っている。