プライベートエクイティファンドが非公開会社を買収
実際、2014年にそのTIBCOがVista Equity Partnersに買収された際には、投資自体が目的だった。Vista Equity Partnersの会長兼最高経営責任者(CEO)Robert F. Smith氏は、当時次のように述べている。「わが社は才能ある経営チームと従業員とともに、TIBCOの成長を加速し、同社の完全な高速データプラットフォームとしての市場でのリードを強化したいと考えている」(強調部分は著者による)。
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では、プライベートエクイティファンドであるClearlake CapitalがSyncsortを買収した理由は何だろうか。Syncsortの事業に潜在的な価値を見いだし、同社のリソースを使えばそれをより早期に実現できると感じたのかも知れない。完全買収によってClearlakeは完全な経営権を得ることができるため、その点では大型買収よりも効果が高いことも考えられる。メインフレーム市場での経験を積んでいるSyncsortは、大企業のミッションクリティカルなニーズついて深い知見を持っており、Clearlakeはそれを大きなチャンスがあるニッチ市場だと考えた可能性もある。
動機はいくらでも
買収の多くでは、(特に競争の激しいクラウド市場では)買収するか自前で構築するかという問題が背景にあると考える人が多いだろう。しかし、自社プラットフォームの強化や、テクノロジサービスの強化もまた、大きな理由になっている。単なるデータインテグレーションのために作られたプラットフォームに、データアナリティクスの機能を追加するのが目的のケースもある。また、買収した企業の成長を加速して価値が高められる可能性があることが、この市場にプライベートエクイティファンドさえ呼び込んでいる。
独立企業はまだ数多く残されており、買収を行う動機も様々であることから、買収を求める会社も、買収自体も尽きることはないだろう。
仮定の疑問、現実的な見解
データの事前処理やビッグデータアナリティクスを手掛ける会社が、大手エンタープライズソフトウェア会社に買収されることはあるだろうか。あるいは、大手企業がNoSQLベンダーやHadoopディストリビューションを扱う企業を買収する可能性は?
金融サービス会社がストリーミングデータプラットフォーム企業を買収することはあり得るだろうか。視覚的アナリティクスの企業が(公開企業であれ非公開企業であれ)、ニュース市場や情報市場に興味のあるメディア企業によって買収されることもあるかも知れない。
少なくとも、この種の買収が2016年中にいくつか起きることは確実に見えるし、今年中に行われる可能性もまだ残っている。これは、このテクノロジの分野が成熟してきた証であり、顧客は環境の変化に備える必要があるだろう。この分野はこの成熟のプロセスを必要としており、顧客はそれを望んでいる。顧客に必要なのは、プラットフォームを賢く選択することだけだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。