Googleは、自社のクラウドサービスで採用したいと考えているハードディスクの仕様を発表した。なお、同社が望んでいるようなハードディスクは、現時点では市場に存在していない。
Googleはハードディスクベンダーらに対して、クラウドや大規模データセンター向けの製品を開発するよう求めている。
提供:Google
Googleはハードディスクベンダーらに対して、クラウド分野向けディスクの開発に着手し、フロッピーディスク時代から受け継がれている3.5インチという大きさと決別した製品を作り出すよう求めている。
Googleは、Facebookの「Open Compute Project」の影響もあってか、自社のためだけでなくすべての大規模データセンター事業者のために、ストレージ関連で抱える課題の解決に向けた製品開発をハードディスクベンダーらに求めている。
つまり、ハードディスクの未来につながる道を袋小路にしたくないとハードディスクベンダーらが考えているのであれば、Googleをはじめとするクラウド事業者向けに最適化した新たな設計を考え出す必要があると同社は主張しているのだ。
米国時間2月22~25日に開催された、ファイルおよびストレージに関するテクノロジを扱うカンファレンス「USENIX Conference on File and Storage Technologies」においてGoogleのインフラ担当バイスプレジデントであるEric Brewer氏は、クラウド用のハードディスクとしてGoogleが希望する機能の一覧に目を通すよう、ハードディスクベンダーらに求めた。こうしたディスクの設計は、企業のサーバ用として設計された現世代のハードディスクとは大きく異なっている。
Brewer氏の主張の核心は、新たに公開されたホワイトペーパー「Disks for Data Centers」(データセンター向けのディスク)でも概説されている。それによると、動画によるディスク需要の高まりがあり、その背景にはGoogleをはじめとするクラウドデータセンター事業者におけるフェイルオーバー目的でのレプリケートがあるという。
Brewer氏の指摘によると、「YouTube」ユーザーの動画アップロードによって毎日1ペタバイトに及ぶ新規ストレージが必要となっており、現在の伸び率が続くと2021年までに毎日10ペタバイト分の動画がアップロードされるようになるはずだという。
Brewer氏はブログに「同ホワイトペーパーの主旨は、サーバ内に単一ディスクを搭載するという考えではなく、ディスクの集合体を最適化するという考えが必要だというものだ。考え方をこのように変えることで、さまざまな興味深い帰結が導き出される。そのなかには、データ喪失の可能性が実質的に少しばかり高いディスクを製品化するという、直感に反するゴールも含まれている。というのも、既にわれわれは必要に応じてこういったデータをさまざまなところに保管しているためだ」と記している。
具体的には、Googleはディスクの総所有コスト(TCO)を削減するとともに、容量とIOPS(1秒あたりの入出力処理実行回数)の増加を実現できるのであれば、容量あたりのストレージ価格が高くなっても構わないと考えているようだ。
しかし同ホワイトペーパーに記されているように、「業界は1ドルあたりの容量の向上には比較的長けているが、容量あたりのIOPSの向上はまだまだだ」という現状がある。
また、GoogleはSSDには興味を抱いていない。というのも、SSDはIOPSこそ高いものの、容量あたりのコストが高すぎるためだ。