SAPのインフラ更新のタイミングに合わせてクラウド移行
阪井 12月から正式にサービスを開始しました。おかげさまでお客様からの反応も非常によく、順調に立ち上がってきています。やはりクラウドの特徴を生かし、新しいSoE(System of Engagement)の領域での活用はもちろん、さらにそれらと関連付けて業務システムのインフラの最適化という観点でもクラウドに移行していきたいというお客様が多いです。
また、ちょうどSAPインフラの更新タイミングを迎えるお客様が多く、これを機会にクラウドに移行したいというニーズが増えています。
昨今、インフラの最適化のみならず、アプリケーションの最適化を求めるお客様が急速に増えています。実は、インフラよりもアプリケーションの拡張や保守に多くのコストがかかっているお客様が非常に多いのです。当社は、MetaArcとして基幹業務領域、新規領域、いずれにも対応できるPaaSを新たに提供開始しましたが、先進的なお客様のクラウドニーズは今後アプリケーションの最適化に集中していくと考えています。当社はこれまでのインテグレーションのノウハウをPaaSに埋め込み、拡張性・保守性に優れたシステムを実現していきます。
業界の取り組みも進んでおり、例えば金融業界でFinTechという新しい流れがあるわけですが、コンソーシアムを作って、その中からPaaSを活用した新しいモデルを作っていこうとしています。そういう業界横断でのアライアンスやオープンイノベーションを、広げていくという活動が徐々に具体化してきています。
富士通は2010年から本格的なクラウドへの取り組みを始めていますが、IaaS、PaaS、SaaS、プライベートクラウドを含め3000億円程のビジネス規模に成長しています。現在、国内では、プライベートクラウドやSaaSの分野では順調にシェアを伸ばしていますが、IaaS/PaaS分野では、競合も多く、非常に競争が激化しています。
ただ、現在はプライベートクラウド領域が金額面では大きいのですが、パブリッククラウドの成長性を考えると、IaaS/PaaS分野で負けるわけにはいきません。そこでMetaArcという新しい事業基盤という考え方を打ち出して、事業全体を伸ばそうと考えています。
MetaArcで私たちが競合と差別化をしているのは、単なるパブリッククラウドモデルだけではなく、プライベートクラウドとのハイブリッドや時にはお客様のオンサイトで構築するようなモデルも進めています。また、当社は自社クラウドのみならず、さまざまなクラウドのインテグレーションできます。
マルチクラウドのサポートに強みがあるわけです。これからの勝負はPaaSレイヤだと思っています。PaaSを拡充するためのナレッジをどう埋め込んでいくかが、勝敗を分けるでしょう。(次回に続く)
(文中敬称略)