Oracleと会長のLarry Ellison氏は7年前、Linux分野の雄になるべく、「Red Hat Enterprise Linux」(RHEL)のクローンであった「Oracle Enterprise Linux」に最適化を施し、真のOracle Linuxとも言うべき「Oracle Linux」を世に送り出した。その後Oracleは、(Ellison氏がクラウドを否定していた時期もあったものの)クラウド分野の雄になるという道を選んだ。
クラウドに注力している企業にとってコンテナ管理が必須となっている現在、OracleはCoreOSと提携し、オープンソース分野にさらに力を入れようとしている。
Oracle Container GroupのバイスプレジデントであるBob Quillin氏は、米国時間5月31日から6月1日にかけてカリフォルニア州サンフランシスコで開催された「CoreOS Fest」において、「Kubernetes」を顧客向けと自社内向けの双方でサポートすると発表した。同社はこれまで、コンテナ分野においては「Docker」にコミットしていた。
Oracleのソフトウェアエンジニアであり、Kubernetesに関するあらゆるものごとを統括しているTimothy J Fontaine氏は、同社のブログに「われわれは(中略)CoreOSと協力して『CoreOS Container Linux』を『Oracle Cloud Infrastructure』にもたらそうとしている。最適化された先進的なLinuxと、業界で最も包括的かつ高性能なクラウドプラットフォームを組み合わせることで、開発者らはCoreOS Container Linuxのパフォーマンスとセキュアな機能を企業のワークロードで利用できるようになる」と記している。
Oracleは、Kubernetes関連の作業をCoreOSだけに任せようとはしていない。Oracleは、DockerとKubernetesの管理ツールを手がけるオランダの新興企業Werckerを買収している。その最初の成果の1つが「Click2Kube」だ。これはKubernetesのクラスタを1クリックで「Oracle Bare Metal Cloud」にインストールできるツールだ。
Fontaine氏は「今後の数週間で、コミュニティーチャネルへの参画を手始めとする一連の取り組みを開始していく。コミュニティーの成功に向けた支援によって、Oracleを含むすべての人たちにとってKubernetesが優れたものになっていくとわれわれは考えている。このため、SlackやStackOverflow上で質問に答えたり、GitHubのIssue機能を活用するなどしてKubernetesを改良していくとともに、コミュニティーの発展に寄与することで、われわれの姿勢を明確にしていく」と続けた。
CoreOSの最高技術責任者(CTO)であるBrandon Philips氏は、「さまざまな企業でKubernetesに対する興味が持続しているのは、コンテナとオーケストレーションシステムを1つのものとして採用しようとしている人々や顧客、ユーザーの存在を反映したものだ」と付け加えた。
この提携の直前には、CoreOSが同社のLinuxプラットフォームでKubernetesをラップするというニュースもあった。そして3月には、CoreOSの開発者らがリードした初のKubernetesリリースである「Kubernetes 1.6」が公開されている。また、CoreOSは同社のKubernetesプラットフォーム「Tectonic」の最新版をリリースしたことで、Kubernetes分野のリーダーとなっている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。