金融庁がプロ向けファンドの規制案、検査権限明確化

[東京 16日 ロイター] - 金融庁は、詐欺被害が増えている「プロ向けファンド」について、制度の悪用に対処するために規制を強める改革案を16日の金融審議会(首相の諮問機関)の作業部会に示した。
プロ向けファンドの届出者への検査権限の明確化、当局への事業報告書の提出、帳簿の作成・保存の義務付けなどが盛り込まれた。
「プロ向けファンド(適格機関投資家等特例業務)」をめぐっては、1名の適格機関投資家に49名以内であれば投資の素人にも販売可能という制度設計を悪用した詐欺事件が頻発。金融庁は適格機関投資家以外の投資家の要件を厳しくした政令・内閣府令の改正案を出したが、かえって販売可能な投資家の範囲が狭くなるなどの問題点が指摘されていた。
金融庁案では、届出制のもとで、虚偽説明、損失補てんの禁止にとどまる現在の行為規制を拡充し、忠実義務や善管注意義務、資産の分別管理義務など登録制の場合と同じ規定を設けることとされた。また、事業報告書の作成や当局への提出、帳簿の作成・保存を義務付けることなどが提案された。
さらに、届出者が問題を起こした場合には業務の改善や停止・廃止ができるようすること、届出者への検査権限の明確化も求める。
プロ向けファンドを行政処分の対象となる登録制にすることについては、登録まで時間を要することや、コンプライアンス(法令順守)体制整備のためのコストがかかることなどの理由から、作業部会では届出制のもとで登録制同様の行為規制を課すとする案が提示された。

和田崇彦

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