中国、内モンゴルの72炭鉱に即時増産を指示 年1億トン増産へ

中国内モンゴル自治区、72炭鉱に即時増産を指示 年1億トン増産へ
 10月8日、中国北部の内モンゴル自治区は、区内の72の炭鉱に対し、年間生産量を合計1億トン近くすぐに増やすよう指示した。写真は工場と、その向こうの石炭火力発電所。内モンゴル自治区で2010年10月撮影(2021年 ロイター/David Gray)
[北京/シンガポール 8日 ロイター] - 深刻な電力危機と石炭不足に見舞われる中、中国の当局者は内モンゴル自治区にある72の炭鉱に対し、年間生産量を直ちに合計1億トン近く増やすよう指示した。北部の内モンゴル自治区は国内第2位の石炭産地。
内モンゴル自治区のエネルギー局は7日付の緊急通知で、烏海、オルドス、フルンボイルの各市とシリンゴル盟に対し、安全確保を条件に即時増産を許可すると管轄内の炭鉱に伝えるよう指示した。
同局の担当者はこの通知の内容を認めたが、増産を続ける期間については言及しなかった。
中国は石炭価格高騰と電力不足に対応するため、石炭供給の増強に取り組んでいる。電力不足に伴う全国的な電力の供給制限で、製造業は打撃を受けている。
8日付の国営紙によると、中国国務院の要請を受けて内モンゴル自治区の当局者が7日に冬季エネルギー供給に関する対策会議を開き、今回の増産指示を出した。電力会社に冬季の電力および暖房需要を満たすようにさせるという。
北京の石炭トレーダーは今回の動きについて「政府が国内での石炭増産に真剣であることの証明だ」と述べ、増産の実現には2─3カ月かかる可能性があるとした。
内モンゴル自治区エネルギー局が増産対象とした72炭鉱の大半は露天掘りで、これまでは合計で年1億7845万トンの生産が認められていた。ロイターの計算では、今回の指示で合計9835万トンが追加され、認められた生産量は合計2億7680万トンに拡大した。
増産分は中国の一般炭消費量の3%近くを占める。
<問題は解消されず>
IHSマークイットのシニアディレクター、ララ・ドン氏は、今回の増産で石炭不足は緩和されるが、問題は解消されないと指摘。「中国政府は冬場の石炭と電力の需給バランスを取るために電力の供給制限を続ける必要がある」との見方を示した。
国信証券のアナリストは新たに承認された約3100万トンの生産枠からの供給が第4・四半期から徐々に始まるが、今年の発電用の石炭不足は1億1600万トンを超えると予想した。
IHSマークイットの石炭アナリスト、ジェームズ・スティーブンソン氏は一段の石炭増産が必要だと指摘し「そうした発表があるだろう」と語った。
中国は国内の供給を拡大し、需要を管理するためにあらゆる主要な手段を使っていると述べた。

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