ブラジルレアルが6日続落、当局の対策効果出ず
[リオデジャネイロ/ブラジリア 19日 ロイター] - ブラジルレアルは19日、6営業日続落となり、2009年3月以来、約4年ぶりの低水準を記録した。
中銀と財務省が協力し、インフレ懸念を強めている通貨安と国債価格の下落の阻止に努めているにもかかわらず、効果はあまり出ていない。
当局者がインフレ抑制に向けて金融引き締めを強化する必要に迫られるかもしれないとの見方から、市場では先物金利が急上昇する一方、ブラジル国債が売られた。その結果、国内のイールドカーブは、主要政策金利が来週75ベーシスポイント(bp)引き上げられる確率を50%と示している。これまで、大半のエコノミストは50bp引き上げを予想していた。
大半の新興国が米緩和策縮小懸念の影響を受けるなか、成長鈍化で投資家の人気を失ったブラジルへの打撃は特に深刻だ。
政府は数々の景気支援策を打ち出してきたが、その大半は裏目に出ている。ブラジル経済の2013年の成長率はわずか2.2%、2014年も2.5%にとどまる、というのが民間エコノミストの平均予想だ。
ブラジル中銀のトンビニ総裁は19日夕、レアル下落を受け声明を発表し、レアルを押し下げる動きに「一方向の取引は損失を被る可能性がある」と警告。世界の為替市場では現在「再調整」が起こっているとの認識を示し、中銀が国内市場の動向を注視していると表明した。
金利市場の動向については、追加の金融引き締め観測は行き過ぎているとの見方を示した。
また、マンテガ財務相も、投資家に対し、レアルのショートポジションを大量に積まないよう促し、財務省と中銀は国内市場の安定化に向け協調していると語った。
財務相は「投資家がもうけたいと思うのは自然なことだが、将来的に損失を被る可能性がある」と述べ、ブラジルは変動相場制を採用しており、相場は「両方向に動く」と指摘した。
トンビニ総裁の声明とマンテガ財務相の発言は、市場の取引終了後に明らかになったため、レアル安を阻止するには間に合わなかった。レアルは0.9%安の1ドル=2.4152レアルで終了。先週は5%超下げていた。
XPインベスティメントス(サンパウロ)のアナリスト、カイオ・ササキ氏は「次の抵抗線は1ドル=2.5レアル前後の水準にある」と指摘。「投資家がブラジルのファンダメンタルズに懐疑的であることが売りの理由だ。米国にはより良い(投資)機会が訪れている」と述べた。
シティのストラテジストらは、一部のアナリストはレアルが年末にかけて1ドル=2.50─2.70レアルまで下落するとすでに見込んでいると指摘。19日付の顧客向けノートで「財政および経済の状況が変わらないなか、(レアルの)先行きは依然不透明だ」と述べた。
中銀はレアル支援に向け、3度にわたる総額35億ドル規模のスワップ入札を行ったが、企業は現在の為替水準でヘッジをすることに消極的で、効果は限定的と多くのアナリストは指摘。スポット市場ではドル需要が拡大しているという。
一方、財務省は、国内金融市場のボラティリティの打撃を受けている国債について、計画外の入札を実施した。
ある政府筋は「ここ3日、レアル安を受け国債流通市場で投資家は非常に高いリターンを求めており、ボラティリティが高まっている」と述べた。
また別の政府筋は、国債流通市場の安定化に向け財務省は必要に応じて桁外れの入札を実施する見通し、と語った。
前出の関係筋は、財務省と中銀は為替・金利市場でボラティリティを鎮める協力している、と述べた。
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