焦点:米フェイスブックが猛スピードで超大型株に、IPO失敗から復活
[ニューヨーク 24日 ロイター] - 米フェイスブックが2012年5月の新規株式公開(IPO)で失敗してからしばらくは、同社がファンドマネジャーの必須保有銘柄になる道のりは険しいように見受けられた。
しかし今やフェイスブックの時価総額は、コカ・コーラやAT&Tといった代表的大型株をしのぐまでになった。ダウ工業株30種には入っていないが、ダウ銘柄の3分の2の時価総額も上回る規模だ。
24日にフェイスブックの株価は一時76.74ドルまで上昇し、時価総額はほぼ1940億ドルに達した。S&P総合500種の構成銘柄の中では上から15番目で、IBMの1960億ドルを急追している。
フェイスブックが超大型株の地位に上り詰めるスピードは目を見張るものがある。アップルが同じような時価総額になるのに要したのは30年近くで、グーグルは5年だった。ところが、フェイスブックは上場から2年余り、S&P総合500種に採用されてからは7カ月程度しかかかっていない。昨年12月にS&P総合500種への組み入れが発表されて以降、フェイスブック株は54%も上がった。
こうした動きは、フェイスブック復活を象徴している。IPOの失敗が投資家の怒りを招いた結果、株価は1年3カ月にわたって低迷が続いた。昨年8月になってようやく公開価格の38ドルを上回り、それから1年足らずの間に一本調子で上昇し、株価は2倍になった。
アリアンツGIグローバル・テクノロジー・ファンドのシニア・ポートフォリオ・マネジャー兼マネジングディレクター、ウォルター・プライス氏は「人々は世界がモバイル化に向かっていることを理解している。そしてモバイル分野での時間消費に目を向ければ、フェイスブックの占める割合が最も大きい」と指摘した。
フェイスブックの時価総額は、グーグルの2種類の株式を合計した約4030億ドルに比べるとまだずっと小さい。それでもコカ・コーラより約150億ドル、ディズニーよりは400億ドル以上も大きい。
フェイスブック株の高騰に対する批判的な見方がないわけではない。
フォート・ピット・キャピタル・グループのシニア株式調査アナリスト、キム・フォレスト氏は「実物資産を持って100年続く老舗企業と、明らかにバーチャル資産しかない企業が同水準の時価総額で取引されるのは、狂気の沙汰だ」と述べた。
またトムソン・ロイター・スターマインによると、フェイスブックは全株式の95%よりも過大評価されている。
もっともこの状況であえて株価の下落に賭けようという市場参加者は、見当たらなくなった。マークイットによると、12年8月時点ではフェイスブックの流通株の80%強が空売りのために借り入れられていたが、現在空売り用の借り入れ比率はたったの0.4%にすぎない。
フェイスブック株の投資判断をしているアナリスト43人のうち、「強い買い」もしくは「買い」としているのが37人で、残り6人は「ホールド」だ。
ウェドブッシュ・エクイティ・マネジメントのマネジングディレクター、スティーブン・マソッカ氏は「株価があり得ないほど過大評価され、今の伸びが続くとは考えらないような銘柄を、空売りの候補として物色するとしても、私はフェイスブックをこの範ちゅうには入れない」と話した。
結局はフェイスブックが成功していて存続可能な企業として受け入れられたという事実が、昔から名を連ねる似たような時価総額の銘柄と同列に扱うことの妥当性を高めているのだ。
クリアプール・グループのチーフ・マーケット・ストラテジスト、ピーター・ケニー氏は「ある面でフェイスブックは、小売業やソーシャルメディア、事実上日常生活のその他のすべての要素を一まとめにしている方式に、どんどん人々が入り込んできている現象を物語っている。これまで多くの人が想像しなかったこのプラットフォームの素晴らしさに、投資家は目を向け始めている」とみている。
(Chuck Mikolajczak記者)
私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」