ECB当局者、非伝統的措置の実施まで遠いとの認識
[ブリュッセル/ロンドン 7日 ロイター] -複数の欧州中央銀行(ECB)の当局者は7日、必要であれば大規模な資産買い入れに向け準備をするが、実施まではまだかなり遠いとの認識を示し、まずインフレ見通しに変化があるかどうかを見極める必要があるとの考えを示した。
ドラギECB総裁は先週の理事会後の会見で、低インフレが過度に長期間続くようなら、資産買い入れを検討することで理事会は一致していると明らかにした。
メルシュ専務理事は、市場はECBが直ちに行動するとの早まった期待を持つべきではないとし、ECBにはさらに利下げをする余地がまだあると強調した。「理論上の合意から措置の実施まではなお長い道のりだ」と付け加えた。
ECBのコンスタンシオ副総裁は7日、欧州議会で、ユーロ圏のインフレ率がマイナスとなれば「極めて深刻な事態」としながらも、追加の政策措置を講じる前に、中期インフレ見通しに変化が生じたかどうか見極める必要があるとの考えを示した。
同副総裁は「4月のインフレ率を確認する必要がある。インフレ率が加速する可能性がある」と語った。
異例の政策措置は「安易に決定されるべきではない」とし、ECBが資産購入に踏み切るとの一部報道は時期尚早だ、と指摘した。
ECB理事会メンバーのノボトニー・オーストリア中銀総裁は、非伝統的な手法を含む追加措置の検討にあたり、ECBは状況を注視しているが「追加政策が即座に実施されるという意味ではなく、万が一の場合に備えているということだ」と語った。
総裁はまた、記者団に対し、非標準的措置が必要となった場合は、資産担保証券(ABS)市場の強化が望ましいとの立場を示した。それにより、金融政策面での効果が期待できる一方、中小企業向け融資見通しを直接改善することができる、と語った。
総裁はさらなる利下げの可能性を排除しないと述べながらも、「現時点で利下げすることの効果が本当にあるのか、あるいは他の措置がより効果的なのか」と問いかけた。
ECB理事会メンバー、バイトマン独連銀総裁は、金融政策について、ECBに過度に負担をかけるべきではないと強調したうえで、「負担が大き過ぎる金融政策はむろん、独連銀が嫌うことだ」と述べた。
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