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楽天の新AIサービス「Rakuten AI for Business」は何ができるのか
2025年1月30日 07:00
29日、楽天モバイルが法人向け新サービス「Rakuten AI for Business」を発表した。楽天グループで構築する生成AIモデルなどを活用したサービスで、楽天では中小企業などでの利用を目指すという。
29日の発表後には、報道関係者向けにデモンストレーションが披露された。はたして、どういった使い方ができるのだろうか。
テキストでお願いして、テキストで答えてくれる
「Rakuten AI for Business」は、チャット型の生成AIサービスとなっており、AIに「◯◯して」と文章で頼むと、回答を生成してくれる。
何を生成してくれるのか、といえば、たとえばメール本文の案や、プレゼン資料を作るためのアウトライン、会議の議事録まとめといったものだ。
では、どんな文章でお願いすればいいのか。生成AI関連のサービスを利用し始めようとすると、「プロンプト」と呼ばれるお願いするための文章の作り方が悩みの種になる、という話は長く指摘されている。
その悩みを解消しようと、今回、「Rakuten AI for Business」では、いわゆる“テンプレ”を用意した。◯◯してほしい、という定型文を用意して入力する流れにしたのだ。
では、どういったテンプレがあるのか、といえば、まずは仕事の内容から探し出せるよう「事務職向け」「企画職向け」「営業職向け」と分類されている。
たとえばマーケティング担当者が広告を検討する際、どんな文章を添えるべきか。「Rakuten AI for Business」で用意されたテンプレには「あなたはマーケティングエキスパートです。以下の内容を守り、最高の広告文を作成してください」といったものが用意されている。これを入力し、AIが出力したものに対して、さらに注文をつけ……といった流れで、最終的な成果につなげる。
その上で、「Rakuten AI for Business」
では、導入企業で困りごとがあると、楽天側のスタッフが支援して、助け舟を出すという仕組みも取り入れた。
チャット型の生成AI、テンプレート、活用支援などをまとめて、1ライセンスあたり月額1100円という値ごろ感のある料金プランに仕上げ、導入しやすくしたのも、特徴とされている。
今後の進化は2つの軸で
楽天モバイル法人事業本部エンタープライズソリューションビジネス本部副本部長の西垣裕文氏によれば、たとえばコールセンター業務のスタッフにとって、通話でのやり取りはなんなくこなせても、メールの文面を考える際には時間がかかる、といったケースで、「Rakuten AI for Business」が役立つという。
また、事務所に机を並べてパソコンに向かうような仕事だけではなく、スマートフォンだけ持つといった業務でも、スマホから使えるようにしたことが特徴と説明。
その上で、今後の進化について問うと、2つの方向で進化する可能性があると語る。
ひとつは、ユーザーインターフェイス(UI)とユーザー体験(UX)。スマートフォンのブラウザからでも利用できるようにして、パソコンを保有していない施設でも導入できるようにした。そこで今後も使いやすさの向上を進める。あわせてユーザー体験についても、テンプレートのプロンプトを拡充するといったことが考えられるという。
もうひとつが「データの統合」だ。西垣氏は「まだ詳しく言えない」としたものの、複数のデータを「Rakuten AI for Business」で活用する方向性があると説明。
これは、楽天自身が開発する法人向けソリューションのほか、パートナー企業のソリューションで得られたデータの活用も考えられる。Rakuten AI for Business以外で蓄積されたデータを用いて、マニュアルを新たに生成するといった活用も実現しそうだ。