『ギャグ多め』美少女が転校してきたら、ハーレムになった件。

昼寝部

一章って50話近くあるけど、実は3日しか経ってないんだぜ?

第1話 脱線しすぎな

「お兄、朝なんだけど」


 低い声で言ってくる。昨日は夜遅くまでゲームをしていたから眠い。


「あと10分」


「私がわざわざ起こしに来てあげてるんだから起きろ、くそ兄」


 今度はさっきよりもさらに低い声で言ってくる。


「はい!起きました!」


 これ以上は嫌われたくないので、勢いよく起きる。


 俺の名前は『汐留凛しおどめりん』。今日から高校2年生となる。親が特殊という以外は至って普通の高校生。


 起こしてくれたのは『汐留舞しおどめまい』。今日から中学3年生となる俺の2個下の妹で、長い黒髪をツーテールに結んでる。


 兄が思うのは間違っていると思うが、かなりの美少女で通学路や街中を歩くとかなりの男性が2度見してくる。


 なぜそんなことを知っているかというと、「お兄はだらしないから私が仕方なく見張ってあげる」と言い、学校へ行く際は必ず妹と途中まで登校する。


 他にも「お兄に荷物持ちをさせてあげる」といい、買い物に付き合わされるからだ。こんなこと言われてるのでもう名誉挽回は無理な気がする。


「朝ごはんできてるから」


 そう言って部屋から出ていく。


「はぁ…なんで優しくなれないんだろうか…」


 部屋を出る時に何やらボソボソと言っていたが、俺の耳に届かなかった。




 いつものように妹と一緒に学校へ登校する。学校は近くの公立高校で、選んだ理由は徒歩で通えるから。


 この公立高校のすぐ近くに舞の通う中学校もあるため、登校時間のほとんどを舞と一緒に歩く。


「なんであの陰キャにあんなかわいい妹がいるんだよ」


「それな!あの妹が可哀想だろ。毎日あんな陰キャと一緒に登校させられるとか。絶対陰キャが妹を脅してるぜ」


 俺と同じ学校の生徒が話している。


 父親の血を受け継いでいるせいか、俺の目つきは悪く、かなり怖がられてしまうため、普段は前髪で眼を隠すようにして、髪の毛を伸ばしている。


(見た目も陰キャで友達もいないから、陰キャって言われても仕方ないか)


 しかし、俺の評価はどうでもいいが、舞にも悪口を言われる可能性があるため…


「なぁ、舞。いつも言ってるが一緒に歩かなくてもいいんだぞ?」


「は?あんな奴らの言葉なんか聞く耳持たなくていいの!私はお兄と一緒に登校できて嬉しい…じゃなくて!お兄の不甲斐ないところを出さないように見張ることで、これ以上私の名声が下がらないようにしてるの!」


 なにやら顔を赤くして早口で言われる。


「おう…そこまで不甲斐ないのか俺は…」


「そうそう!」


 すごい勢いで頷かれる。


「はっ!前髪を切って目つきの悪さを思う存分発揮できれば…」


「そんなことは絶対しないで!」


「はい」


 ものすごい勢いで拒否されました。どうやら俺の目つきの悪さは隠さないといけないレベルらしい。


(でも、舞は俺の印象がこれ以上悪くならないように注意してくれたんだ。語気は強いが、ありがたく思おう)


 そんなことを思っていたため…


「そんなことされると、私のお兄に他の女が言い寄ってきてしまう…」


 そんな呟きをしていたのを俺は聞き逃していた。




 そんな会話をしつつ舞と別れて学校へ向かう。


 そして、自分の教室へ入る。


 いつも通り、誰とも挨拶をせずに自分の席へ座ると隣から…


「お、おはよう、汐留さん。ま、また同じクラスになったね。よ、よろしくお願い…します」


「あぁ、おはよう火口さん。また火口さんと一緒のクラスになれて嬉しいよ」


 この子は隣の席の『火口雪菜ひぐちゆきな』。黒髪のセミロングで穏やかなため波長が合う。制服も着崩すことなくかっちりとしている。


 天然ドジっ子属性があり、容姿と相まって一年の頃のクラスでも人気があった。




 火口さんと挨拶をして雑談を少しするとチャイムが鳴り…


「席につけー」


 担任の先生が教室へ入る。


 先生の名前は『武田結衣たけだゆい』。長い黒髪をポニーテールにして、背も高くキリッとした目つきで顔も整っており、学校の中でも人気がある。


 俺もかなり美人だなぁとは思うけど、どうやら30歳間近になるがまだ結婚できてないらしい。性格や私生活に問題があるんだろう。口には出せないがな。


「今日から新学期となる。みんな春休みはどうだった?ちなみに私はこの春休みに後輩が結婚してな。その後輩から「はやくいい人見つけて下さい、先輩!」って言われて。いやどーしろって言うんだよ!私もはよ結婚したいわ!って思いながらやけ酒する日々でした」


「……………………」


 クラスみんなが無言となった。どうやらこのクラスの団結力は初日にしてカンストしてるらしい。クラス単位での行事は優勝確定だな。


 武田先生は咳払いをしてから話を続ける。脱線しすぎな。


「2年生になったから少しづつは進路についても考えていくように!あと、今日は転校生がいる。入ってこい!」


 先生が廊下に向けて言うと、一人の女の子が教室に入る


「初めまして!私は『涼風理央すすかぜりお』。今日からよろしくお願いします!」


「おー!可愛い!」


「すごくかわいいからアイドルやモデルしてるのかなぁ」


 涼風さんを見たクラスメイトは叫んでいるが俺は驚いていた。


(え、あの子って春休みの時の子じゃないか!)


 その時、涼風さんと目が合い、俺に向けて微笑んだように見えた。




 これが涼風理央との再会である。この日から俺、汐留凛の日常が狂い始める。

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