第26話 道作り

「そぉーれ!」


ゴッ!


「グギャァァァ……」


メキメキメキ……ドーン!


「ふぃー……思ったよりデカいのう。エルダートレントとか言ったかのう?歳を食っとる割には食欲旺盛で羨ましいわい」


儂は一息つくために切株に座る。

フランさん達が旅立って3日、流石に街道についておる頃じゃろう。

後数キロで街道までじゃったし、万が一モンスターに襲われても儂の方に逃げてくれば大丈夫だと伝えてあるからのう。

街道に出たら街まで一本道と言っておったし、森を出てしまえば大丈夫じゃろうて。


「王都……の前に交易都市とか言うとったのう。この世界の都会とやらは1度見てみたいもんじゃのう」


ファンタジーの都会、イメージはダンハンの集会所兼オンラインゲームだったドドルマなんじゃがどーなんじゃろう?

……もしや思ったより発展してたり?

飛空船とかがあるならフラッシュファンタジー15みたいな世界観かもしれんのう。

近代日本と同じくビルが立ち並び車が走っとる……


あれ?馬車道を想定しておったがアスファルトの方がいいか?

いや、そもそも空飛ぶ車の可能性もあるぞ?

道いらない説ある?

けどフランさんは竜車があると言っとったしイメージしているRPG風ファンタジーでいいんじゃよね?

……まぁ、考えても仕方ない。

儂は道を作ることに専念せねば。


「よーし!……あてて、腰が痛いのう。今日は早いが、コヤツを解体したら戻るとするかのう。エルダートレントの素材は村の建築に使うからのう。後で連絡してセキ辺りに取りに来てもらうか」

「……ギギギ」

「む?まだ息があるか」


儂はエルダートレントの方を見る。

既に新しく根をはって立ち上がろうとしておるな。

全く、年寄りは早めに死ぬに限るぞ?

老害と言われる前にのう。

あ、それ儂にも刺さるな。


「さーて、いっちょやるかのう……『ジャンプ』!からの『脳天唐竹割』!!!」


ドッガーン!!!


……ひぐっ!?

こ、腰に響いた……。

じゃが、エルダートレントは縦に真っ二つ。

ゆっくりと半分に分かれて倒れていく。

うむ、これで討伐完了じゃな。

……ちょっと立ち上がるまで時間がかかりそうじゃが!


……ン……リン……チリン……チリン


腰の痛みに耐えていたらどこからか鈴の音が響いてきた。

鈴の音はどんどん近づいてくる。


これは……もしや!


儂がそう思った時、目の前の薮から巨大なツノを持つ牛と馬車が飛び出してきた。


「あ!目印のお爺さん!ここにいたか!探したぜ!」


へ?儂?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る