あらすじにあるように、20年ばかり惚れた男と一緒に過ごしたいという想いも素敵だなと思います。
ですが、この物語の素晴らしさは、約束という形で繋いだ一つの想いが綿々と未来へと継がれていく、命の連鎖のような尊い光のように思います!!
物語はどれだけ中身に力を入れても最後の締めくくりで良し悪しが決まるように、個人的には思っています。
どれだけの長編でも中編でも、語り継いだ物語をどう収めるのかで読後感は全然違ったものになってしまう。
こちらの夢蜆─ゆめしじみ─という作品はそういう意味でもラストの締め方が素晴らしく、読後感はホラーなのに泣けてくるような感動する物語へと昇華されていました!!
ホラーが苦手な方でも安心して読めるほどの怖さですので、万人におすすめします!!
とくに文体が綺麗で読みやすく中編ですので、休日の有意義な読書にいかがでしょうか(=゚ω゚)ノ
ある翁が、風変りな旅の薬売りを、貧弱ながらもてなし昔話をするところから、物語は始まります。
それは、奇妙な慣習のある村の話。
村で祀られている、かげろう様、とその、つがいさん、に選ばれた男の話。
妙なことに今回は、これまでとは違うタイプの、つがいさん、が選ばれました。
何か意味があるのでしょうか。
かげろう様、と、かげろう様に仕える女たちの正体とは?
昔話の幻想的な世界に没入して、たっぷりひたれる満足感のある作品です。
描写がとてもお上手で、情景が思い浮かべやすいので、読みやすいです。
この薬売りさんのシリーズは三作目、ああっ、二作目を読みにいかなくてはっ!
ぜひ、おすすめします。