まずは、だまされたと思って、無料話だけでも読んでほしい――
数奇な人生の巡り合わせで、はからずもバディを組むことになった胤とカタラズの謎めいたバディはもちろんのこと、脇を固めるキャラも、セリフも、ストーリーテリングも、とにかくエモい!
ちぐはぐな心と身体、公と私のあいだで引き裂かれる痛み。
愚かさと愛しさ、喜びと哀しみ、誇りと屈辱、男と女、人と獣、この世なるものとそうでないもの……ありとあらゆる境目が溶けあい、ダイナミックな物語の起承転結のうねりとなって、心をさらってゆくこと請け合いです!
流麗な文章が醸し出す中華幻想の妖しい雰囲気に呑まれ、最初こそ戸惑う向きもあるかもしれませんが、謎が謎を呼び、怪異を招き入れ、それを解決するミステリとしての手さばきも見事。一度この沼に足を踏み入れたらもうきっと抜け出せない、ザッツ・エンタテインメント!と絶対保証いたします。
ジェンダーの檻から放たれていく自由と不自由、人と違うことを忌み嫌い、異端をはじく人間の業がいつの世も変わらないこと――ファンタジー要素を踏まえつつ、きちんと「今・ここ」の物語になっているのも外せないポイント。
登場する人物たちには聖人君子なんて一人もおらず、それぞれ昏い情念や浅からぬ傷を抱えているので、この先、ヒロインが、どのような運命をたどっていくのか――いやはや、まったく想像がつきません。千々に心乱れ、思い惑いながら歩いていく胤の運命を、さあ、固唾をのんで、今から一緒に見届けましょう!
新進気鋭の作家のあふれまくる才能が、これでもかと惜しげもなく注ぎこまれた中華幻想怪異事件簿、これはおススメです!
夢見里先生の新連載、楽しみにしておりました!
後宮モノではありますが、中華怪奇ミステリーの様相で、展開が楽しみです!
やはり素晴らしいのは、美しい描写の数々。相変わらず、先生のものがたりは、かぜや香り、熱を感じます。喧騒と静寂、あたたかさと寒さ、はっきりと読者が思い描ける描写は健在です!
皇太子の名前も意味深ですね。行く末が心配でもあり、そうだったのか!という驚きもありました!
不語の妃の妖艶さ!登場シーンに至る場面で、モノクロから極彩色に、そしてモノクロに戻っていくさまは圧巻でした!
不語の妃が語るシーンは、ぜひともアニメで見てみたい!
第一部で、取り敢えず謎が揃ったところ、第二部でのなぞときが楽しみです!