幼馴染を守るため「悪魔」を喰らった少年、ケン。而し「悪魔」は彼の身に宿ってしまい、許されざる存在として彼は生きることになる――――――
そんな冒頭から始まる本作であるが、美しい世界観とは裏腹に、非常にダークな雰囲気を全体を通して纏っている。
ただそれがノイズであるということでは全く無い。厳しい世界に根付く宗教観から非常に深い、命のあり方や人の情熱。そのようなものが緻密に描かれているのが本作だ。
ではただ昏く、黒い物語なのかと言えばそうでも無い。黒に対比するようにして、明るく軽快なコメディが和ませてくれる。私はそうして時折笑い、胸を苦しめ、感動し、本作の世界にのめり込んでいった。
為すすべもない絶望――その先の希望を、主人公自ら切り拓いていく。明るい未来を予見させてくれるそれは、私たちの心までも照らしてくれる。
本作は暗い世界観が苦手な方も楽しめるのではないのだろうか。そう期待できるほど、面白い。
是非、読んでみてはいかがだろうか。