配信者?私より映えようなんてまだ早い!ですわ。圧倒的に勝利してバズり散らかして差し上げますわ!

第27話 天空に続く道……とでも呼ぶべきかしら?

眩しい日差しが雲間から差し込む中、私は転移の光に包まれて、次なるダンジョンの入り口へと導かれましたわ。転移先の空気は、これまでに訪れたどの場所とも違っていて、清涼感とともに、どこか薄いような感覚がありましたの。


(まあ……ここは、随分と高い場所のようですわね)


目の前に広がるのは、そびえ立つ巨大な山脈。連なる峰々はどれもが白い雪に覆われており、その頂は青空と雲海の中に霞んでおりますわ。私はしばしその光景に見惚れておりましたの。


山肌には長く険しい山道が続き、遠くには細い吊り橋が風に揺れているのが見えましたわ。どれも人間が作ったものには見えない、自然そのものの形状を利用したかのような道ばかりですの。


(天空に続く道……とでも呼ぶべきかしら? なかなかに壮観な光景ですわね)


空気が薄いだけではなく、冷たい風が肌を刺すように吹き付けてまいりますの。このダンジョンの環境そのものが、冒険者に対して試練を課しているような気がしましたわ。


私がいる場所は山道の途中で、目の前には狭い岩道が曲がりくねりながら続いておりますの。山肌には苔や草がしっかりと根を張っていて、命の逞しさを感じさせる景色でしたわ。


(ふふっ、ここを進むのがダンジョンの課題というわけですわね。では、早速参りましょうか)


私は体を軽く跳ねさせ、山道を進み始めましたの。地面はところどころ崩れており、足場が不安定な場所も多く見受けられましたわ。慎重に進む必要がありそうですけれど、私にとってはそれほどの障害ではありませんわね。


道中、時折見かける岩壁には、奇妙な模様が刻まれておりましたの。まるで古代の言葉や図形のようで、その意味を解読することはできませんでしたけれど、どこかしら神秘的な雰囲気を漂わせておりますわ。


(これは、かつてこの場所を訪れた者が残した痕跡かしら? それとも、もっと古い時代の何か……?)


さらに進むと、山道の先にぽっかりと空いた洞窟が現れましたの。洞窟の入り口は自然にできたような形状をしており、冷たい風がその奥から漏れ出てまいりますわ。


(あら、山道だけではなく洞窟も織り交ぜられているのですのね。これはますます面白くなってまいりましたわ)


私は洞窟の中へと足を踏み入れましたの。洞窟の中は薄暗く、時折天井から雫が垂れる音が響き渡っておりますわ。湿った空気が漂い、壁には青白く光る苔がびっしりと生えておりましたの。


(ふむ、この苔……魔力を僅かに帯びていますわね。ダンジョン独特の生態系、といったところでしょうか)


洞窟内は意外にも広く、足元はほとんど平坦で歩きやすいものでしたわ。ただ、天井が低い場所も多く、背の高い冒険者であれば頭をぶつけそうな狭さでしたの。


私は洞窟内を進みながら、壁や天井に注意を向けましたの。時折、岩肌に刻まれた模様が、外で見たものと似ているのに気づきましたのよ。それらは単なる落書きではなく、何らかの意図を持ったもののように思えましたわ。


(この模様、ただの飾りではありませんわね……何かを指し示している?)


洞窟を進んでいくと、やがて出口が見えてまいりましたの。外の光が差し込む場所まで来ると、目の前には再び山道が広がっておりましたわ。今度の山道はさらに急斜面になっており、下を見るだけで足元がすくむような景色でしたの。


(まあ、これはなかなかの難所ですわね。でも……私には関係ありませんことよ)


私はスライムの体を跳ねさせながら、その急斜面を器用に登っていきましたの。途中、山道の両脇には色鮮やかな花が咲いており、その光景は厳しい環境の中にも美しさがあることを教えてくれますのよ。


(美しいですわね……この花、他の場所では見られないものかもしれませんわ)


山道を登り切ると、再び洞窟の入り口が現れましたの。今度の洞窟は先ほどよりも大きく、天井も高く、まるで大広間のような空間が広がっておりましたわ。


洞窟内の壁には、これまで以上に複雑な模様が刻まれており、それらはまるで地図のようにも見えましたの。


(これは……このダンジョン全体を示す地図かしら? それとも、もっと別のものを意味しているのかしら)


洞窟の奥へと進むにつれ、次第に空気が冷たくなり、薄暗さも増してまいりましたわ。ですが、その中で光る石がちらほらと見え始めましたの。その石は青白い光を放ち、まるで小さな星のように洞窟内を照らしておりますのよ。


(なんて綺麗な光……これもダンジョンが生み出したものなのでしょうか)


洞窟を抜けると、また新たな山道が続いておりましたわ。今度の道はさらに狭く、まるで崖に沿って作られたような細さですの。一歩でも足を踏み外せば、下へと真っ逆さまに落ちてしまうでしょうね。


(ふふっ、ますます冒険らしくなってまいりましたわね。でも、私を試すにはまだまだ足りませんことよ)


私はその細い山道を軽やかに進みましたの。雲が風に乗って流れていく中、時折見える下界の景色は圧巻でしたわ。


道中、風がさらに強く吹き始め、岩壁にしがみつくように歩く必要が出てまいりましたの。スライムの私にとってはそれほど苦ではありませんけれど、普通の冒険者であればかなりの苦労をすることでしょうね。


(この山道、実に自然の厳しさを感じさせますわ。でも、それがまた良いですわね。こうして試練を乗り越えるのが、冒険の醍醐味というものですもの)


私は風を受けながら、次なる洞窟の入り口へと進みましたの。この天空山道がどのような結末を迎えるのか、ますます興味が湧いてまいりますわ。

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