ねえ、聞こえませんか? ほら、何かを数えてる声がしていますよね?

 ちょっと、耳を澄ませてみてください。
 何か、聞こえませんか?

 ほら、風の音に混じるようにして、女性の声みたいなものが響いてくるでしょう。
 なんて言ってるでしょう。「100、101、102……」

 妙ですねえ。何か、数えているような声に聞こえますね。

 あれは一体、なんなんでしょう。怖いなあ、怖いなあ。やだなあ、やだなあ。でも、どんどん声が近くなってきますね。

 これは、そういうお話なんですよ。
 主人公である和泉は、友人である史郎が行方不明になったとして、その恋人の美沙という子から相談を受けるんです。
 ある山に入ったきり、史郎が行方不明になってしまったとか。
 もちろん、二人ですぐに探しに行きます。どうやら史郎さん、何かの動画を撮影しようとして、途中、何かを見てしまったらしいんですよ。

 いやあ、怖いなあ。この先、本当は行っちゃいけないんだろうなあ。でも、やはり友達のためですからね。二人とも、山に行っちゃうんですよ。
 その先で聞いちゃうんですよ、何かこう、「不思議な声」を。

 その声は一体なんなんでしょう。
 確かめるためにも、まずはゆっくりご自分の目で、この作品を紐解いてみてください。
 そう、手遅れになる前に。「あの声」の正体が、一体何なのか。

 でも、耳を澄ますことも忘れないようにしてください。
 もしかしたら、あなたの傍でも「聞こえて」くるかもしれないから。

 ほら、聞こえるでしょう。何か、数えているみたいですね。

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