大阪市淀川区にあるミニFM放送局「エフエムひめ」。若手芸人やアイドルの卵、一般人が1時間1000円で放送枠を買って、自分の番組を製作・放送できる。また阪神・淡路大震災を教訓に、番組には必ず防災情報を入れているという。
サラリーマン・夜職・Vtuberなど一般人のパーソナリティはさまざま
ミニFM放送局は微弱なFM波を使った、放送免許が要らないラジオ局のこと。放送範囲は半径100メートル程度だが、ネット配信を併用して事実上の全国放送が可能だ。
「エフエムひめ」局長の本庄強さんは、吉本総合芸能学院(New Star Creation=NSC)11期生の元芸人。同期には中川家、陣内智則、ケンドーコバヤシらがいる。若手芸人に放送枠を売って表現の機会を応援する一方、「表現したい」「自分を発信したい」という一般人が番組を放送することもできる。
金曜日22時放送の「りつこママのスナックへようこそ」を担当する「りつこママ」さんは、パーソナリティ歴1年半。家事代行業と夜職を掛け持ちする女性だ。
「イベントで局長と知り合い、見学に行ったらその場でゲスト参加。気がつけばマイクに向かって話してました(笑)」
また、木曜日18時放送の「サリサリレイディオ」パーソナリティのマハール・ウッドさんは、普段は実家の自然薬店を家族と一緒に経営している。
「ラジオ番組で健康や社会情勢、自然農などについて発信したいと考えていたところ、たまたま知人の紹介があって番組を始めました」
ほかにも「同じ境遇の同世代に向けて発信したかった」という会社員の辻一孝さん(ハマ・ジュムランのホンネラジオ!/木曜日21時)、「生まれ育った地元で番組がもてたら嬉しいと思った」という20代サラリーマンの西川諒さん(西川諒の普ぅare you?/月曜日22時)、「いろいろなリスナー様に自分のラジオを聞いてほしいと思った」という年齢・性別は秘密な人などがいる。
実際に番組を聴いてみると、つい聴き入ってしまうほど皆さんトークが上手い。
地域の防災情報を発信する拠点でもある
本庄さんは40歳を過ぎて芸人を辞め、芸能プロダクションや広告代理店を経営していた。その頃母方の叔父が亡くなり、遺産相続で西淀川区の姫島(ひめじま)に先祖代々受け継いできた土地と家を譲渡される。それを機にたこ焼き屋を始めようと、DIYで店舗に改装した。
「さぁ開店できるぞと思ったら、保健所の検査で合格基準を満たしていなかったんです」
やむなく、たこ焼き屋を断念。芸人時代にラジオ番組をしていたこともあり、ミニFM局へ路線変更し、たこ焼き屋の店舗を再び手作業で改装した。
イベント用に所有していた放送機材と知人から譲ってもらったパソコンを利用して、2019年5月に開局した。「エフエムひめ」の名は、前出「姫島」に由来している。
初期のパーソナリティは、路上ライブで歌っているミュージシャンの卵をスカウトしたり、知人に「ラジオに出ぇへんか?」と声をかけたりして集めたという。ちなみに現在の局舎は2代目で、2021年に移転してきたそうだ。
「エフエムひめ」には「淀川防災ラジオ」という愛称がある。1995年1月17日に起こった阪神・淡路大震災で、本庄さんは正しい情報の必要性を痛感した。
「地域限定でもいいから、防災情報を発信する拠点があれば」
台風が接近しているときは本庄さんが局に詰めて、淀川や神崎川の水位や雨量など、地域に密着した防災情報を流す。
最後に、一般パーソナリティの方々に「エフエムひめ」の魅力を聞いた。
「サラリーマンや主婦の方も番組をもてる門戸の広さが、コミュニティFM最大の長所だと思います」(西川諒さん)
「番組は中高年の男性を意識していますが、これから中高年になる方には、中高年になったらこうなるんやと思っていただきたいです!」(辻一孝さん)
「発信したいことを自由に話せる楽しい局です。お話ししたい方がおられましたら、ぜひご一緒しましょう!」(りつこママさん)
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エフエムひめ(本庄プロモート)
owaraipro.wixsite.com/honjopro
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