まだまだ解明されていないことが多い宇宙に、ロマンを抱く人は少なくないでしょう。漫画家・窓口基さんの『コロニー生まれの空』は、宇宙空間の居住地である「スペースコロニー」出身の主人公が空に対して恐怖心を抱く様子が描かれたSFショート漫画です。以前X(旧Twitter)に投稿されると、約5000件の「いいね」が寄せられています。
青空を眺めると、どうしても強迫観念のように「落ちる!」と感じてしまうコロニー出身者の男性。男性はコロニーのイメージとして「中心に空があり、外側は下」という概念地図のようなものを頭の中で描いていました。しかし、常に真上にあるはずの空を“頭頂から耳まで覆うどこまでも遠いドーム”と認識すると、「外側に空、中心が自分」と勘違いしてしまい、途端に「外側に落ちる」と感じてしまうのでした…。
読者からは「世界観がリアルで引き込まれた」「いつか起こり得る未来かもしれない」など様々な反響があがっています。そこで作者である窓口基さんに、同作を描いたきっかけについて話を聞きました。
―同作を描いたきっかけを教えてください。
生まれ育った環境を懐かしい日常の風景と感じるのは普遍的なことだけど、人によって生まれ育った環境は違うので、日常の風景は普遍的じゃないわけで。それは例えばカエルの大群の鳴き声をヘッドホンでシャットアウトしながらオンラインゲームをする夜だったり、夜でも明るい街中を塾帰りの子どもたちがコンビニで買食いしてる様子だったり。そういう感覚を未来や地球外という想像の領域まで拡張していくと、現代人が当たり前に思っている空も、生まれ育った環境が違えば異なった印象を持つかもしれない。そんなことを考えていたことがきっかけだったと思います。
―コロニーと聞いてしまうと、どうしても『機動戦士ガンダム』を思い出してしまうのですが、やはり、そこから影響は受けているのでしょうか?
現実に存在しないものを描く時、読む人が見聞きしたものの延長として描く方が伝わりやすいので、ガンダムシリーズにもよく登場する円筒形を描いてみました。現実世界で宇宙開発が進んで、実際にスペースコロニーが建設されて多くの人が知るようになったら、そのコロニーをモチーフに描いていたかもしれません。
―同作の他にもSFショートを描かれていますが、各作品の設定などはどのようにして考えているのでしょうか?
『コロニー生まれの空』を描いたときのように、「現代人も感じていることを未来まで拡張したらどんなことが起こるだろう」とか、「別の視点だったらどう見えるんだろう」と考えたりしているうちに、いい感じにショート漫画としてまとまりそうになったら描いてます。
<窓口基さん関連情報>
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