届かなかった手紙
交通事故でご家族が亡くなった家族が表現されています、苦手な人はお控えください
「どうして私がこんなことしないといけないのよ」
ここは中央公園。
この街で一番大きな公園である。
「あ〜暑いわね、全く」
今ここではボランティアの人がたくさん集まって、公園をきれいにしているのである。
「冗談じゃ無いわよ、全く」
この街は景観にすごく気を付けてる。
この街はいわゆる観光名所。
「なんでこんなものが落ちてんの」
そしてこの公園もそのツアーの人気スポットなのである。
なので、こうやって定期的にボランティアが掃除しているのである。
「あ〜喉が渇いたわ」
ここにある噴水はある時間になると、まるでダンスをしてるように演出されるのである。
なのである時間になると人がすごく集まってくる。
「うわぁぁぁ」
噴水のショーが始まると歓声が上がる。
「ちょっと休憩しちゃダメなの?」
さっきからぶつぶつ言ってる女性が気になると思いますが、この女性はたまたま彼氏に会いに来てこのボランティアに巻き込まれたのである。
「お前も早くやらないと終わらないぞ」
「わかったわよ」
どうやら観念したようである。
しばらくして
「ふぅ、どうやら終わりそうね」
噴水のショーが終わると人がだんだん少なくなっていきました
そろそろ掃除も終了を迎える。
「はーい皆さん、お疲れ様でした」
「やっと終わったわ」
「だから今日はきたらダメだって言っただろう」
「忘れてたのよ」
自業自得である。
彼女の名前は佐々木友香
恋人のヒロシと同じ大学に通う二年生である。
「それでヒロシは、このあとどうするの?」
「俺はこのあとバイトだ」
「えー酷い」
「だから今日はダメだって言ったのに」
「分かったわよ」
「んじゃ、俺行くから」
「はいはい またね」
ヒロシが去って、友香はトボトボと公園を歩き出しました
「はぁ、ついてないわね」
自業自得なのはわかっているのでしょんぼりしながら歩いています。
しばらく歩いて公園の端に行くと。
「ん?」
何か見つけたようだ。
「なんだろう、手紙…」
それは少し汚れていたが、可愛らしい封筒に宛名も宛先も書いて切手も貼って、きちんと封をされた封筒だったのだ。
「落とし物かな?」
ちょっと考えて
「何か引っかかるのよね」
宛先の住所は知らないところだった。
本来なら警察なりに届けないといけないのだろうけど、気になってもやもやする。
散々悩んだ結果。
「よし」
友香は自分で届けに行く決意をしました。
次の日…
住所を調べた友香は、電車を三本乗り換え、バスに揺られ、四時間かけて目的地に着いたのである。
「え〜っとこの辺り」
宛先の名字は佐藤。
「えっと佐藤さん、佐藤さんっと」
そして。
「あ、ここだ」
呼び鈴を押すと、50代の女性が出てきました。
「はい、どちら様でしょうか」
友香はあの街の公園で見つけて届けに来たことを話して封筒を渡した。
「あああ美香ぁぁ」
突然そんな女性は封筒見たとたん泣き崩れてしまいました。
驚いて立ち尽くしてしまった友香。
落ち着いてから話を聞くと。
佐藤美香さん
都会の大学に合格してそのまま黙って家を出て一人暮らしを始めたらしい(三年前)
来年卒業する予定だったが、最近交通事故で亡くなったらしい。
その間一度も家には帰らなかったとの事でした。
お母さん お父さんへ
黙って家を出てごめんなさい、でも就職が決まりました
一人で生活するのはとても大変でした
でも意地で頑張ってしまったの
もうすぐ暇になるから一度顔見せに帰るね
美香
友香も手紙を見せてもらい涙しました。
そして美香さんのお墓に連れてってもらい手を合わさせてもらいました。
墓標には「佐藤美香 享年21歳」と書かれていました。
「ありがとう友香さん、美香がやっと帰ってきたわ」
友香は、昨日間違えてあの公園に行った事を、本当に良かったと思うのでした。