14.グリフォンを余裕で倒す
迷いの森も、仲間のおかげですいすいサクサク進んでく。
『あっ、き、気をつけてくださいね。この辺……確かグリフォンのナワバリなので』
グリフォン……。
ファンタジーものでよく見る、魔物だ。翼の生えた恐ろしい魔物。
「グゲゲゲゲー!」
『って言ってる側から……! き、来ました! グリフォンです!』
上空には1頭のグリフォンがいた。
しかも、隠し結界で姿を消している私と、はっきりと目が合う。
~~~~~~
グリフォン
【レベル】70
『グリフォンは空を飛ぶ魔物で、しかも【縮地】っていう、相手の目線を強制的にそらせて、高速移動することで、擬似的な瞬間移動が可能となる、厄介な能力を持ってます! お気を付けて!』
愛美さん、昔取った杵柄で、いろいろなことを知っている。物知り名彼女がいてとても助かる。
大丈夫、対策は……考えてある。
「グガゲゲゲゲ~~~~~~~~!」
ぱっ……! とグリフォンが私の視界から消える。
縮地を使ったのだろう。
ガキィインン!
「ギャギィイイイイイイイイイイイイイイイイイ!?」
振り返ると、グリフォンのかぎ爪が、私の張ったドーム状結界に阻まれていた。
『そ、そうか……! 敵が攻撃してくるってわかってるから、結界を張って待っていればいい!』
わざわざ目で敵の動きを、追わなくていいのだ。
「次は……こっちの番でしゅ。結界・性質変化!」
私をレベル10結界スキルを発動。
結界の材質が変化する。
堅さより、柔らかさを重視した結界に変える。
バウンッ……! とグリフォンが上空へと弾き飛ばされる。
私を包む結界の性質を、ゴムボールのような弾性を持つものにしたのだ。
結果、グリフォンは逆方向へと吹っ飛ばされていく。
ドガンッ……! とグリフォンは木の幹に体を叩きつけられる。
そのまま気絶してしまったのだった。
『す、すごいです……! やすこにゃん! 結界の性質変化を、もう身につけてしまったんですね!』
愛美さんが私を褒めてくる。
「はいでしゅ。でも、それは愛美しゃんが経験値をくれて、スキルが進化したおかげでしゅ」
『いやいや! 使えると、使いこなせるは別ものですよ! 実践で、あんな危険な魔物を前に、臆することなくスキルを自在に使えるなんて! すっ、凄いことです』
確かに、普通こんな2メートルくらいある化け物が襲ってきたら、怯えてしまい、スキルを使うどころじゃあないだろう。
『げ、現にわたし……魔物相手に戦うことって、できませんでしたし』
「そうなんでしゅか?」
『は、はい……基本隠し結界でこそこそ逃げるか、不意打ちを食らわせるみたいな、かっこ悪いことしてました。そもそも、聖女って戦闘系の職業じゃあないですし』
なるほど……。
確かに、聖女スキルは結界、治癒、浄化。魔物と戦って、倒すスキルではない。
「私が戦えてるのは、やっぱりましろたんの存在が大きいでしゅ」
ズバンッ……! とましろが飛爪で、グリフォンを一撃で葬り去っていた。
ましろはてこてことやってきて、「うにゃー……」と不満そうに声を張り上げた。
『【あたしに任せて良かったのに】で、でも……ましろたんも縮地喰らってたような……』
「にゃにゃー!」
『【神プロテクトで力セーブしてるからだし! プロテクト緩めればあんな雑魚におくれ取らなかったし!】わ、わかってます! ましろ様は本気をあえて出してないんですよねっ?』
「うーにゃっ!」
私はしゃがみ込んで、ましろの頭を撫でる。
「大丈夫でしゅよ、ましろたん。私が、冷静に戦えてるのは、君のおかげでしゅ」
ましろという、いざとなれば何でも倒せる、最強の力を持った神が側にいる。
懐に最強の刀を忍ばせてるから、私は精神的な余裕を持つことができてるのだ。
「うみゃ~ん!」
『【ヤスコはよくわかってるわね!】わ、わたしだってわかってますよぅ……はーあ、いいなぁ。やすこにゃん、ましろ様がいて』
ふと、私は思う。
もしかして……聖女召喚されて、非業の死死を迎えてしまった人って、かなり居るのではないだろうか?
だって、聖女は基本戦えないって、愛美さんも言っていた。
そうなると、聖女が召喚者(王族)のもとを離れて、魔物のいるこの世界で、自由に暮らせていけないではないか……。
愛美さんのように、王族の元を離れたとして、結局誰かの庇護下にはいるか、一生引きこもるか……。
道中、魔物に食い殺されてしまうか。
……いずれにせよ、私は(愛美さんも)、かなり運が良い方だったのではないだろうか……。
「にゃ?」
「あ、なんでもないでしゅよ。ましろたん。ちょっと……考え事してただけでしゅ」
『え、か、考え事……?』
私はさっきの仮説を、愛美さんに話してみた。
『そ、そうですね……。わ、わたしが生きていたころも、わ、わたしの他に聖女って、いましたし』
「そうなんですか?」
『あっ、は、はい。聖女を召喚する祭壇……神有地は、この世界にいくつもありますので。それに、一定期間をおけば、同じ祭壇でも召喚可能なので』
となると、古代の聖女の他に、現代にも私以外の聖女がいる可能性もある。
「なんか……嫌でしゅね。こっちの都合で、向こうからたくさんの異世界人が、無理矢理連れてこられるなんて」
恨みを抱いてる人だっていてもおかしくはない。
私だって、かなりムカついてるわけだし。
「みゃーお、なーう、みゃー」
『えっ!?』
愛美さんがなんだか驚いていた。
一方でましろは、感情がよくわからなかった。
真顔で、虚空をにらみつけている。
「どうしたんでしゅか?」
『あ、いや……その……なっ、なんでもないですよっ』
「そうでしゅか?」
『え、ええっ。そ、それより。ぐ、グリフォンの死骸を回収しましょう!』
「しがいの、かいしゅー?」
『あっ、は、はい。魔物の死骸って、ギルドでた、高値で買い取ってもらえるんですよ?』
「! そうだったんでしゅねっ。おしえてくれて、ありがとうごじゃましゅ!」
そうなると、かなりもったいないことしたかも。
今まで倒してきた魔物の死骸……放置してきちゃったし。
するとましろが「うにゃん?」と胸を張る。
「どうしたの、ましろたん?」
「にゃん、なーお?」
『【アイテムボックス、ちょっとみてごらんなさい】ですって』
私はアイテムボックスを開いてみる。
目の前に半透明な板が出現。
~~~~~~
【所有アイテム一覧】
・死熊の死骸
・単眼悪魔の死骸
・
・
~~~~~~
「今まで倒た、魔物の死骸でしゅ! いったいどうして……」
「なーお」
『【あたしがちゃんと回収しといたわっ】ですって』
なるほど……。ましろが、私のかわりに、アイテムを回収してくれてたようだ。
「ありがとう、ましろたんっ!」
「ふにゃーん♡」
ましろをなでなでよしよしする私をよそに、愛美さんがぽそっと小声で言う。
『【バカ王子、許さない、天誅】……か。猫神の怒りを買ったんですから、と、当然の報いですよね……』
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