37.最高神の加護をもらう
最高神さまが、アラガミに墜ちる寸前だったましろを、助けてくれた。
それどころか、愛美さん、貞子さんを生き返らせてくれた。
「んじゃ、次はそっちの騎士ちゃん」
「わ、わたしにもくださるのですか……?」
「もちろん。えーっと……どこにあったかなぁ……」
最高神さまが黒い箱に手を突っ込んで、にゅっと取り出す。
「はいこれ」
「は……? な!? こ、これは……!? まさか……!?」
最高神さまが取り出したのは、黄金の剣……。
「で、伝説の剣……エクスカリバーでは!?」
え、エクスカリバー……?
って、あの!? ゲームやファンタジー小説では定番の、伝説の剣!?
「うん。あとこっちの盾もプレゼント」
「!? あ、アイアスの盾ぇ!?」
アイアス……?
アメリアさんが驚いてるところから、こっちも凄い盾なのだろうか。
「あと防具かな。えーっと……良いのがないから……てきとーに今作るか」
……気のせいかな。今作るかって言ったのこの人……?
箱から白い毛皮を取り出す。
「よいしょーい」
目の前で、白い毛皮が変化して、白く美しいマントと皮の軽鎧ができあがった。
「うん。はいこれ。マントと革鎧」
「あ、ありがとうございます……うわっ! か、軽っ!」
アメリアさんが驚いてる。
「まるで、羽毛のごとく、軽いです、この鎧とマント! いったい何でできてるんですか……?」
「フェンリルの、毛」
「………………は? ふぇ、ふぇ、フェンリルぅうううううううううう!?」
……それもゲームとかだと、凄いモンスターだよね……?
「こ、こんな希少なもの、い、いただけません!」
「あー、いいのいいの。剣と防具は家で転がってたもんだし。フェンリルの毛も、うちに腐るほどあるからさ。もらってくれるとたすかるよ」
アメリアさんが困惑してる。
わかるよ……アメリアさん。伝説の武器防具が普通に転がってて、伝説の獣の毛皮がいえに腐るほどあるって……意味不明だよね……。
「んん? どうしたの、何驚いてるの皆……?」
「あ、いえ……意味不明なくらい、しゅごくて……」
「そう?」
ど、どうやらこの人にとっては、今用意したもの全て、どうでも良いみたいなものらしい……。
さすが、最高の神……。
「ほいじゃ、次はましろね。おいで、ましろー」
つんっ、とましろがそっぽを向いてる。
「なーに、あんた照れてるの? お母さんを友達に見られて」
「しゃー!」
そっか、ましろにとって、この人は育ての親……お母さん……なんだ。
「ましろ、あんたにはこれ……!」
最高神さまは黒い箱から首輪を取り出す。
赤い首輪で、鈴がついてる。
ましろが首をかしげる。
「にゃう?」
「これは、警報装置だよ」
最高神さまがましろの首に、首輪を付ける。
「神の力を使いすぎたら、この鈴がなるから。そしたら、しばらく神の力は使わないでおきな」
「うにゃあ」
「うん。素直で結構」
よかった。今まで、どれくらい神の力を使ったら、危ないのか、わからなくて不安だった。
でも最高神さまが付けてくださった、あの鈴がなったときが、危険地帯ってことか。
最高神さまがましろの頭を撫でる。
ましろはそっぽ向いていたけど、目を閉じて、なすがままになってる。
……お母さんのところに、帰りたいって、思ってるのかな。
「にゃ!」
ましろがタッ、と駆けてきて、私の腕の中に収まる。
「ましろたん……帰らなくて良いの? お母さんのところに?」
ましろはぺろ……と私の頬を舐める。
「うーにゃ!」
愛美さんが翻訳しなくても、わかる。
私の側に、いてくれるって、そう言ってるのが伝わってくる。
「ましろたん……ありがとぉ……」
「ふにゃあん……♡」
最高神さまは「んじゃ、最後に君だね」といって、近づいてくる。
「私は、いいでしゅよ。もうたくさんのもの、もらってましゅし。それに……ましろたんがいましゅので」
「いやいや、他の子たちにプレゼントあげたのに、君だけ無しはよろしくないでしょう?」
気前の良い女神様だ。
最高神さまはちょっと考えた後に、うなずいた。
「君には私が祝福を授けよう」
「しゅく……ふく?」
「うん」
最高神さまはしゃがみ込んで、私の額に……ちゅっ、とキスをした。
……その瞬間、私の体に、尋常じゃない力が流れ込んでくるのがわかった。
「これは……?」
「最高神の加護。ましろが持ってるのと同じ加護だよ」
「!? 最高神さまの……加護……。ましろと……同じ……?」
神であるましろと、同じ加護を、この御方は授けてくれたようだ。
「その効果については……ま、うん。あれだ……そのうちわかる!」
ぐっ、と最高神さまが親指を立てる。
……説明をはしょった……?
いや、最高神さまに限って、そんなものぐさなことするわけないし……。
何か、今は言えない事情があるのかもしれない。うん。多分そう。
「そんじゃま、そろそろお暇しますかね」
「何から何まで、ありがとうごじゃいました!」
私たちは最高神さまに、ぺこっと頭を下げる。
「いーってことよ。あ、そうだ。念のため言っとくけどね、最高神さまはね、すごーーーーーーーーーく、忙しいの」
ずいっ、と顔を近づけて、最高神さまが言う。
「なにせ最高の神様だからね。そりゃあもうめちゃくちゃ忙しいわけだ」
「は、はあ……」
「だから、こんな風に助けてあげるのは、これっきりだよ」
なるほど。そうだ。
また困ったときに助けてもらえるとおもっては、いけない。
そうなったときに、対処できるようにと、彼女は私たちに力を授けてくれたんだから。
「あいっ。自分たちのことは、自分たちで……なんとかしましゅ!」
「うんうん、いいね。素直でよろしい」
よしよし、と最高神さまが私の頭を撫でてくださる。
「私マジで忙しいからマジで、だから何度も助けてあげることはできないけど……ま、大丈夫でしょ? 君には、最高の神様が、ついてるもんね」
腕の中でましろが「ふにゃあん!」と鳴く。そう、私は頼もしい猫の神さまがいるんだ。
だから……大丈夫。
「あいっ!」
最高神さまは微笑むと黒箱を取り出す。
「そんじゃ、私はこの辺で。ばっははーい」
フッ……と黒い箱とともに、最高神さまがいなくなった。
……気づけば、アメリアさんも、愛美さんも、貞子さんも、目を閉じて祈っていた。
……私も、知らず同じ動作を取っていた。
ありがとう、最高神さまのおかげで、大事な友達を失わずに済んだ。
私たちを助け、そして、力まで、無償で授けてくださった。
なんたる、お優しいおかた。なんて慈悲深い神様なんだろう。
私は……ううん、私だけじゃあない、みんな……最高神さまのことを、心から敬愛するようになっていた。
「しゃー!」
ましろだけは、不服そうだった。
「【自分も神様なんですけどぉ!】ですって」
他の神様に浮気した、とでもましろは思ってるんだろう。
「ましろたんは崇める対象じゃあなくて、親友でしゅよ!」
するとましろは満足そうに鼻を鳴らすのだった。
こうして、色々あったけど、諸々一件落着したのだった。
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