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3 侯爵令嬢は持ち物です

「なるほど。行き場の無い、侯爵家の令嬢であった私を、平民のメルマー様が、下女扱いするつもりだと?そうすることで、侯爵令嬢より上の存在である、王女の様な女性として、社交界で扱われると?」


 ほ~~。いつの間にか侍女とメイドがなくなり、下女扱い一択になってますね。


「そうだ!侯爵家出身の令嬢であろうと私と結婚したのだから、お前は私の持ち物だ。離婚後も追い出さないから、私の愛するメルマーを主人として、誠心誠意仕え、お前には必要がなくなるドレスや宝石、持参金をメルマーのものにするのだ。どうだ、メルマーは愛らしいだけでなく、優しく、頭がよいだろう?」


 私の中での顔も知らないメルナーさんのイメージは、ムチとか持ってニヤニヤしてそうな怖い女ですけども。ロイナード様にとっては違うのですね。ある意味凄いです。



「なるほど。……今宵この時まで、愛する方のことや、結婚後のことを黙っていたのは、話してしまえば結婚の話がなかったことになると、ロイナード様が考えられたからですか?」


「違うぞ!私は、お前と結婚してやるのだから、早めに話して、先にドレスや宝飾品と持参金を届けさせようと言ったのだが、メルマーが、俺の持ち物になるお前に話すことで、両家の両親にメルマーとの真実の結婚を反対されたり、反対されなくとも、お前との結婚が不要であるとなくなれば、メルマー個人の財産がない状態での嫁入りなってしまい、困る、恥ずかしいと、泣いたのだ。お前との結婚を終えるまでお願い、秘密にしていて、とな。愛するメルマーの願いを叶えるのが、夫となる私の役目だからな!」


 いや、よくその希望を、格上の家の令嬢が飲むと思えたよね?

 家から放逐されるとの噂があったとしても、家として嫁に出すメリットゼロですよ?大事では無いにしても、犯罪者でもない娘が、平民に奴隷のような扱いをされて喜ぶ貴族家はないでしょう。娘ではなく、自家を馬鹿にされていることになりますからね?

 それにしても、メルマーさんの謎理論と泣き落としをまるっと信じちゃう貴方のお馬鹿さん加減がホント怖いわっ!

 なんだか悍ましいというか、キモチワルイというか。

 もう嫌だけど、嫌だけど。

 まだ、頑張りますぅ。あああヤダヤダ。



「そんなに熱烈に愛している相手との関係を今日まで秘密として守るのは大変でしたでしょうね?」


「そうだぞ!明後日には妻としてこの屋敷での生活を始めてくれるはずだが、この3ヶ月堂々と会えず、大変だったのだ!」


「明後日?まだこのお屋敷に到着されていないのですか?」


「今日明日は、大事な用事があり、忙しいらしい」


「大事な?」


「うむ。私の両親や弟達、叔父達の居場所を聞かれたから、こっそり挨拶するつもりなのかもしれないな」


 それ、漏らしちゃダメなやつですよね。こっそり怖ぁい“最後の挨拶”をする気満々でしょうからね。



「親戚集めてささやかな晩餐会を開かないのが悪いとか、面倒だとか怒られたが」


 でしょうね。全員まとめて一網打尽が、彼らの定番手口らしいですし。

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