「トランプ関税」日本企業1.3万社に影響の可能性あり 米中両国に輸出する企業は約2000社、製造業が約半数を占める

2025年2月7日(金)17時47分 PR TIMES

米国の対中・対北米追加関税に対する日本企業の影響調

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株式会社帝国データバンクは、保有する企業信用調査報告書ファイル(CCR、約200万社収録)から、輸出先(得意先・販売先)に「中華人民共和国」および「アメリカ合衆国」「カナダ」「メキシコ」各国内の企業(現地法人、現地子会社などを含む)と取引のある日本企業について調査・分析を行った。


<調査結果(要旨)>


日本から北米・中国に製品・サービスを輸出する日本企業は2025年1月時点で1万2911社に上った。このうち、「中国」向けが9850社と最多で、「米国」向けは4854社。業種別では「卸売業」が最多の6348社、「製造業」が5211社と続く。企業規模別では売上規模1-10億円未満が最多だった。


[注1] 中華人民共和国:本土のほか「香港」「澳門」両特別行政区が対象
[注2] 輸出には間接的な輸出の形態を含む
中国・北米に「輸出」する企業、全国に1万2911社
日本から北米・中国市場向けに製品・サービスを直接・間接的に販売(輸出)する日本企業は、2025年1月時点で国内1万2911社に上ることが分かった。このうち、「中国」向けが9850社と最も多く、「アメリカ合衆国(米国)」(4854社)、「カナダ」(471社)、「メキシコ」(243社)と続いた。中国やカナダ・メキシコへの輸出は、各国拠点で加工・組立工程を担い、米国市場に輸出するといった供給網も含まれる。トランプ米大統領は既に中国向け追加関税を発動しており、メキシコ・カナダ両国に加え、日本にも関税が発動するシナリオの場合、少なくとも国内約1.3万社の企業活動に影響が及ぶ可能性がある。

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それぞれの企業売上高に占める輸出額の割合(シェア、1社あたり)を分析すると、「中国」向けで判明した企業約1600社で平均42.3%となった。「米国」向けで判明した企業約800社の平均割合・28.6%に比べ、中国向けの企業で売上高における輸出への依存度がより大きい結果となった。

 業種別にみると、最も多いのが『卸売業』で6348社となり、全体の49.2%を占めた。『製造業』(5211社、40.4%)と合わせ、2業種で全体の約9割を占めた。『卸売業』では、白物家電をはじめ電化製品を扱う「機械器具卸売業」(2026社)が多かったほか、「飲食料品卸売業」(669社)など食品関連が上位となった。製造業では、金属工作機械などの「一般機械器具製造業」(1444社)が多かったほか、「電気機械器具製造」(787社)、「化学工業、石油・石炭製品製造業」(540社)などが上位で、日本酒人気などを背景に「食料・飼料・飲料製造業」(320社)も多かった。
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このほか、米国のほか中国、メキシコなどに完成車工場が多く立地していることを背景に、「輸送用機械器具製造」(257社)、「自動車・付属品卸売業」(214社)など自動車関連産業も目立った。

企業規模別では、売り上げ規模「1-10億円未満」が4850社と最も多かった。一方で、地場・業界中堅クラスに相当する「10-100億円未満」は4558社、大手企業を中心とした「100億円以上」は2019社だった。


米国向け輸出、「製造業」が最多の2499社 

米国向けの輸出をみると、業種別で最も多いのが「製造業」で2499社に上った。製造業が輸出国別で最多となるのは、米国を除けば「メキシコ」のみだった。米国向けの製造業輸出では、工作機械や機械工具、半導体製造装置製造などの「一般機械器具製造業」が多かった。米国を中心とした日本企業の輸出相手国動向をみると、中国・北米向けの中で「米国1カ国」のみを輸出先とする企業が2726社と最も多かった。一方、「米国・中国」両国に輸出する企業は2058社判明し、米国向け輸出企業(4854社)の約4割に上った。2058社を業種別にみると『製造業』が1108社と半数を占め、『卸売業』(829社)と合わせた2業種で9割以上を占めた。米中両国に輸出する日本企業では、日本から中国へ原材料や部材を輸出し、現地工場で加工・組み立て後、米国へ完成品を出荷するといった供給ルートや、米中双方の研究施設向け備品搬入など、扱い品目や取引先は幅広くみられた。なお、「米国・カナダ」(112社)、「米国・メキシコ」(44社)でも同様に、製造業と卸売業が中心だった。
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一方、中国向けの輸出をみると、業種別で最も多いのが「卸売業」で5200社に上った。なかでも「機械器具卸売業」が多く、機械工具や精密機械、医療機器など、取扱品目は多岐にわたった。また、中国での日本産食品の需要増を背景に、和牛や日本酒、健康食品などを取り扱う「飲食料品卸売業」も多かった。中国を中心とした日本企業の輸出相手国動向をみると、「中国1カ国」のみを輸出先とする企業が7499社と最も多かった。「中国・カナダ」(229社)、「中国・メキシコ」(149社)の組み合わせでは、両国に生産工場などの拠点設備を有する企業もみられた。
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「トランプ関税」の影響、直接・間接的に広く影響及ぶ可能性
トランプ米大統領は2月4日、中国からの輸入品に対して10%の追加関税を発動し、メキシコやカナダからの輸入品に最大25%関税の発動についても既に予告している。足元では、即座に中国政府が米国産原油や大型自動車などに10%の追加関税を課すと発表するなど、米中両国による貿易戦争の様相を呈してきた。また、米大統領はすべての国からの輸入品に一律関税を課すことも引き続き検討していると説明しており、日本も同様に米国の「ディール」に巻き込まれる形で、追加関税対象になるシナリオも想定される。


帝国データバンクが2023年に実施した調査では、人件費の安さなどを理由に「生産国として最も重視する国」として中国やメキシコをあげた企業は多かった。「トランプ関税」の影響は、中国を生産基地として米国に輸出してきた企業や、北米3カ国の自由貿易協定(USMCA)の下、自動車産業を中心にメキシコなどへ米国向け組み立て工場を設置するなどグローバルバリューチェーンを構築してきた企業にとって、価格転嫁や生産拠点の変更といった対応を迫られるなど、経営面でのインパクトは無視できないものになる。米国のほか中国、メキシコ、カナダ4カ国に輸出する日本企業1.3万社を中心に、サプライヤーなどを通じて日本経済に広く影響が及ぶ可能性がある。

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