2024年12月25日
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パナソニック株式会社 オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社は、受光部に、アバランシェフォトダイオード(APD)[1]を搭載したCMOSイメージセンサ(APD-CMOS)を開発しました。受光部で光電変換[2]された光電子[3]をAPDで増倍することで、1万倍※1の電気信号を得ることに成功しました。これにより、星明り(照度0.01ルクス)程度の暗い場所でも、鮮明なカラー撮像が可能となります。
今回開発したイメージセンサは、光電子を増倍することで高感度な撮像が可能となります。暗い場所でも露光時間を増加させることなく階調性の高いカラー撮像が実現できます。さらに、撮像時の明るさに応じて、APDに印加する電圧を変化させることで光電子の増倍を高速に制御し、昼間でも夜間でも、また明るい場所と暗い場所が混在するシーンでも撮像が可能となります。広ダイナミックレンジ[4]のカラー撮像が必要な監視用カメラや超高感度撮像が必要な産業用カメラ等への応用が期待されます。
本開発は以下の特長を有しています。
1. 高感度カラー撮像 | :4000万/lux・秒・μm² (従来比 1万倍) |
2. 広ダイナミックレンジ | :100dB (従来比 +40dB) |
本開発は以下の技術により実現しました。
(1)光電変換部にアバランシェフォトダイオードと電荷蓄積部を搭載し、生成した色情報を含む光電子を増倍するとともに蓄積するAPD画素設計技術
(2)APDへの印加電圧を制御することにより1/1000秒で増倍を制御し、明暗の変化に追随する30fps動画撮像可能な感度可変技術
従来のイメージセンサでは暗い場所での撮像時には光電変換される光電子はノイズレベル[5]以下となり、月明かり(照度0.1ルクス)程度の撮像が限界でした。このため、補助光として近赤外光源を点灯させた撮像や光電子増倍管[6]を用いた撮像が行われています。近赤外光源ではカラー撮像ができない、光電子増倍管には大きな電源が必要なためカメラが大型化するという欠点がありました。
監視用カメラ、産業用カメラ、車載用カメラなど
本開発成果は、2016年2月1日にサンフランシスコで開催された「2016 International Solid-State Circuits Conference」で発表しました。
従来のCMOSイメージセンサでは、光電変換により生成される光電子は、撮像時の明るさに比例します。このため、暗い場所では、発生する光電子が少なく、ノイズレベルに近くなり鮮明な撮像ができませんでした。そこで、光電変換で生成された光電子を増倍させる領域を受光部に設け、増倍された多量の光電子を蓄積領域に蓄積するAPD-CMOSイメージセンサを開発しました。これにより、暗い場所の少量の光電子を、1万倍に増倍できます。
図1 従来のCMOSイメージセンサとAPD-CMOSイメージセンサの受光部構造比較
イメージセンサではカラー撮像を行うため受光部上方にRGBのカラーフィルタを配置します。色情報をもった光電子を生成して増倍することができ、星明かり程度の照度0.01ルクスで、高感度のカラー撮像を実現できます。
図2 照度0.01ルクスでの撮像比較
APDへの印加電圧を制御することにより、増倍制御を実現しました。明るい場所では光電子をそのまま出力して、暗い場所では光電子を1万倍に増倍して出力します。明るさに応じて感度を可変し、星明かりと街灯が混在する明暗差の大きいシーンでも鮮明な撮像を実現できます。
図3 広ダイナミックレンジ性能
以上
記事の内容は発表時のものです。
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