金髪ツインテールは振り向かない『賭ケグルイ双』ギャンブル超人たちの中で戦う少女・早乙女芽亜里は王子様:あのキャラに花束を
地べたを這い泥をすすってでも、そのギャンブル勝ってやる。
アニメ放映中のギャンブルマンガ『賭ケグルイ』。高校生のヒロイン・蛇喰夢子は、勝つ気はあんまりなく「リスクを背負って両者が全力で賭け事をする」中毒。最高のギャンブルができればそれでいい。だから試合内容と賭けるもののインフレがすさまじい。高校生なのに賭けているものが、一勝負で100億とか、人生とか、命とか。クレイジーな作品です。
そんな狂気の学園の中、頭はいいのに周りが奇人変人なので、相対的に凡人と化したツンツンツインテール少女早乙女芽亜里(さおとめ・めあり)。スピンオフ作品『賭ケグルイ双(ツイン)』からご紹介。
一般家庭だよ芽亜里ちゃん
早乙女芽亜里は、特待生で入学した才女です。学校の食事には水筒を持ってくるあたり、等身大な幼さもあってキュンときます。
ところが彼女が通う私立百花王学園は、超上流階級のお嬢様お坊ちゃま、政財界の跡継ぎレベルな人間が集う学校。この学園で大事なのは学力でも運動でもなく、ギャンブルの強さのみ。
芽亜里はギャンブルなんて知らないし、やったことがない(そりゃそうだ)。金銭的にはごくごく普通の平民家庭に育った子です。水筒を持参した特待生となると「お金がないので頑張って勉強して入りました」と公言しているようなもの、と周りは見る。
ギャンブルはド初心者の彼女。イカサマが横行する学園、カモがネギを背負ってくるとはこのこと。
最初の試合では、1回1万円で勝負。賭けたことがない芽亜里にとっては衝撃。100円とかじゃないの!てかお金賭けるの!? ところがこの学園では1万円なんて、お金のうちに入らない。借金は膨れ上がって20万、30万。一般的には成人でもこの額をギャンブルで溶かすとなると痛い。高校生の芽亜里にとっては返済不可能な金額。
周囲の子たちは超絶お金持ち。20万円なんてはした金です。百万円の札束をポンと出せる子たちの中で、弱者にならず生き抜かねばいけない。『キン肉マン』の超人の中に混じった(元)人間ジェロニモのような、圧倒的不利。
まさに、大富豪の「大貧民」状態。周囲の嘲笑を耐えるところからのスタートです。
下克上だよ芽亜里ちゃん
ギャンブルには、お金の有無はどうしてもかかわってくる。金持ちが見下す視線が、庶民の芽亜里に集中して刺さります。つらい。
彼女が選んだのは、徹底的に戦って、何が何でも勝者になるというものでした。
幼い頃から彼女のことを慕っており、今は学園でギャンブルに負けて虐げられている花手毬つづらに言います。
「私達は上に立つ。二度とコケにされないために。それがギャンブルで決まるというなら、ギャンブルで勝つ! 学園の金持ち共を全員見返してやる。私達は勝者になるの!」
最初は弱者だった。でももう弱者なんて言わせない。彼女は以降、徹底して「勝者」の語にこだわります。搾取される弱者な現状からの、下克上です。セリフを見るとわかるように、別に勝者になれるのなら、ギャンブルじゃなくてもいい。
『賭ケグルイ』本編は、蛇喰夢子というミュータントが、絶対負けない超人的能力と、結果はどうでもいいという理解しづらい価値観で、学園を引っかき回すのが面白い作品。
一方『賭ケグルイ双』は、早乙女芽亜里が泥をすすってでも勝とうと努力する、根性の成り上がり物語。対になっています。
ポイントになっているのが、芽亜里の性格。極度の負けず嫌いで、勝つためだったら汚い手も辞さない。これ、ギャンブラーがイカサマをしてでも勝つためには必須な部分。勝負中は負けがこんでいても動揺した顔を見せません。
また、ギャンブル以外の部分で頭がいい。勝負どころと引き際を冷静に考えることに長けている。なんせお金がない芽亜里。しゃにむに試合で勝つよりも、長期的に賭場を経営して少しずつ稼いでいくようにする、利益計算がちゃんとできている。この学園、金銭感覚がマヒしている子ばかりなので、これはとても貴重。
それでいて、煽り力が異常に高い。本人、正義の味方として戦っているわけじゃない。特に『双』では幼さが目立ちます。単に勝って「バーカバーカ」となることも多い。結構ずうずうしくて大胆な素の部分が、相手におじけづかないというプラスに作用しています。
試合に挑む時の経験値は圧倒的に足りない。つづらたち仲間の力を徹底的に頼って、脳をフル回転させる。おごらず、勝つためになんでもするというのは、努力家の証。
こうしてみると、芽亜里は少年マンガの主人公が持つ必須要素、ほぼ全部持っています。這い上がり仲間との友情はあるし、積み重ねていく努力もしている。蔑まれてもめげない根性も持っているし、自分らしく戦う矜持(きょうじ)もある。最後の最後には勝利する。
だから、わりかし芽亜里は負けます。弱くて一度なめられた人間が全力で反撃するのって、熱いじゃん。
熱血漢だよ芽亜里ちゃん
彼女は自分が善人だとはみじんも思っていません。勝つためにはなんだって踏みにじるぜ、くらいの気持ちです。
でも実際読んでみると、彼女相当義に厚い人物なのが見えてきます。人の道に外れたこと、他人を傷つけること、傲慢なことに対しては鋭く反応。自分がバカにされてもそこまで怒らないけど、理に反した言動に対しては、自らが不利になろうと声をあげます。
芽亜里をはめて、ひどい目に合わせようとしたクラスメイト。その子が他の級友に手のひら返されていじめられているのを見て、とっさにタンカを切ります。目の前で行われている理不尽には、後先考えず正直に文句を言うのが芽亜里らしい。
これは『双』だけでなく『賭ケグルイ』本編でもそうです。借金があるものはいじめてもいい、という家畜制度など、倫理がめちゃくちゃ学園の中で、冷静に状況を見抜き、はっきりと意見を述べ、反旗を翻せるのは、超真っすぐな芽亜里だけ(夢子は多分そういう感情皆無なので……)。
みんなにモテるよ芽亜里ちゃん
周囲の一般クラスメイトには指さして笑われる芽亜里。けれども彼女の曲がらない性格に、一部の人は惚れ込みます。本編と『双』のカギになる人物は敵も味方もだいたい惚れ込んでいる。
中でもベタ惚れなのが、小学生のころから彼女の正直な姿に憧れている、花手毬つづら。何もかも信じて、芽亜里についていこうとしています。それは自分のために勝ってほしいからじゃなくて、どんなことがあってもくじけない彼女のことが、大好きでしかたないから。愛です。
彼女の生き方に、支配者側の生徒会役員たちも目をつけます。本編では、生徒会長が一本釣りで役員にしようとしたり、副会長が自分の味方につけようとしたり、激モテ。何より夢子がものすごく気に入っているようで、常にベタベタ。芽亜里ハーレムです。本人めちゃくちゃ嫌がっているけど。
『双』では、一緒に賭場を経営することになった戸隠雪見や、生徒会役員の聚楽幸子、壬生臣葵が、芽亜里に目をつけます。なお聚楽は嬲りたいという性癖的な理由です。
芽亜里自身は、自分たちが勝者になれるのであればどの話にでも乗る、とは言います。けど、きっと芽亜里のことを本当に信じている子たちは、そうは思っていないはず。本編も『双』も、芽亜里が大切にしている人間の義の心を決して曲げないのを、みんなわかっている。だからこそ、彼女を信頼し、自分たちの人生を預ける決意ができます。
能力的には夢子のようなスーパーマンじゃない。けれど、大丈夫、信じて、と囁いて視線を曲げないのが芽亜里。その姿はまるで。
芽亜里は、金髪ツインテールの王子様。
本編ではサブヒロインでしたが、8巻でついに、メインの夢子・生徒会長に並んで、主人公格に上り詰めてきた芽亜里。『双』とどこかで合流するのかな。
できれば本編を読んでから『双』を読むのがオススメではありますが、時系列的には『双』の次が本編なので、熱血芽亜里を見たい人は是非『双』からでも。
(たまごまご)
関連記事
- あのキャラに花束を:溢れ出るやばみ 「賭ケグルイ」蛇喰夢子が、1回の勝負に人生を賭けて、滾ってしまいますわー!
正義でも悪でもない欲望のヒロイン降臨。 - あのキャラに花束を:中学生時代の鬱憤と衝動と友情とやりきれなさ 『月曜日の友達』水谷茜と月野透の、優しくてひりついた関係
いつまでも子どもでいたい、って思い叶うと思ってる? - あのキャラに花束を:無表情女子とゼロ距離会話 『阿波連さんははかれない』阿波連さんの顔が近すぎる件
女の子に密着されて理性が揺るがない少年側がすごい。 - あのキャラに花束を:死んだら温泉に転生しました 『異世界温泉に転生した俺の効能がとんでもすぎる』お湯になった熱美くんの生活
温泉には温泉の生き方がある。 - 世界にひとつだけのガチャが作れる 無料で回し放題の「ガチャメーカー」
激レアキャラも引き放題。 - あのキャラに花束を:人としてそれはどうなのか 小学生女子のお金でガチャを回す『今日から俺はロリのヒモ!』という脳みそハッピーライトノベル
大富豪・二条藤花とクズ男・天堂ハルの華麗なる生活。 - あのキャラに花束を:大人気打ち切りマンガ『ポプテピピック』 ポプ子とピピ美のキュートさを見直したい
ピュアな中学生の青春友情物語、かもしれない。 - あのキャラに花束を:寝るために頑張る人生があってもいい 『魔王城でおやすみ』スヤリス姫は“睡眠版”『孤独のグルメ』だ
欲しいものは救いじゃなくて「ハイテク入眠用酸素カプセル」。 - あのキャラに花束を:本当に怖くておいしい友食いのお話 『人魚姫のごめんねごはん』エラ姫の憂鬱
今日もまた、大好きなお友達を食べてしまった……。 - あのキャラに花束を:全裸大好き中学二年生作家 「エロマンガ先生」のグレーターノベリスト少女・山田エルフ先生と結婚したい
メインヒロインになれる素質の持ち主だと思う。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
【ヤフオク】“3万円”で購入した100枚の着物帯 →現役着付師が開封すると…… “まさかの中身”に驚き
-
子なし夫妻が“人間の子ども”のように育てた柴犬を、実家の家族に会わせたら…… 幸せあふれる展開に「とっても嬉しそう」
-
友達に「あれ、お前んちパーティ中?」と言われた“実家”が100万再生 衝撃の全貌に「ビビってます」「ウチの中にない物ばかりwww」
-
道で“お宝”拾ったと大興奮→磨いたら…… 3430万再生された驚きの職人技に「まさに芸術作品!」「信じられない」【海外】
-
「キティちゃんのお面だと思ったら……」 ひっくり返した“まさかの正体”が830万表示 投稿者に話を聞いた
-
0歳赤ちゃん、朝起きてママに気付いた瞬間…… 涙が出そうになる表情が600万再生「こーれーはーやばい!」「あかん一生みてまう」
-
東京ディズニーリゾート、“あのブランド”とコラボした紅茶に反響 「遂に来たぁあああ!!」「買うしか!」
-
実物大ν(ニュー)ガンダムが公開から数年たち…… 現在の姿を捉えた写真に反響 「イラストかと思った」「かぁぁっこえぇ……」
-
100円で売ってた謎のジャンクDSソフト、その中身は…… “とんでもないデータ”が入った掘り出し物「これもう運命の出会いでしょ」
-
母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
- ドブで捕獲したザリガニを“清らかな天然水”で2週間育てたら…… 「こりゃすごい」興味深い結末が195万再生「初めて見た」
- 「配慮が足りない」 映画の入場特典で「おみくじ」配布→“大凶”も…… 指摘受け配給元謝罪「深くお詫び」
- 市役所で手続き中、急に笑い出した職員→何かと思って横を見たら…… 衝撃の光景が340万表示 飼い主にその後を聞いた
- 鮮魚店で売れ残っていたタコを連れ帰り、水槽に入れたら…… ヤバすぎる光景に「こんなに可愛いなんて!」「笑ってしまった」
- 母「昔は何十人もの男性の誘いを断った」→娘は疑っていたが…… 当時の“モテ必至の姿”が1170万再生「なんてこった!」【海外】
- 「まじで終わってる」 マクドナルド「エヴァ」コラボ品“高額転売”に嘆く声…… 「結局欲しい人が買えない」
- 母に「髪染めやピアスはダメ」と言われ続けた25歳東大女子、大変身を決意したら…… まさかの事態に「さすがにおもろい」「涙出てきた」
- 賞味期限「2年前」のゼリーを販売か…… 人気スーパーが謝罪「深くお詫び」 回収に協力呼びかけ
- 風呂上がりに偶然「牛乳を注ぐ女」になった人に反響 「ほぼそのままw」「盛大にふきだした」 投稿者に話を聞いた
- タンクトップ姿のパパ「昔はモテた」→娘は信じていなかったが…… かつての姿に衝撃走る「『トップガン』に出ていても納得」【海外】
- ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
- パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
- 東京美容外科、“不適切投稿”した院長の「解任」を発表 「組織体制の強化に努めてまいる所存」
- ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
- 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
- イモトアヤコ、購入した“圧倒的人気車”が思わぬ勘違いを招く スーパーで「後ろから警備員さんが」
- 「何があった」 絵師が“大学4年間の成長過程”公開→たどり着いた“まさかの境地”に「ぶっ飛ばしてて草」
- フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
- 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
- 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」