夫が裏垢で70人と不倫していたのが発覚した日の話②
①の続きです。(読んでいない方はこちらから)
果たして夫は黒なのか、白なのか!?まあタイトルにガッツリ書いてあるのでみなさんお分かりかと思いますが、今回もよろしくお願いします。
逮捕の瞬間
私「スマホ出してくれる?」
夫「えっ?」
私「まずフェアになるように私のスマホ渡すね。そっちのも渡してもらえる?」
夫「えっ…あ…はい」
私「パスワード開けてくれる?」
夫は案外あっさりとスマホを渡してきた。Twitterを見ると、登録されているアカウントは日常のアカウント一つのみだ。親友にその画面を見せる。ここまでは想定の範囲内だ。
夫「えっ何?めっちゃ怖いんだけど」
夫「どうしたの?2人とも何?俺なんかした?」
夫「何?何何何???」
夫、めっちゃ喋る。怖いのはもし事実だった場合にここまで来てしらばっくれてるお前だよ、と内心思いつつ親友と顔を見合わせる。
私「えーっと、1つずつ聞くね。今朝、あなたのスマホを見ました。今アカウントは1つしかないけれど、その時他に2つのアカウントがありました。私のスマホで見たスクショを見せますね」
(気持ち悪いスクリーンショットを提示)
夫「…………………」
私「このアカウントに身の覚えはありますか?」
夫「…………………」
私「ない?」
夫「……あり…ます………」
私「あるよね。そうだよねー、はぁーーーあるよねえ」
はい、やってました。ですよね。でしょうね。
限りなく濃いグレーが、黒に変わった瞬間だった。夫がため息をついて落ち込んでいるが、ため息をつきたいのは私だ。
尋問開始とともに燃え尽きる夫
親友は先程コンビニで買ったノートを開いて自分のスマホで会話を録音し始めた。彼女はゴールが決まった決定的瞬間においても、浮かれることなくすぐに次のゴールを見据えることができる仕事人なのである。私も自分のスマホのボイスメモを開く。
私「えっと、申し訳ないんだけど、ここからの会話は録音させてもらいます。同意してもらえるよね」
夫「…………………」
私「同意する?」
夫「ハイ…………」
(※以下蚊の鳴くような声なので、夫の発言は全て半角カタカナとなります。読みづらいですがご了承ください)
いざ質問(ほぼ尋問)することになってみると、何から聞こうとか、事前にそこまでは考えていなかった。
ただ、事件の闇が深すぎて、とにかく何が起きているかの全容が分からないと何もできないと思った。
なのでここから事実ベースで話を聞いていくことになる。
でも今振り返ると、私は前職種がひたすらエビデンスを揃えて外堀を埋めるような仕事だったので、そもそも証明が不可能で、偽造し放題である「動機」や「気持ち」には興味がなかったのかもしれない。
私「いつからこういう活動は始まったの?」
夫「…………………」
私「結婚前?結婚後?」
夫「…………………」
私「転勤後?」
夫「…………………」
私「今のアカウントが〜からだから、ここからは絶対やってて、ツイート見ると前に凍結したアカウントがあるって自分で書いてるね。一番最初のアカウントはいつ?」
夫「…………………」
私「ゆっくりでいいから思い出してみよう」
夫の様子は、目を閉じてうつむいたまま放心状態という感じで全然喋らない。名探偵コナンの犯人くらい喋ってくれよ、これ終わらないぞと思った。
アカウントの人格が普段の人格とかけ離れていて、本性を暴いた後にどうなるかは当初全く予想がつかなかった。饒舌に開き直るのか、逆上して暴れるのか。結局最悪の事態には至らなかった訳だけれども、平身低頭謝る訳ではなく、ただただ自分の犯行がバレたことにショックを受けて落ち込んでいた。
その時の様子を友人が撮影していたのだが、後から見てみたら完全にあしたのジョーの燃え尽きたシーンだった。気になる方は「あしたのジョー 燃え尽き」で検索して、頭の中でジョーにセーターを着せて前にコーヒーを置いてみてください。夫になります。(撮っていた親友もすごい)
私「最初が昔すぎて思い出せないなら最近のから聞こうか。最後に会ったのはいつ誰と?」
夫「…………………」
私「まあ、混乱して思い出せないよね」
夫「…………………」
私「DMで連絡とってたの?LINE?」
夫「……………ディーエム…」
私「じゃあDM確認してみようか。スマホ渡すからログインしていいよ」
親友「スマホは机の上に置いて操作してね」
私「あっ、やっぱり私のスマホでログインしようか。パスワード教えてもらっていい?」
夫が蚊の鳴くような声でパスワードを読み上げるのを、親友が復唱しながらノートに書いていく。
ログインしてみるとDMでやり取りをしている相手が果てしない人数おり、眩暈がした。しかも一人一人との会話がものすごく長い。
裏垢のパスワードを変更する
私「すっっっごいDMしてるな…」
親友「うわあ、終わってるね」
夫「…………………」
私「これさあ、今日全部見るの無理だから、本当はスマホ預かりたいんだけど、仕事あるからそれは可哀想だと思うので…うーん」
夫「…………………」
私「アカウントのパスワード変えていいですか?申し訳ないけど、全部見ないといけないので」
親友「それなら仕事に支障はないね」
私「これ以降また使われても、消されても困るしね」
夫「…………………」
私「パスワード変えて、私がアカウントを管理することには同意してくれますか?」
夫「…………ハイ……」
夫の許可が取れたので、親友と手分けして各アカウントのパスワードをサクッと変更。変更したパスワードは後ほど共有した。
しかし今考えると、その場でヨドバシに走って新しいスマホを契約してでも、スマホ自体を没収するべきだった。万一慰謝料請求できた女性がいる可能性があったからである。
さらなるアウトが発覚
私「DMしてても会ってる人と会ってない人がいるのか。どれが会ってる人なんだろう。最後にあった人の名前分かる?」
夫「……アカネ……」(そこは喋るんかい)
親友「あかね…これか」
親友が見つけたアカウントの会話を遡っていく。
私「3月10日?最近というかもはや4日前じゃないか。覚えてるよねこれは」
親友「しかも平日昼じゃない?」
私「えっ、ちょっと待って。この日スーツ着ていつも通り出勤したよね君。仕事行ってないの?」
夫「…シゴト…イッテナイ……」
親友と顔を見合わせる。案の定お互いゴミを見るような目をしていた。
これは思った以上にやっている。
さらに遡っていくと、会う前にまず顔写真を交換するようで、夫がキメ顔で口元だけスタンプで隠した鏡越しの自撮り写真(本当にキモいし多分会社のトイレで撮ってる)、女の顔写真、学生証の写真が出てきた。学生証は他県の商業高校のもので、生年月日以外の個人情報がスタンプで消されている。
私「キメ顔が気持ち悪いのは一旦置いておこう。学生証はどういうこと?相手は高校生?」
夫「……コウコウセイ……」
私「うわ、本当に気持ち悪い。最悪。高校生はアウトでしょ」
親友「18歳以上なら法的にはセーフなのかも」
私「あーーーだから生年月日確認するために学生証の写真を送らせてるのね、これ高校生と会う時は毎回やってたの?」
夫「……ネンレイガワカルモノ…ホケンショウトカ…オクッテモラッテ…」
私「だから犯罪ではないと?」
夫「……………ジュウハッサイ…イジョウシカ…アッテナイカラ…」
DMを読み込んでいくうちに知ったが、裏垢男子の界隈では18歳以上の高校生のことを「合法JK」と呼んで崇め称えているらしい。30近くなって倫理観が死んでいる。
ただ、女側の倫理観も同じようなものだ。学生証は個人情報こそ隠されているものの、学校名と学籍番号が丸見えなのだ。男側が学校にバラすぞ、なんて言って脅迫したらどうするつもりなのか。
夫の危機管理がザルだった
そこで、ふとスタンプが押された本人の写真を見て気づいたことがあった。
私「これ、本当に本人のものっていう確証はある?証明書出させてお顔の確認とか現地でするわけ?」
夫「…エッ……」
私「高校生なんて友達と学生証の貸し借り全然あり得るよね」
親友「保険証なんてそもそも顔写真ないし、家族のこっそり借りるとかもありそう」
私「だよね。あとそもそも偽造もありえるでしょ?見抜けるの?」
夫「…………………」
私「本当に18歳以上しか会ってないって言い切れる?」
夫「…………………」
黙るなよ、そこで。もはや呆れを通り越した絶望的な感情になった。
「18歳未満だとは知らなかった」というニュースでのお決まりの供述が頭をよぎる。親友もかなり呆れていた。
私「危機管理!」
親友「危機管理ができてなさすぎる。そもそもバレた時に大事になるとか思わなかったの?」
夫「……イマニナッテキヅイタ…」
親友「すごいな」
私「本当にバレないと思ってたの?」
夫「………バレナイトオモッタ………」
親友「ねえ、そもそも何でこんな事したの?何かきっかけがないと絶対しないよね」
夫「シ、シゴトガ……イソガシクテ……タマタマ…コウイウセカイガアルノヲシッテ…」
私「部署みんな忙しいんでしょ?御社ではみんなやってんの?違うよね?」
親友「というか普通こんな世界があるって知ってもやらないよね。やってる友達1人もいないわ」
私「私もいないし、そういう友達ならいらないわ」
夫「…………………」
夫がどんどん下を向いていく。おそらく彼の人生で男女問わず、ここまで寄ってたかって罵倒される機会はこれまでなかっただろう。
うっかり近くの席に座ってしまった男子高校生たちが固唾を飲んで私たちの尋問を見守っている。しくじり先生(夫)みたいになるなよと思いつつ質問を続ける。
きっかけは風俗
私「これが初めての不貞ってハードル越え過ぎてるんだけど、風俗行ったことある?」
夫「…イッカイ…イッカイクライ…」
私「行ったことないってずっと言ってたよね?いつ行ったの?」
夫「…モウダイブマエダカラ…」
私「いつ?1人で行った?」
夫「ケッコンマエノ…サイゴノアソビデ…ミヤモト(仮名)ト…」
私「宮本!?!?!?」
宮本(仮名)は夫の中学時代の友人であり、私と夫の結婚式では受付に指名された人物だった。大学時代から私も夫を通じて知り合い、我が家に泊まって行ったこともある。
さらに昨年の宮本の結婚式には、キャンセルになった夫友人の代打で私も出席し、わざわざ新幹線で遠征したのである。
私「宮本ォ…!交際時の浮気を知ってて受付やったのかあの人。本当に最悪。類は友を呼ぶだわ本当に」
親友「さっき1回くらいって言ったけど、1回なの?何回か行ったの?」
夫「ナンカイカ……」
私「最初に言った1回は嘘じゃん。過少申告をするな。行ってどう思ったの?最高!みたいな?」
夫「ナンカ……コンナモンカッテカンジ…ハマリコンダワケデハナカッタシ…」
親友「はまり込んでないとかそう言う問題じゃない」
私「宮本と行った風俗が、交際時代の一番最初の浮気ということでよい?」
夫「……ウン……」
私「風俗が性の目覚めのきっかけだったか」
3アウトじゃ足りない
親友「最近のツイートにあるメンズエステはその何回かに入ってるの?」
夫「…ハイッテナイ………」
メンズエステに行った旨のツイートは見逃していた。確認したところ確かにここ1ヶ月以内に「自分は気持ちいいけど、女性を気持ちよくしてあげられないのがもどかしい」みたいなド低俗な体験レポートを書いている。
私「メンズエステは本番なしであってる?手?口?」
夫「……テデス……」
私「手淫が不貞に入るかは別途確認しておくけど(※入ります)、何でメンズエステ行ったの?」
夫「………………」
私「相手には困ってないよね」
夫「………セイビョウニ……カカッテ……」
私「は!?!?!?」
夫のツイートでは、定期的に性病検査を受けて、感染がないことをわざわざ検査結果のPDFまでつけて公表していた。それは自分は病気を持っていないというPRになっているようだった。
挙げ句の果てに性病検査が裏垢男子活動においていかに大事かみたいな説教ツイート(死んだほうがいい)までかましていたので、性病に罹っていたのは衝撃だった。
私「病名は?」
夫「センケイコンジローマ…」
私「尖閣の尖に土二つの圭か。あっ…だから泌尿器科行ってたのか!毛を抜いたら雑菌入ったみたいな話だったけど嘘じゃん。泌尿器科に送り迎えした私の優しさを返せ」
親友「(検索しながら)尖圭コンジローマって完治まで長いし感染させやすいやつだね」
私「性病に罹ってるのに嘘の検査結果をツイートしてたの?」
夫「…………ウソデハ……」
私「でも検体自分で採取する検査だし、不正はし放題だよね。しかも罹患したのは知ってた訳で、たまたま検査項目に入っていなかったから都合よくクリーンを装ったと」
夫「………………」
私「アウトです」
アウトをまとめると
その後も「聞こえないんですけど」「嘘ですよね」と小言を挟みつつ聞き取りを続け、3時間ほどの本人の供述をまとめると以下となる。
もうここまでで2時間くらい経っていた。親友は既に4時間以上付き合ってくれている計算になる。ここまで判明した上で、決めなければいけないのは「今日夫をどうするか」だ。
私「とりあえず、君が供述した概要については分かりました。アカウントも管理させてもらうことになりました。で、これからどうするかなんだけど」
夫「………………」
私「可哀想だけど、あなたの両親にお伝えするしかないと思うんだよね」
今まで微動だにしなかった夫が、初めて肩をビクッと振るわせたのが分かった。
さて、またもや韓ドラの13話頃のような展開ですが、5,000文字を超えたので、記事を分けたいと思います。こんな息子を世に送り出した義両親はいったいどのような人物なのか、お楽しみに!
(続き公開しました!こちらからどうぞ!)