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なりたい自分リスト vs できないことリスト

なりたい自分リスト、できないことリスト

 仕事が上手くいかないと、焦り、ストレスに繋がりやすい。ストレスが重なると自分はもう何も出来ないダメな子で、この目の前の仕事を回避したほうが良い(自分なんかがやってちゃダメだ)と思うようになる。真面目な人ほどそうなる。

 なぜなら、真面目な人ほど理想の状態をきちんと思い描いているからだ。どうありたいか、何ができるようになるべきか、リストをつくったりする。このなりたい自分リストが思いの外、仕事の熟達を阻む。

 なりたい自分よりむしろ、自分のダメな状態、苦手でよくミスすることをリストアップしている方が仕事の成果には繋がりやすいと感じる。苦手に感じる自分の姿をイメージするのは嫌な人もいると思うが、できないことリストは人に見えるところに置いておくくらいが良い。周囲の自分への理解が自ずと深まる。

ドラッカー風エクササイズ(B面)

 「ドラッカー風エクササイズ」という、以下の質問にチームメンバーひとりひとりが答えて、周囲との期待調整行う取り組みがある。

・自分は何が得意なのか?
・どういうふうに仕事するか?
・自分が大切に思う価値は何か?
・チームメンバーは自分にどんな成果を期待していると思うか?

 これらの問いは、現実ではなく理想(こうありたい自分)を答えてしまいかねないところがある。自分は○○を得意になりたい、○○のように仕事したい、○○を大切な価値にしたい。

 これらの問いがA面(理想)だとしたら、ドラッカー風エクササイズにはB面があってもいいだろう。

・自分は何が得意なのか?
・どういうふうに仕事してしまうか?
・自分の地雷 (踏まれると爆発すること) は何か?
・むかしチームメンバーの期待に答えられなかった事件とは?

 B面は、できなかったこと、苦手なことをあらわにする問いだ。いきなりB面から音楽を聴く人があまりいないように、この問いもチームが集まる2回目以降などが良いだろう。

リメンバー○○

 なりたい自分リストの実現はたいてい時間がかかる。時間がかかるから、捉え続けていられるために列挙しているのだ。一方、できないことリストの打ち手には即効性があるものも考えることができる。

 例えば、どうしてもスケジュール管理が苦手で、細かいタスクを踏み抜き加減だとする。自分自身でスケジュール管理できるのは理想だが、自分がそうなろうとすることに時間を費やすのは常にコストパフォーマンス高いわけではない。自分が苦手なことを認め、受け入れ、自分ができるようになるのを優先するのではなく、問題を解決できることを優先する

 例えば、スケジュール管理の漏れによる問題が広がらないように、毎日朝会でチームメンバーの各自のやるべきことを棚卸しするようにしたり。本人が気づいて無くても他者が気づいてくれる可能性が高まる。本人のスケジュール管理能力はなかなか向上しないかもしれないが、チームとしてのリスクは下げられる。

 できないことリストは、これまでの自分をふりかえり、良い感じで抽象化し、まとめておく...必要はない。そのまま失敗した出来事、苦手なことを残すだけでいい。うまく言語化しよう、まとめようとすると、具体的には何に気をつけたらいいのかかえってわかりにくくなる恐れがある。

 できないことが言語化、共通理解になっているとこういうセリフが出てくる。(ミスに繋がりそうな状況に対して)「リメンバー○○(失敗したときのプロダクトや関係者の固有名詞)やで。」

 その時、少し時間が止まる。考え直す、捉え直す時間が出来る。

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