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忘年会をやることで「業績」は上がるのか?

🎅メリークリスマス!🎄
Asobicaアドベントカレンダー17日目の担当は、2023年4月からAsobicaで人事・広報をしている望月です。それまでは6年弱メルカリという会社にいました。なぜメルカリを辞めてAsobicaに入社したのか?とよく聞かれるので、それは以下をご覧いただけると嬉しいです。

ぼくは人事という職種なので、人・組織の切り口を通じてビジネスの成功確度をあげる(に貢献する)役割を期待されていると思っています。

では、どんな切り口があるのか?と言われると、絶対解はなく、なぜなら各社バリュー・カルチャー・事業などいわゆるOSが違うので、ワークする施策や制度も全然違います。

とはいえ、共通解もあり、会社にこういう土台・スタンスがないと、そもそもバリューやカルチャーを体現したくてもできないよというのを、ビズリーチ(現ビジョナル)、メルカリ、そしてAsobicaを通じて思ったことがあったので、そんな話を今回もします。

そんなの当たり前じゃね?とか、誰かが言ってたやつやんみたいなこともありますが、誰か一人の役にでも立てるのであればそれが本望なので、つらつらと書いていきます。


正しいことを言うのが仕事ではない。正しい方向に導くのが仕事である

まず、これは生前にビズリーチ社長の多田さんから言われた言葉です。

当時、IPOを意識しはじめ、勤怠管理の徹底をしていくフェーズでした。ぼくは人事および労務を管掌しており、これは法令違反になるとか、そもそも根本は過重労働にならないようにマネージャーが業務をコントロールすることが重要であるとか、ポジションとアクションを取らない正しい発言をしていて(いわゆる「べき論」を言ってて)、これにはなんの意味もないことに気づかせてくれました。

経営者はそんなの百も承知です。正しいことを言って、そうなんだ知らなかった、みたいなことは今までほとんどなかったです。そして、その上で、だけど実行できない理由がそこにはありました。

「べき論」の悪い副作用

このいわゆる「べき論」には悪い副作用があります。正論・べき論はいつも鋭く、ズバッと一刀両断に人の心を切り裂きます。言われた人にとっては、深い傷となります。これ以上傷つきたくないと防衛本能が働き、それ以降心を開いてくれるのは難しいと思います。

そうすると、何が起きるかというと、会議にイシューが上がってこなくなります。人は一生懸命、会議で怒られないよう資料を準備したり、理論武装して臨むんです。
これは人間の心理としてごくごく普通の動作であり、一方でこれが会社に蔓延すると、問題解決が一歩ずつ遅くなり、会社全体の生産性に大きく影響がでてきます。 

なので、べき論の前に、相手の発言の真意、抱えるジレンマを理解することが先だと気づきました。その結果正しい方向に動いてくれることが多くなりました。それが「急がば回れ」であることがわかりました。

正しいことを言わないで、正しい方向に導くこと

これを意識することで、その後ぼくはビジネスマンとして自分的には大きな飛躍を経験することになりました。

忘年会をやることで「業績」は上がるのか?

魚には適した水温や塩分濃度、潮流があるのと同じ

「べき論」の悪い副作用のように、人は本当に繊細だとつくづく思います。ゆえに、HRのベストプラクティスは常に組織文脈に依存すると思っています。HRとして価値を出すために組織の文脈に合わせてカメレオンのように同化し、文脈の中から変化を仕掛けていくことを狙っています。ただ、魚には適した水温や塩分濃度、潮流があるように、どんな人材でも適応できる範囲は限られていると思いますし、ベストパフォーマンスが発揮できる環境はある程度決まっているとも思います。だからこそ、「人の状態」というのを大事にしたいものです。

事業KPIに直結しない社内イベントの重要性

先週金曜にAsobicaは全社で忘年会を実施しました。その様子はこちらの記事をご覧ください。

忘年会をやることで「業績」は上がるのか?については、結論としてですが、「Yes」です。ここからは多少さくっといくので、あまりみなさんが期待した答えにならないかもですが、Asobicaでは事業KPIに直結しない社内イベント(HR的に言う組織開発の1つ)にも投資をしています。いくら戦略が良くても、実行する人がやる気なかったら意味ないというか、組織として出力が出ないと思っているからです。一人ひとりにアプローチしていくのを基本としつつも、ずっと一人で燃え続けられるほど人は強くないし繊細なので、「この人たちとやりたい、この人たちとならやれそう」というの作り、この会社の出力つまり「実行力」を高めるべきだと考えます。

そのために、会社全体が1つの内輪となり、仲間はずれができないよう、思い出の差分をなくすことを目的として、忘年会に全力投球してみました。きっとこれが組織の効力感を生み、時間をかけて考えた戦略の実行力を高めていけるポイントの1つだと考えています。正直こんなにコスパの良い投資はないです。

一方で、綺麗事ばかり言っててもつまらないと思うので言いますが、たかだか1回で効力感がすべての人に生まれることはなく、きっと人によってはまったく効果がでなかった人もいると思います。このお金があれば事業KPIの達成に向けて使いたい、そんな合理的判断もあるかと思います。
でも、だからといってこのイベントを無理矢理に何かしらの事業に直接紐付くKPIを定めると、企画を正当化するためにそのKPIに寄せた施策設計が始まります。どうしても色気を出してしまい、結果すべてが台無しとなり、その瞬間にその企画は死んでしまうような気がします。なので、事業KPIに直接紐付けないというのは、主目的をぶらさずに追うための仕組みであると、そして効果が高いんだと、HRが強く意思決定することが大事だと思っています。
ちなみに補足ですが、すべてのHR施策をこの考え方でやるべきだとはまったく思ってなく、しっかりと事業に紐付くKPIも設定しています。

誰も見てくれていない仕事ほど、寂しいものはない

成果を作るのは誰か?それは各メンバーです。事業計画やビジョンの達成を目指すのは当然ながら、働く人の豊かな人生の達成にも責任をもてる(働く人をないがしろにしない)会社でありたいです。「毎日の仕事が大変でも、会社に行くのが楽しみ。この人たちが好きだ。」これを実現したいです。

会社、特に経営やマネージャーの関心事はチームの成果かもしれませんが、メンバーの関心事は「評価」です。これは別に「会社や上長から評価されたくて仕事をしている」とかそういうことではないです。誰しも、きちんと誰かが見てくれているからこそがんばることができるんだと思いますし、自分ががんばった結果を誰かに見てもらい、それに対してのリアクションがほしいのです。誰も見てくれていない仕事ほど、寂しいものはないです。

忘年会のように組織の面へのアプローチと、地上戦であるメンバーの関心事に会社が全力で応えられない限り、良い戦略を作ったところで、実際に働く人は動かせないので、良い結果にならない、そう思っています。ゆえに、忘年会は1つのイベントにすぎないですが、事業KPIに直結しない社内イベントや人の関心事に向き合うことの重要性を強く感じますし、投資対効果が大きいので、事業戦略だけでなく企業文化への投資もおすすめします。

命を大事にするということ(年末のおまけ)

最後に、これは昨年も書いて反響が大きかったのと、大事な話なので改めて書きます。

みなさんは命を大事にしていますか?
今の日本の平均寿命は厚生労働省の2024年発表したものによると、女性87.14歳、男性81.09歳です。ぼくは今38歳なので、残り約43年であり、ぼくの人生は残り15,695日であり、残り376,680時間です。
つまり命とは時間であり、命を大事にするということは時間を大事にするということなんだと思います。

時間というものは大きくは2つあって、自分(一人だけ)の時間 と 人との時間です。自分(一人だけ)の時間の話は今日は割愛します。
人との時間において、ビジネスパーソンの大部分を占めるのが仕事の時間であり、多くの仕事は一人ではできないので、誰かと一緒にやることがほとんどだと思います。ここで忘れてはいけないことは自分の時間を使うと同時に他の人の時間も使っているということです。生産性のTipsも世に溢れてますが、その土台となるこの大切なスタンスをまずは忘れないようにしたいです。

だからこそ、会社全員と楽しい時間を過ごすというのは非常に貴重です。たかだか1回のイベントだなんて言わせません。なので、こちらも大好きなことを狂ったような熱量でやりきる気持ちでやってます。

そして、なにより年末は大切な人との時間に使うことをおすすめします。ぼくは実家に帰り親に会ってこようと思います。だいたい今は年に1回は実家に帰るようにしています。
ぼくの親ももう若くはないのであと15年(長くても20年)は元気でいてくれるかなぁと。つまりぼくは親にあと15回、多くても20回会えるかどうかなんだと。
スタートアップに身を寄せてる人たちは日々忙しいと思いますが(スタートアップでなくてもビジネスパーソンはみな)、どれだけ仕事が忙しくてもどんな事情があっても大切な人との時間は大事にしてほしいなと思います。

忘年会を全力で企画したら、なんとなくこんなことを書きたくなってしまいました。まとまりのないnoteになってしまったかもですが、また気が向いたら書きたいと思います。よかったらAsobicaいう会社・coorumいうプロダクトにも興味もってもらえると嬉しいです。(詳細は以下Company Deckをご覧ください)話ししたい、情報交換したい方はぜひXへのDMなど遠慮なくご連絡ください。

さぁ今年も残り僅か、走り切るとともに、来年もがんばっていきましょう!


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