2024年に読んだ中での「イチオシのビジネス書」7冊
今年も300冊以上の本を読みまして、数多くの良書と出会う1年になりました。
300冊中150冊くらいは最近出た本。2023年10月以降に出版された本が、今年読んだ本の半分を占めています。
残りの150冊は様々。古典もあれば、技術書もあれば、不動産など資産運用の本などを読み漁りました。
漫画もいれると、たぶん400冊はこえるくらい、読書大好き人間でございます。
で、今回は恒例行事として、1で述べた「最近出た本」の中から、イチオシ本をご紹介いたします。
・ここ1年で出版された本を150冊ちかく読んでいる
・本の読み方の本『投資としての読書』まで出版している
・読んだ本を毎日X(Twitter)で紹介している
こんな物好きもそういないでしょうから、「最近出た本でどれがオススメ?」という疑問には、それなりに良い感じの回答ができるんじゃないかと。
てことで、今年も書きました。
2024年に読んだ中での「イチオシのビジネス書」7冊
※2023年版が気になる方は、↓もご覧いただければと。
イチオシのビジネス書をどうやって選ぶか?
いきなり「この本がオススメです、どうぞ!」と言ったところで、説得力の欠片もありませんので、選書の考え方を先に述べておきます。
どのジャンルの本を選定するか?(ぜんぶ自己啓発本です!だと脳筋感がすごいんで、幅広いジャンルを選びたいなと)
どの基準で評価するか?
「さっさと7冊を教えてくれ」「またいつもの話か」と思われた方は、この話は飛ばしてもらって構いません。
ビジネス戦闘力を構成する「5つの力」に沿って本を選定
ビジネス書を何のために読むか?
それは、ビジネス戦闘力を高めるためです。
では、ビジネス戦闘力とは何か?
まず大別すると
スキルセット
マインドセット
この2つに分けられる。ここは、あまり異論ないでしょう。
スキルセットを分類している文献なり本はたくさんあります。
個人的に一番シンプルでわかりやすいと思うのは「カッツモデル」ですかね。アメリカの経済学者ロバート・L・カッツ氏が1950年代に提唱したといわれる、あれですね。
カッツ氏によると、マネジメントには「コンセプチュアルスキル」「ヒューマンスキル」「テクニカルスキル」の3つが必要だそうで。
ただ、横文字は苦手なのもあり、私は次のように理解するようにしています。
コンセプチュアルスキル→問題発見&解決力
ヒューマンスキル→人を動かす力
テクニカルスキル→知識運用力
次にマインドセットについて。
ここは「プロフェッショナル意識」とか「キャリア構築」とか「心身を健康に」など様々な概念を含みます。
これらをまとめて「自分をリードする力」とラベリングしておきます。
また、スキルとマインドに跨る話として「学ぶ力」も見逃せません。
マイケル・オズボーン教授が2030年に必要なスキル1位に掲げた「戦略的学習力」しかり、
OECDが「Future of Education and Skills2030プロジェクト」なるもので超大事!と言っていた「ラーニングコンパス」しかり。
「学ぶ力」を入れておかないと、世界中からバッシングをくらいそうです。入れておきましょう。
以上の話を整理してですね、「ビジネス戦闘力」を次の5つにまとめてみました。
自分をリードする力
問題発見&解決力
人を動かす力
知識運用力
学ぶ力
うん、キレイな逆三角形(自分で言ってしまった)。
この5ジャンルでイチオシの本を選定していきます。
「わかりやすさ×深さ」のモノサシで評価しました
当たり前ですが、ビジネス書は「わかりやすくて、深くてなんぼ」ですよね。
わかりにくくて浅い本は論外
わかりにくくて深い本は学術書
わかりやすくて浅い本は綿菓子
有象無象の中から「わかりやすくて深い本=栄養価の高い本」を引き当てるために、いつも血眼になって本屋を徘徊しております。
まず、わかりやすさを測るときは、以下の2点をチェックしています。
本の内容が「体系的」に分解・整理されているか?・・・目次を読んでチェック
中学生や高校生でもわかる表現で書かれているか?・・・3ページくらい読んでみて、言い回しをチェック
次に、深さをチェックするときは、コンサルティングファームでの学びを応用して、本に対して「So what?」「Why so?」「How?」と突っ込みを入れるようにしています。
他の本にない「あっと驚く洞察」がなされているか?(So what?)
主張の論拠は十分か?ツッコミどころが多すぎないか?理論やデータに支えられているか?(Why so?)
明日からすぐ実践できるレベルで具体的に記されているか?(How?)
この「わかりやすさ×深さ」の基準でダントツで高評価の本を7冊選定いたしました。
もう一度おさらいしておくと、次の5部門で選定しました。
自分をリードする力
問題発見&解決力
人を動かす力
知識運用力
学ぶ力
では、1冊目をご紹介いたします。
①「自分をリードする力」部門
『自分とか、ないから。』
「自分らしさとは何だろう?」
「もっと自分に合った仕事をしたい」
と思いますよね。
当然です。
就職活動でも
「志望動機は?なんでA社でもB社でもなくウチなの?」
「で、君の強みは?いやいや、スキルとかじゃなく、君のもっと根源的な強みだよ」
「あれれ、自己分析たりてなくね?うぉううぉう?」
と、ネチネチと言われますからね。
「自分探しをする=正解」と誰もが思って当然です。
しかし、私たちの根本思想を成している(はずの)東洋哲学を紐解いてみると、↑の考えが見事に間違っていることがわかります。
そのことを教えてくれるのが『自分とか、ないから。』という本です。
東洋哲学と聞くと、漢字まみれの難しい印象がありますが、本書はビックリするくらい面白いです。
いきなり本を読むのが億劫な人は、著者の↓のnoteだけでも読んでみてください。
東洋哲学をこんなにも面白ろおかしく表現できるのは、後にも先にも、この著者くらいしかいないんじゃなかろうか。
それくらい、クソ面白いです。
ちなみに僕なりに「自分なんてない」とはどういうことか、雑な理解を書いておくと。
そのへんの見知らぬおじいちゃんが、海でおしっこしている
そのおしっこを飲んだ魚が釣り上げられ、スーパーの刺身エリアに並んでいる
その刺身を「うめーうめー」と言いながら、僕は食べている
僕の身体の一部は、1で述べたおじいちゃんのおしっこで構成されている
みたいな話の積み重ねによって、僕という人間が存在しているのです。
バスとか電車で近くに座っている赤ちゃんやらオジサンやらオバサンやらが吐いている息を、僕は吸わせていただいて生きている。
僕という人間は、他者の身体の一部たちの集合よって成り立っている。
他者の身体もまた、僕の一部が入り込んでしまっている。
この話を読んで「うわ、きっしょ」と思ったあなたの身体の一部にも、僕が紛れ込んでいるのかもしれない。
わたしはあなたで、あなたはわたしなんですよ。
よって、自分なんてないわけです。
・・・みたいに思えてくると、何が嬉しいか。
イライラしなくなるんですよね。
職場で同僚がクソみたいなミスをしたとしても、
「でも、コイツもおれの一部だからな。コイツのおかげで生きてるんだもんな」
と思えると、全然イライラしなくなります。
「嘘だ」
と思ったでしょ。
そう思った方は、ぜひ本書を読んでみてください。
ビビるくらい面白いです。
Xでも、この反応ですからね。
もう表紙から面白さがにじみ出てしまっている。
ぜひ、読んでみてください。
『「好き」を言語化する技術』
自分の好き嫌いをちゃんと言語化する。
これができないと、自己認識力は上げようがありません。
自分のことをちゃんと言語化できないやつが、「他者から自分がどう見えているか」なんて言語化できるわけがない。
では、自分の好き嫌いをちゃんと言語化できているかどうか、ってどうやってわかるのか。
簡単です。
「最近ハマっていることなに?」
「何がそんなに楽しいの?」
と聞いてみてください。
「最近はキングダムにハマってるんだよね~」
「何がそんなに面白いの?」
と聞いてみてください。
「ん、なんかすげーじゃん」
「いや、まあ、面白いよね」
みたいな薄っぺらい回答が返ってくるのか。
もしくは「各武将の考え方が仕事にも活きるのが面白いよね。例えば、媧燐将軍の"目的は将軍の首じゃなくて函谷関の突破でしょ"と言って、正しい目的を設定するシーンあるやん?あれとか、目的の正しい置き方を学ばされるよね」くらい言語化した回答が返ってくるのか。
後者のほうがカッコよくないですか?
「うん、そうよね」と思ってくださった方にオススメしたいのが『「好き」を言語化する技術』って本です。
ちなみに本書を読んでみて、自分の好き嫌いを言語化する方法ってこんな感じかしら?とフローチャートを書いてみたものがこちら。
詳しくはこちらの記事でも解説を書いていますので、よろしければご一読くださいませ。
②「問題発見&解決力」部門:『センスのよい考えには、「型」がある』
この部門の本も何冊か読みましたが、「問題解決」のテーマは語りつくされているだけあって、新しくて良い本と出会うのは難しかったです。
一方で「問題発見」をちゃんと語ってくれている良書はまだ少ないんですよ。
・問いを立てることが大事
・自分の違和感を大切に
くらいしか述べていない本が多いこと多いこと。
しかしそんな中、群を抜いて素晴らしい本が最近出ました。
『センスのよい考えには、「型」がある』という本です。
あまりに素晴らしかったので、本書のメモ書きは大切にnotionに格納しています。手書きで恐縮ですが、こちらにも載せておきます。
簡単にテキストでも、本書から学んだことを書いておきます。
まず、本書のテーマは「インサイト(人を動かす隠れたホンネ)の見つけ方」です。
例えば「エレベーターの待ち時間が長いことへの不満」を解消するために、エレベーターを増やすのではなく、エレベーターの前に鏡を置いて解決を図ろうとする。すると、エレベーターを待っている人の隠れたホンネ「待っている時間が暇すぎる」を解消できる。・・・みたいな効果が期待できる。
これが、インサイトを見つける利点です。
では、どうやってインサイトを見つけるか。
日常の違和感に目を向ける
どんな「常識」に対して違和感を抱いたのか、言葉にしてみる
常識の裏側にはどんなホンネが隠れていそうか、探る
隠れたホンネを言語化する
自分の言葉をみんなに信じてもらう
と、大きくはこの手順で、インサイトを見つけていきます。
では、各手順で、具体的に何をすればいいのか?
その答えが、ビッシリと言語化されているのが本書です。
電通の一流マーケターがどうやってインサイトを見つけているのか。
これまで暗黙知として、限られた天才した持ちえなかった特殊能力が、きちんと手順化されている、稀有な一冊です。
③「人を動かす力」部門
『「人の器」を測るとはどういうことか』
続いてはこの本。
「器が大きい人になりたいですか?」と聞かれたら、みんな「Yes」って答えますよね。
器を大きくしたい人は、この本を読みましょう。
この本は、成人発達理論を専門としているオットー・ラスキー博士の著書です。
ちなみに成人発達理論は「大人になったあと、物事の捉え方がどのように成長するか」を示した理論のこと。
例えば、部下がミスを起こしたときに
・「何やってんだお前は」と激怒する人
・部下のミスは上司である自分の責任だと捉えて建設的に対処する人
…前者は器が小さい人、後者は器が大きい人なわけですが、この両者の違いがどこにあるか、成人発達理論を使えば説明可能です。
では、この本はいったい何を教えてくれるかというと、
・人の器を測定するためのインタビュー手法
・人の器を大きくするためのコーチング手法
…を教えてくれます。
ちなみに「人の器≒人間の発達段階」を私なりに図解したものがこちら。
簡単にテキストでもメモしておくと、
発達段階2:手段・道具的段階
まず、他者のことは、自己の欲求を満たすための道具・手段としか思っていない段階。また、弱肉強食の価値観の持ち主である。
このリーダーを経て、「自分の思いを押し通す推進力」「はっきりと発言する力」「譲らない強い意志」を養うことができる。
発達段階3:他者依存段階
他者のことを、自己イメージを形成するために必要なものと捉えている段階。言い換えれば、周囲に依存して、自己イメージを形成させているともいえる。
この段階は、コミュニティを重視する価値観である。このリーダーを経て、「他者の気持ち・思考パターン推察する力」「空気を読む力」「角が立たない言動」を養うことができる。
発達段階4:自己著述段階
このリーダーは、他者のことを、協力者、同僚・仲間だと捉えている。
この段階に到達すると、「独自の価値体系=理念」「考えを言語化する力」「全体最適の視点」「巻き込み力」「向上心」「自己信頼」を養うことができる。
発達段階5:自己認識段階
この段階まで来ると、他者のことを、自己の変容に貢献するものと捉えるようになる。価値観としては、「人間性・慈悲心」といった精神を持っている。
このリーダーになると、「個と全体の双方の可能性を最大限に引き出す力」「その瞬間瞬間と共にいる力」「常に目の前の人と出会い直す力」「新しい自己への好奇心」を養うことができる。
じゃあ、自分や周りのメンバーがどの段階にいて、どうやって各段階へと器を高めていけばよいのか。
その答えについて、488ページに渡って書かれた本です。
『コンサルが「マネージャー時代」に学ぶコト』
コンサルのマネージャーと言えばウルトラマンとアイアンマンの掛け合わせみたいなもんで。ウルトラマン並みに何でも何とかしてくれますし、アイアンマン並みの耐久力を兼ね備えてます。
早朝だろうが、夜中だろうが、資料のレビュー依頼をメールで送信したら、数分後に返信が返ってくる
クライアントに超怒られても何とか鎮火してくれる
遅延しまくって炎上しているプロジェクトだろうと、何とか着地させてくれる
一緒に働いてみて、すごいなと心から思うマネージャーはそんな方々でした。
いったいどうすれば、そんな「ビジネス戦闘力お化けなマネージャー」になれるんだ?
この疑問に答えてくれるのが、この本です。
ちなみにこの本の魅力について、著者と対談させていただいた動画もありますので、よろしければ視聴くださいまし。
④「知識運用力」部門:『BIG THINGS』
「考えるより、まず行動することが大事」
「やってみないことには、わからないよね」
僕、これらの言葉が大嫌いなんですよ。
何かの企画会議で議論しているときに「ま、やってみないとわからないので」を理由に押し通してくる不届き者をたまに見かけるのですが、ああいう輩をどうにかできないものかと。
そんな折に、素晴らしい本と出会いました。
『BIG THINGS どデカいことを成し遂げたヤツらはなにをしたのか?』です。
一言でいえば「これ知らなきゃ、プロジェクトは絶対炎上するよな」と思える原理原則が詰まった本。まさにプロジェクトの必須教養本。
世界中の巨大プロジェクトを1万6000件以上も調べ上げ、プロジェクトが失敗する原因を徹底的に分析して書かれています。
そんな本書から学んだ教訓が3つあります。
原則①「ゆっくり考え、すばやく動け」
「ゆっくり考え、すばやく動く」
おそらく、本書で一番登場したキーワードです。
即決即断とか、すぐ行動することは、よく美徳として扱われがち。
しかし本書では、大規模プロジェクトを進めるにあたっては、すぐ決めるのは危険であり、すぐ決めたがるのは人間の弱さゆえだと指摘されています。
流されることなく
・その意思決定は、可逆的(=あと戻し可能)かどうか?
・明日できることは、今日やらない
を貫くことが大事です。
原則②「何をやるか」でなく「なぜやるか?」から考える
当たり前ですが、いきなり「このシステムを導入するプロジェクトをスタートしよう」とはなりません。
プロジェクトは目的ではなく、手段だからです。
必ず「〇〇という目的を達成したい。その手段として、○○システム導入プロジェクトをスタートする」という言葉の順番になるはず。
「目的は何か?」と聞かれてスラスラとシンプルな回答が返ってくる状態になるまで、目的を考え抜かねばなりません。
原則③「経験」を軽視しない
「若いけど、そろそろ○○さんには経験を積んでもらうために、あのプロジェクトのリーダーを担当してもらおう」
「営業で素晴らしい成績を残した○○さんに、新サービス立ち上げプロジェクトを任せよう」
…みたいな人選はアウト。
プロジェクトの責任者は「類似したプロジェクトのかじ取りを経験したことがある人」を選ぶべし。
以上の教訓を刻み込んでくれた、素敵な良書です。
⑤「学ぶ力」部門:『科学的根拠に基づく最高の勉強法』
勉強法の本は数多く存在しますが、その中でも「試してみて効果絶大だった本」がこちら。
例えば、本書で紹介されている「白紙勉強法」というものがありまして。
本を読んだあとは、その本を閉じて、学んだことを何も見ずにノートに書き出してみる。
「この本では、こういうことを言っていて~」と声に出しながら、学びを書き出していく。
そうすると、本で学んだことが自分の脳ミソに刻み込まれるんですよ。ビックリするくらい。
詳しくは、以下の記事(今年一番気合を入れて書いた記事)でも解説していますので、よろしければ。
まとめ:今回ご紹介した本
最後に、今回紹介した本をまとめておきます。
今年も素晴らしい本との出会いがたくさんあり、幸せな一年でした。
来年も身銭を切って、大量に本を読みまして、良かった本だけをお届けしますので、引き続き応援のほどよろしくお願いいたします!
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