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240Hzで応答速度0.4msの24.5型IPS液晶を検証!PS5も120Hzで繋がるゲーミングディスプレイ
~iiyama「G-MASTER GB2590HSU-2」レビュー
2021年9月29日 09:50
「G-Tune」のマウスコンピューターによるゲーミングディスプレイ
マウスコンピューターから、iiyamaブランドの24.5型ゲーミング液晶ディスプレイ「G-MASTER GB2590HSU-2」が発売された。価格は6万5,800円。本機はIPSパネルを採用し、以前はゲーミングディスプレイによく使われていたTNパネルと比べて、視野角などで優れる反面、応答速度に劣るとされている。しかし本機の応答速度は0.4ms(MPRT)とし、高速さを売りにしている。またリフレッシュレートは最大240Hzで、FreeSync Premiumにも対応する。
さらに可動域の広いスタンドも特徴で、ゲーム以外の用途にも活用の幅がありそうだ。その辺りも含め、実機を触って確かめていきたい。
スピーカー内蔵でPS5もすぐに繋がる
まずは本機の主なスペックを確認しておこう。
【表1】G-MASTER GB2590HSU-2のスペック | |
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パネルサイズ | 24.5型 |
パネル解像度 | 1,920×1,080ドット |
パネル種類 | IPS、非光沢液晶 |
最大表示色 | 約1,670万色 |
リフレッシュレート | 48~240Hz(FreeSync Premium対応) |
応答速度 | 0.4ms(MPRT: Moving Picture Response Time) |
視野角 | 上下左右178度 |
輝度 | 400cd/平方m |
コントラスト比 | 1,000:1(標準)、12,000,000:1(ACR機能時) |
映像入力 | DisplayPort、HDMI |
その他端子 | USB 3.0×3(1基はアップストリーム)、ヘッドフォン端子 |
スピーカー | 2W×2 |
消費電力 | 25W(最大50W)、0.5W(スタンバイモード時) |
本体サイズ(幅×奥行き×高さ) | 約557.5×210×370~500mm |
重量 | 5kg |
価格 | 6万5,800円 |
24.5型でフルHDという標準的なサイズ。本機の特徴はやはり広視野角のIPSパネルでありながら、応答速度0.4msという高速応答性と、FreeSync Premium対応で240Hzのハイリフレッシュレートに対応すること。応答速度に関しては、6段階に調整できるオーバードライブ回路を用いたものとされており、この設定による応答速度の違いやオーバーシュートの有無なども気になるところだ。
映像入力はDisplayPortとHDMIが1基ずつ。ステレオスピーカーを内蔵しているので、PlayStation 5(PS5)などハイリフレッシュレートに対応したゲーム機を接続するのにも適している。DisplayPortとHDMIのケーブルは各1本同梱されているほか、USBハブ機能のためのUSBケーブルも1本同梱されている。
本体サイズは24.5型としては標準的。重量は5kgで、箱からの取り出しやスタンドの組み立ては筆者1人で全く苦労しないサイズだった。
可動域の広い独特な形状のスタンド
次に実機の外観を見ていくと、スタンドの土台が四角いプレート状になっているのが特徴。一般的なディスプレイでよく見る細身の足が伸びるような形状のものと比べて若干の野暮ったさを感じなくもないが、軽いわりには安定感がある。
プレートのサイズは実測で238×207mmと小さい。また土台部分の高さは約9mmで、キーボードの足を立てれば土台と重なるように置いても使えるので、ディスプレイを近付けて使いたい人にも向いている。
液晶部分は3辺フレームレスデザインで、上と左右の非表示部分は外枠を含めて約6mm。外枠とパネルの段差もわずかで、スマートな外見だ。
本機の売りの1つである、スタンドの可動域の広さもチェックしてみる。画面の高さの調整幅は130mm(最上部の高さは370~500mm)、左右の回転角度は左右45度と広い。さらに上下の角度調整も上に22度、下に5度あり、高さや向きはかなり自由に変えられる。
さらに画面は時計回りの方向に90度回転でき、縦長表示にも対応する。縦長表示時に画面を下げると途中で土台に当たってしまうので、勢いよく下げないよう注意が必要だが、上下左右の角度調整は横長表示時と同じように使える。ゲーム用途だけであればこれほど広い可動域は要らないかもしれないが、テレワーク用のディスプレイなど活用範囲が広い人には便利だ。
ディスプレイ背面の端子部は、全て下向きに配置されている。端子は電源、ヘッドフォン端子、HDMI、DisplayPort、USB 3.0×3(1基はアップストリーム)。USBハブ機能は便利かなと思ったが、背面に手を差し入れて抜き差しするにはかなり不便な位置にある。キーボードやマウスなど、繋いだままにするデバイスの接続には良さそうだ。
応答速度は実測でも1フレーム程度
次に実際の使用感を見ていこう。画面は上下左右どこからも視野角がとても広く、色の破綻もない。表面の非光沢処理はかなり強めで、輝度も十分に高く、映り込みはほとんど気にならない。強いて言えば、設定で輝度を最低にしてもそこそこ明るいので、かなり暗めの画面で使いたい人には不向きかもしれない。
色味は若干淡いかなと感じなくもないが、コントラストは高く、くっきりした映像が出ている。さらに設定でシャープネスを6段階に設定できるほか、超解像技術で輪郭を強調するX-Res Technologyの設定も4段階で可能だ。
応答速度に関しては、カメラのシャッター速度を1/4,000秒にして画面を撮影した。リフレッシュレートを最高の240Hzにし、「フォートナイト」のフレームレートを240fpsとした画面をすばやく左右に動かしたものを撮影している。
オーバードライブの設定を無効にして撮影すると、前後1フレームの映像がうっすら見える状態が多く、1フレーム内でほぼ書き換え終わっているのが分かる。240Hzの1フレーム前は時間で言えば約4msなので、オーバードライブなしでも4ms程度の応答速度はあると感じる。
次にオーバードライブの設定を最強の5にした状態で試すと、現在フレームがくっきり表示される反面、本来より黒っぽい色になっている部分があるほか、前後フレームが白っぽく残っているシーンも見られた。おそらく若干のアンダーシュートやオーバーシュートが出ているものと思われる。
実際に目で見た感覚では、オーバードライブをオフにした時は滑らかな動きに見え、5に設定するとくっきりした残像が見えるように感じる。5に設定した方が瞬発力を求められるゲーム的には有利だと思うが、残像感が気になるならオーバードライブを弱めにすることも考えるといい。
またフリーソフト「LCD Delay Checker」でも撮影してみると、オーバードライブ設定を5にするとタイムカウント部分に黒い残像が出ているのが確認でき、アンダーシュートが出ているのが分かる。描画の切り替え自体は200fpsを超える状態で1フレームもかかっておらず、ハイリフレッシュレートを活かせる応答速度であることは確かだ。
HDRに関しては、本機のスペックシートにHDR対応に関する言及はないのだが、Windows 10のWindows HD Colorの設定を開くと、HDRがオンにできる。また本機の設定画面にある表示情報の項目でも、HDRの項目があることを確認できた。これらの挙動からして、少なくともHDRのインプットには対応しているようだ。
PS5を本機付属のHDMIケーブルで接続すると、こちらも本機の表示情報でHDRがオンになっていることを確認できた。また120Hz表示に対応したゲーム「フォートナイト」をプレイしたところ、本機の表示情報で120Hz入力になっており、ゲーム内のフレームレート表示も120Hz前後になっていた。サウンドも内蔵スピーカーから再生できており、本機とPS5でフルHD/120Hzのプレイ環境が整う。
スピーカーはパネル裏の基板部分に内蔵されているようだ。音を出してみると、パネル越しになるせいか、ややこもり気味の音が聞こえる。音質は中高音はしっかり出ているが、低音はほとんど出ておらず、小型スピーカーにありがちな音がする。
人の声はクリアに聞こえるので、ゲームや動画鑑賞の音をとりあえず聞く分には十分だが、音楽鑑賞に使うには音質が軽い。ステレオ感もほとんどないので、FPSなどで音を情報として取りたい場合はヘッドフォンなどを別途用意した方がいい。ただボリュームはかなり大きくでき、音量不足で困ることはなさそうだ。
ゲームにも仕事にも使いやすく、5年保証で安心
本機はハイリフレッシュレートと高速応答性を兼ね備えつつ、広視野角のIPSパネルを採用しているのが特徴だ。その中で最大の懸念点である高速応答性については、そもそもオーバードライブなしでも良好で満足のいくレベル。オーバードライブ設定で、より好みの見え方を選べると考えていいだろう。
PS5でも120Hzで表示でき、HDRの入力もでき、スピーカーも内蔵しているので、フルHDでハイリフレッシュレート環境が欲しいという人にはこれ1台で全部整うパッケージになっている。もっともサウンド面はとりあえず鳴る程度なので、音にこだわるなら別途スピーカーを用意した方がいい。ライン出力端子があるので音の取り出しは可能だ。
マウスコンピューターはゲーミングPCブランド「G-Tune」を展開しており、高性能なゲーミングPCと同時にゲーミングディスプレイも購入したいという人は多いはず。4K表示が可能なディスプレイも増えてきており製品選びは悩ましいが、ハイリフレッシュレート対応ディスプレイという選択肢が1つ増えるのは素直に歓迎できる。
また本機を購入後、3カ月以内にユーザー登録を済ませると、無償保証期間が通常の3年に2年分足されて、計5年となる。5年あればPCやゲーム機も概ね代替わりすることを思えば、4Kや8Kといった製品も見える昨今、ゲーマー的には十分な安心感が得られると思う。
製品としては不満を覚える点もなく、選んで間違いのないハイリフレッシュレート対応ディスプレイと言える。6万円台半ばという価格も性能からすると無難なライン。可動域の広いスタンドもあるので、ゲームはもちろん、仕事などほかの用途もあるという方には特におすすめできる製品だ。