理研が次世代スーパーコンピュータ「富岳NEXT」を発表 生成AIを意識

理化学研究所は、AI活用を強化した次世代スーパーコンピュータ「富岳NEXT」の開発を開始した。科学的仮説生成の自動化や実証を高度化し、国内外の研究や産業界に向けて最高水準の計算基盤を提供することを目指す。

» 2025年01月27日 10時00分 公開
[後藤大地有限会社オングス]

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 理化学研究所は2025年1月22日、スーパーコンピュータ「富岳」の次世代機である「富岳NEXT」の開発を始めたと発表した。

 「富岳NEXT」は、従来のスーパーコンピュータがこれまで追求してきたシミュレーション性能に加え、AIの活用を強化し、科学的な仮説生成や実証を自動化、高度化する「AI for Science」の実現を目指す。国内外の研究者や産業界に対して世界最高水準の計算基盤を提供することを目標としている。

富岳の5〜10倍以上の実効性能を目指す

 理研はこれまでスーパーコンピュータ「京」や「富岳」の運用を通じて培った経験を生かし、「富岳NEXT」においても社会ニーズに応える革新的な計算基盤を実現するとしている。電力効率の向上やGPU等の加速技術の導入を図り、「富岳」と比較して5〜10倍以上の実効性能を達成することを目指す。またAIの学習や推論に必要な性能に関しても、50EFLOPS以上の実行性能を実現する計画を立てている。

 理研は「富岳NEXT」の開発方針として、「技術革新」「持続性/継続性」「Made with JAPAN」を掲げている。技術革新ではAI技術の飛躍的な発展を促す新しいノードアーキテクチャやメモリ技術を導入し、従来の数十倍から数百倍のアプリケーション性能向上を図る。持続性の面では既存のエコシステムとの親和性を保ちつつ、長期的な運用環境を整備する。さらに「Made with JAPAN」として国産技術の高度化や国際的な協調を推進し、グローバル市場における競争力強化を目指す。

 同プロジェクトの推進にあたり、2025年4月1日に理研計算科学研究センターに「次世代計算基盤開発部門」を新設し、国内外の大学や研究機関、民間企業との連携を強化する。「富岳NEXT」はAIとシミュレーションの統合を推進し、産業競争力の強化や社会的課題の解決を支える重要な計算資源としての役割を果たすことが期待されている。

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