MACO、人生を慈しむように届けた愛の歌 2年半ぶりのワンマンライブは真っすぐな想い溢れる空間に

MACO、2年半ぶりのワンマンライブレポ

 今年の5月に所属事務所からの独立を発表したシンガーソングライター、MACOによる約2年半ぶりのワンマンライブ『MACO~MY LIFE, MY LOVE LIVE 2024~』が、12月15日に科学技術館 サイエンスホールにて開催された。

 10月30日にリリースされた約1年ぶりの新曲「MY LIFE, MY LOVE」をタイトルに掲げた本公演。独立を果たして「これが最後の人生でいいな」と思えるようになったMACOが、「私の人生は愛で出来ている」をコンセプトに、愛の伝道師として高揚感溢れる空間を作り出した。

 般若の「INTRO」がSEとして流れ始めると、オーディエンスはグッと前のめりに。場内が暗くなるにつれ、この日のために用意されたハート型のプレートライトが、それぞれの胸元で輝き始めた。ステージが一気にパッと明るくなると、白いワンピースに黒のジャケットを羽織ったMACOが登場した。

 『FIRST KISS TOUR 2016』でもオープニングを飾った「Don’t You Know I Love U」を投下し、清々しくライブがスタート。久しぶりのワンマンライブにも関わらず、その表情は自信に満ち溢れていて、全くブランクを感じさせない。なんなら「もっと手を上に挙げて」と観客を煽り、強気にライブを先導していく。「恋人同士」ではダンサーを呼びこみ、可憐な歌声を響かせながら軽やかにダンス。「夢見る私を笑わないで」になると、クラップを巻き起こし、冒頭からフルギアのパフォーマンスを展開していった。

 MCで「改めまして、シンガーソングライターのMACOです」と口火を切ると、客席の至るところから「おかえり!」の声が。集まったファンへ独立を報告した際には、大きな拍手が彼女を包みこんだ。その後は開演時刻が押した理由を説明したり、水星逆行について語ったり、「バニラ求人テーマソング」を口ずさんだりと、何にも縛られなくなったMACOは、まさにやりたい放題。クルクルと表情を変えながら、友達のような距離感で客席とコミュニケーションを取っていった。

 コミカルなやり取りを引き継いだまま、ポップなナンバーが続くのかと思いきや、「7月7日の今夜」をドロップし、ここまでと一味違うしっとりした雰囲気へ。特定の誰かを懐かしむように、その人と過ごした日々を愛しむように、繊細に歌声を響かせる。口元に手を当てる振り付けがキュートな「under the rose」、フォーキーなグルーヴが温かい「人間活動の80%」と、2016年リリースのアルバム『love letter』に収録された楽曲を中心に進めていく。

 「尖っているから、12月だけど絶対にクリスマスソングは歌わないって思ってたの。でも、いい曲を見つけた」と告げ、導かれたのは「マフラー」。言葉一つひとつを丁寧に放っていく様は、歌を紡ぎ上げると称するにふさわしい。〈世界でたったひとつの/宝物を愛していたい〉と、真っすぐに想いを伝えた。

 「あなたの彼女」ではふとした瞬間の吐息に漏れ出る感情を乗せ、「日記」ではセリフのように歌詞を落とす。ともすれば、表現が似通ってしまうバラードというジャンルでも、曲の雰囲気を繊細に掴み、情景を描き出す姿はまさにラブソングの女王。メロディを紡ぐ心地よい熱に魅せられ、観客たちはうっとりとした様子でステージを見つめていた。

 しかしながら、しとやかに惹きつけただけでは終わらないのが、MACOスタイル。「このへんで、声を出しておきますか」と焚きつけ、コール&レスポンスを繰り広げる。そして、歌っていても聴いていても自分が強く優しくなれる曲だという「NATURAL LOVE」へ繋いだ。体の軸でリズムを捉えながら、伸び伸びとステージングする姿からは、彼女自身が心底楽しんでいることが伝わってくる。MCを挟み「恋蛍」「手紙」と連投し、穏やかに前半セクションを締めくくった。

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