茅島みずきは天才・黒川あかねにどう挑んだ? 『【推しの子】』原作ファンだからこその覚悟
11月28日21時よりPrime Videoでドラマシリーズが世界独占配信され、その続きを描く映画『【推しの子】-The Final Act-』が12月20日に公開される『【推しの子】』。赤坂アカと横槍メンゴによる原作が累計1,800万部以上を売り上げ、アニメ第2期の放送でも盛り上がっている本作の実写映像化に注目が向けられるのも当然だ。そんな本作で黒川あかね役を演じる茅島みずきに、自身の役に対する思いから『【推しの子】』に参加するうえでの覚悟、作品の“リアルさ”について話を聞いた。(アナイス(ANAIS))
「あかねちゃんは、自分とは正反対」
――『【推しの子】』は、国内はもちろん世界的に注目されている作品ですが、本作にキャスティングされた時のお気持ちは?
茅島みずき(以下、茅島):自分も原作を読んでいて、一ファンとしてすごく楽しんでいた作品でした。それがまさかドラマ&映画化されるのかという驚きもありましたし、「自分も出演できるなんて」とお話を聞いた時は素直に嬉しかったです。
――演じるあかね役に対して、もともとどんなイメージを持っていましたか?
茅島:そもそもこの作品のお話が自分にとってすごく身近な芸能界を舞台にしているので、共感できる部分が自分自身にもたくさんありました。それをドラマ&映画化するうえで本作の良さをみなさんにどう伝えていけるんだろうとすごく考えていました。自分が演じるあかねも職業的に自分に近しい女優ですが、これまで女優役を演じることはなかったので、最初は感覚が掴みづらくて、実際に衣装合わせの際に監督のみなさんと相談しながら役のイメージを掴んでいきました。
――原作ファン目線として、あかねをどのようなキャラクターに感じていましたか?
茅島:アクア(櫻井海音)に出会う前のあかねちゃんはすごく人見知りで引っ込み思案で、自分に自信がないけど周りのことがちゃんと見えている。アクアと出会ってからは少しずつ明るい表情を見せていき、自分に自信を持ち始めます。そんなあかねちゃんは、自分とは正反対なキャラクターなのかなと感じていました。
――正反対、というのは性格的な面ですか?
茅島:そうですね。私はどちらかというと明るいタイプで、学生時代も人見知りはあまりしなかったんです。友達といつも話しているようなタイプだったので、そういうところで自分とは性格が違いますね。
――理解できたり共感できたりする部分はありましたか?
茅島:あかねちゃんはお芝居に対して、何でもメモを取ったり、演じるキャラクターについて書いて整理したりするイメージがあって、私も役作りをする上でよくノートを使って役について考えるのでその部分は同じだなと思いました。あと、あかねちゃんほどではないですが、アクアに対するちょっと狂った愛というか、誰かをすごく大切に思う気持ちには共感できる部分がありました。
――あかねのように振り向いてもらえなくても一途なタイプですか?
茅島:いや、どうだろう……。私は意外と諦めちゃうタイプかもしれません(笑)。でも、誰かをすごく大切に思う気持ちは恋愛に限らず、家族にも当てはまると思っていて。いま私は家族と別々に暮らしているので、自分がこうしてあげたい、寄り添ってあげたいなって気持ちはすごく理解できます。
――芸能界の裏側を描く本作ですが、ご自身も原作を読まれていてどのくらい描かれていることがリアルだと感じましたか?
茅島:すごく良い意味で芸能界の良い部分も裏側もちゃんと忠実に描かれている作品だと思いました。原作を読んでそう感じた自分の思いをみなさんに伝えられるようにしたいと、役をいただいてから再度読み直した時にも感じていました。演じていて辛くなるシーンもたくさんあるので、自分が(原作を読んで)感じた気持ちをそのまま伝えるようにすることを大事にしていました。楽しい部分も本当にあるけど、誹謗中傷の描写をはじめとした、闇の部分のリアルさも表現できるように演じました。
――これまでも『明日、私は誰かのカノジョ シーズン2』(MBS・TBS)や『対ありでした。~お嬢さまは格闘ゲームなんてしない~』(Lemino)などで漫画原作の作品に参加されてきましたが、今回の撮影はこれまでの原作ありきの作品と何か違いはありましたか?
茅島:アニメがドラマと映画の前に放送されて、多くの方が観ている作品というのは大きな違いですね。とにかく原作を第一に、そして台本を第一に考えて、原作をとにかく読み込んで、そのシーンが始まる前に(あかねが)どんな表情をしているのかなどを細かくチェックしました。監督とも、「原作だとこういう表情になっていて、こういう言い方だと思うんですけど、台本を読んだ時に(自分は)こう感じていてそれはどうしたらいいですか?」とすり合わせをしながら撮影させていただきました。
――あかねといえば、原作でも「今からガチ恋始めます」で大きな試練に立ち向かうことになりますが、その回を担当された松本花奈監督とはどのようなコミュニケーションをとってセンシティブな内容にアプローチしたのか聞いても大丈夫ですか?
茅島:はい。「今からガチ恋始めます」のシーンもすごくこだわっています。やっぱり「恋リア」の中でもいろんな出来事が起きるんです。例えば原作にもある、ゆきちゃん(なえなの)と揉めて彼女を叩いちゃうシーンが最初あまり上手くできなくて。見え方によってこの角度がいいなど、一つ一つ細かい部分にこだわりました。松本監督も、すごく具体的に「こういう画が撮りたい」と教えてくださるので、相談を重ねて一つ一つのシーンを納得いくまでやっていました。
――「今からガチ恋始めます」であかねが受けた誹謗中傷も含め、本作は芸能界にかかわらずリアルな社会問題を扱っています。そういったシーンも演じる上で監督とたくさん対話を重ね、ご自身の中で何か心の準備をされたのでしょうか?
茅島:誹謗中傷は自分も実際に体験したことがあるというか、やはりこの業界でやっていくうえで避けられないものだと思っていて。最初に(自分に対する誹謗中傷を)見た時の感情は今でもすごく覚えています。そういった自分の体験が今回、役に反映できるのでその時に自分が感じた気持ちなどをすごく大事にして演じています。